バンをベースにしたバンコンは、ベース車両によって、そのサイズ感が大きく異なります。マイクロバスのコースターなどをバンコンカテゴリーとして区切ると、サイズのバリエーションがさらに広がります。
居住性、機動性など、オーナーの求めるスタイルによって、最適なサイズも変わってくることでしょう。
2022年、待望のフィアットデュカトが正規輸入車として日本に上陸し、バンコンモデルのベース車両が増えました。
この、3つのバンコンベース車種を扱っているRVランドでは、各車両の特徴を活かしたバンコンを提供しています。
そこで、今回はバンコンベース車両の代表3車種をじっくりとみて、その特徴をチェックしてみたいと思います。
目次
バンコンベース車両の大きさによって何が変わるのか?
広々としたRVランドの展示場に、バンコンベースの3車種を並べてみました。ボディサイズは
・ハイエース
5380×1880×2285㎜(スーパーロング・ワイド・ハイルーフ)
・デュカト
5410×2050×2525㎜(L2H2)
・コースター
6255×2080×2740㎜(標準ボディー・ハイルーフ)
となっていて、高さが約20㎝ずつ高くなっているのが分かります。
それぞれ、見た目に大きな違いを感じますが、全幅や全長が似ている車種があるのも意外です。
それぞれの運転感覚については、大きいから運転しづらいということはありません。物理的に道路上でスペースを必要とするだけで、慣れてしまえば、どれも同じと感じる人が多いのではないでしょうか。
もちろん、車庫に入らない、生活圏の道路に入れないなど、サイズの制限があるかもしれません。でも、セレクトのポイントは車体の大きさではなく、車内空間の広さ、と考えたほうがいいかもしれません。
誰とどんな旅を楽しむかによって、自分にとっての快適な空間を探すのがベスト。そこで、各車両の車内サイズをもう少し詳しくみていきましょう。
コンパクトにレイアウトをまとめてくれるハイエース
国内のバンコンで最も多いのがハイエースをベースにしたキャンピングカーです。キャンピングカー以外にも、街中ではたくさんのハイエースが走っているし、駐車場スペースなどをそれほど気にする必要がないボディサイズです。
エントランスはサイドのスライドドアからがオーソドックス。ステップがあって、2段上がるイメージです。架装前、ベース車両の1段目ステップ高は40㎝弱といったところ。
車内の床面をみると、上写真モデルさんの指先あたり。少し高い位置にあるイメージです。
それでも、室内スペースは十分に確保されています。床が少し高いため、リアのタイヤハウスの出っ張りもコンパクト。荷物を積み込む時、スペースを有効に使えそうです。
この状態からキャンピングカーの設備を組み込んでいきます。天井やサイドパネルを剥がして、断熱材を入れると、ベースが完成。そこへ家具を設置します。
室内高は1635㎜あるので、小柄な方であれば立って歩くことができるでしょう。天井を上方向へ伸ばす加工をしなくても、このスペースが確保できるので、ハイエースハイルーフはキャンピングカーのベースとして人気があるのでしょう
フロアはこのような状態。荷室のフロアに比べて、運転席、助手席が床から立ち上がっているのが分かります。このスペースをどのように処理するのかが、各ビルダーの腕の見せ所。
各社が特徴的なレイアウトを作るので、ハイエースをベースにしたキャンピングカーのバリエーションは、非常に多いともいえます。
今回の3種類のなかでは最もコンパクトなサイズになりますが、そのコンパクトさがハイエースの利点ともいえるでしょう。大きすぎない、程よいサイズが使いやすい、と感じるオーナーさんも多いのではないでしょうか。
スペースを最大限に確保したヨーロッパの主流デュカト
フィアットデュカトをベースにしたキャンピングカーは、世界各地で活躍しています。日本にも完成車という形で輸入されてきましたが、ベース車両として正規輸入されることになり、新しい国内モデルの登場が期待されています。
ボリュームのあるボディサイズですが、クルマへの乗り込みはスムーズ。スライドドアは国内仕様に合わせた、左開きです。
ステップの高さはハイエースよりも高め。でも、フロアの位置がハイエースよりも低くなっているのが分かります。
こちらにはステップがありませんので、乗り込みの感覚も少し違ってきます。1段目が高いことから、追加で補助ステップを装着しやすいともいえるかもしれません。
デュカトは大きな荷室スペースが特徴です。今回、正規輸入されたデュカトはこのような状態になっています。
キャビンを構成する骨組みに、外装となる鋼板が取り付けられているのが、直に確認できます。ハイエースには室内側にカバーなどがありましたが、こちらはありません。
おかげで、フレーム構造がよく分かります。しかし、この構造体を見えないようにカバーするのも大変。
フロントシートには最初から回転シートがついていて、リアのフロアとの高さも、ハイエースほどの差もなく、ウォークスルーしやすい構造になっています。
室内高は1970㎜もあるので、大柄の人でもヘッドクリアランスを確保できる高さです。
運転席の上部も空間になっていて、いろいろな用途で利用できます。ハイエースの場合はリアクーラーなどが組み込まれていますが、デュカトではスペースが確保されている状態です。
デュカトの特徴としては、そのフロアの薄さが挙げられます。後ろからフロアを見ると、そのシンプルなフロア設計がよく分かります。
フロアが低いので、室内高を高く確保できるし、さらにキャビンの床下への設備設置がしやすいのも特徴といえるでしょう。
室内へのタイヤハウスの出っ張りが大きくなってしまいますが、室内幅は2000㎜もあるので、レイアウトによっては、それほど気にならないかもしれません。
ハイエースの場合は室内幅が1730㎜なので、横幅の差も大きいといえます。この幅を活かせば、ボディ無加工で横向きの就寝ベッドを確保できるようになります。
フィアットデュカトはこの余裕のスペースによって、レイアウトが比較的自由に設計できるところが利点といえるでしょう。
実はこのフィアットデュカト、架装しない状態でも販売されているので、腕に自信がある人、そのままの広さを有効に使いたい人などは、RVランドから1ナンバーのバンとして購入するのもいいかもしれません。
もちろん、RVランドは国内正規輸入代理店なので、国内仕様の商用車として安心して購入できるのもポイントです。
人を運ぶために生まれたマイクロバス、コースターの実力
最後はコースターです。バスコンのカテゴリーに分類されますが、キャンピングカーのベースになるのは、トヨタコースタービッグバンというモデル。れっきとしたバンなので、構造からみるとバンコンといえるのです。
左側ボディサイドにエントランスドアがあって、このドア部分までが乗車員スペース。後方が荷室になります。
エントランスのステップは2段になっていて、1段目の地上からの高さは約40cm弱。実はハイエースとそれほど変わらないんです。
ドア部分の間口が高さ1810㎜あるので、クルマに乗り込む時、頭をエントランスにぶつけることはありません。
ベース車両となるビッグバンの内部をみると、乗車員スペースと荷室を分断するポールが装着されているのが分かります。バンであることが実感できる仕切りバー設備といえるでしょう。
この荷室の横幅は1790㎜。ハイエースと同じぐらいです。前後の長さは2980㎜もあるので、スペースに余裕があります。シートを取り外して、2ルームにするコースターのキャンピングカーが多いのも理解できます。
ビッグバンは乗車定員9名。運転席、助手席、助手席後方のシングルシート、運転席後方のダブルシート2脚、そして、そのダブルシートにそれぞれ装着された、補助シートの計9名分です。
結局はキャンピングカーにする時、シートが取り外されるので、あまり、乗車定員は関係ないのですが、ベースの状態を知っておくのもいいのではないでしょうか。
室内高は1885㎜。ハイエースよりも高く、デュカトよりも低い数値です。といっても、フロアが比較的フラットにできていたり、タイヤハウスの出っ張りも低く抑えられているので、上方向へのスペースを有効に利用できそうです。
コースターの特徴は、人を運ぶために生まれたクルマであること。しっかりとした足回りと、荷室までフラットに広がる広い空間が特徴です。
一方で、人が乗ることが前提なので、採光が多いことから、窓が大きいので、ボディの処理方法も注目されるポイントです。
ハイエース、デュカト、コースター、それぞれのクルマを見てきましたが、ベース車両の大きさ、フロア構造など、詳しく見ると、その違いがよく分かります。
このバンコンベースのクルマをどのようにレイアウトするかはビルダー次第です。自分が使いやすいと思えるサイズ、そして、ライフスタイルにあったモデルを、ベース車両から探っていくのも、面白いかもしれません。