オリジナルモデルを追求したキャンピングカービルダー「タコス」の魅力を探る

メーカー・販売店インタビュー
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オリジナルモデルを追求したキャンピングカービルダー「タコス」の魅力を探る

東京の多摩地区で、長年、キャンピングカーを扱ってきたタコス。そのインパクトのある名前で印象に残っている人も多いのではないでしょうか。TOKYO AUTO CAMPER OUTDOOR SERVICEの頭文字を取って、TACOS(タコス)と名付けられたそうです。

ホームページにはベリー、ハナ、ウィズなど、コンパクトなバンコンから、大きなキャブコンまでラインアップされています。多種多様なキャンピングカーは、すべてオリジナル。いろいろなアイデアが詰め込まれたクルマは、どのようにして生まれてきたのか? 気になります。そこで、タコス代表取締役である田代民雄氏にお話を伺ってきました。

人脈が支えるキャンピングカー製造のネットワーク

タコス代表の田代氏と増店長
代表取締役の田代氏(右)とクルマの紹介をしてくれた増店長(左)

「小さな会社ですが、製造工場などと連携して、いろいろなクルマを作ることができるようになりました」と田代氏。その製造過程は効率よくシステム化され、パーツ製造、組み立てなどの作業を分散し、仲間や信頼があってこそ、作業が進めらているといいます。

「キャンピングカー作りでは、設計が大切です。そして、その設計を思い通りの形にしてもらえる工場も必要なのです。長年、キャンピングカー業界に居たおかげで、当時の人脈が各地に広がっていたことが、今の体制を支えてくれているのかもしれません」

30年の業界経験

タコスが設立されたのは、1996年でした。田代氏がキャンピングカー業界にやってきたのは、さらにその前だったといいます。当時はまだキャンピングカービルダーも少なく、バンテック、グローバル、ヨコハマモーターセールスぐらいだったそうです。

「最初は一般的なクルマの中古車販売の仕事をしていて、ロデオというキャンピングカーを購入したのがきっかけでした。その後、キャンピングカービルダーのグローバルに入社して、すぐに販売会の手伝いに向かったのを覚えています。ちょうど30年ぐらい前で、毎日、楽しく過ごしていました」

グローバルからタコスへ

キャンピングカービルダータコスの展示場

グローバルの社員として働き、後に販売店として独立して設立したのが、現在のタコスとなります。当初はグローバルの東京販売店ではありましたが、オリジナルを追求して、特別なモデルを作っていたといいます。それは、趣味のバイクを載せるためだったとも。

「グローバルのキングというキャンピングカーに大きな扉を付けて、バイクなど、なんでも積めるようにしました。とにかく当時はオリジナルのクルマがほしくて、いろいろとアイデアを出して、グローバルのクルマに手を加えていました」

いいものを作りたい

折りたたみ式シンク

扱っていたグローバルのキングなどは、カムロードベースの大型キャンピングカー。そこで、コンパクトなモデルを開発することになり、今のラインアップ、ベリー、ハナ、2Bなどが生まれたそうです。キャブコンはウィズとなり、オリジナルモデルが揃いました。

シンクをただんだ状態

キャンピングカーの開発では、明るく、広く、快適な空間を目指しているといいます。家具を数センチのレベルで調整しているというほどこだわっているとか。なので、吊り下げ棚を小さくしたり、シンクを折りたたみ式するなど、数々のアイデアが生まれました。

たくさんの人に乗ってほしいキャンピングカー

タコスのキャンピングカーの価格帯は300〜600万円台。比較的、手の出しやすい価格帯になっているのがタコスの特徴です。

「なるべく多くの人に、キャンピングカーに乗ってほしいという思いがあります。だから、価格設定はいつも悩んでいます。最初に価格を決めていても、開発途中でコストが高くなることも多いので、経営者としては失格かもしれません(笑)」と田代氏。

それでも、多くの人にキャンピングカーを楽しんでほしい、いいクルマを提供したい、という思いが、クルマ作りにも現れているのです。

20年以上続くタコスクラブ

タコスのキャンピングカー展示場

タコスのキャンピングカーオーナーになると、タコスクラブに入会できるようになります。以前は年に2回のキャンプ大会があり、キャンプ大会はすでに69回も開催しているそうです。タコスとして26年、グローバルから数えると、約30年続くクラブなのです。

「キャンピングカーに乗っている人はいい人ばかりです。私が若い頃、中古車販売店に勤めているときは、お客さんとの距離を取るように言われましたが、キャンピングカーのお客さんとは、家族ぐるみのお付き合いをさせていただいています」とクラブが大好きな様子です。

キャンプが好きなので一緒に遊びたい

田代氏は子供の頃から、外で遊ぶのが好きで、自宅周辺にも自然がたくさん残っていたといいます。さらに、若い頃はオフロードバイクに乗っていて、南アルプスのスーパー林道などを後輩たちとよく走っていたという思い出も。

その後、みんなでモトクロス、トライアル、いろいろなジャンルを楽しんでいるうちに、後輩たちもキャンプが好きになってきて、キャンプが共通の趣味に。そんな経験もあり、今でも「みんなと一緒にキャンプして遊びたい」と考えるようになったそうです。

そして、「みんなの人生の一部をキャンピングカーと一緒に楽しんでほしい」とも。その思いがキャンピングカー作りのベースになっていることがよく分かりました。

使いやすさを追求したキャンピングカー

それでは、そんな田代氏が生み出したキャンピングカーの代表モデルを紹介します。

NVjack

こちらは機動性も高いNV200をベース車両にしたNV jackです。価格363万1000円+税〜。シャープで先鋭的なデザインが、力強さすら感じさせます。

NVjackのルーフ

室内高は180cmを確保しているので、男性であっても、車内を立って歩くことも可能です。

NVjackの車内

写真のモデルは折り畳み式のシンクが付いていました。テーブルがあるので、テレワークなどにも利用できそうです。

ハナシリーズ

タウンエースがベースになっているのが人気のハナシリーズです。こちらは基本モデルのハナ。価格は382万円+税〜。

ハナのルーフ

上部にサイズ1000mm×1500mmのベッドがセットできるようになっています。

ハナのルーフ

シートアレンジでリビングエリアを展開できます。コンパクトですが、ファミリーでも十分に使える室内空間です。

タコスのベリー

ハイエースがベースになっているのはベリーシリーズ。クルマのボディを大きくカットせずに、リアにキャビンをかぶせるような構造になっています。価格538万円+税〜。

ベリーの車内

天井も高く、室内は広々としています。ベース車両の高い剛性を保ちつつ、キャブコンとしての使いやすさを追求したモデルです。

どのモデルも家具がコンパクトにまとめられていて、大きく室内に飛び出すことなく、空間を確保しているのが分かります。室内で過ごす時間を大切にしてもらうため、明るく、広く、快適なレイアウトを求めた結果です。

今後はお客さんのフィードバックを参考にしながら、タコスオリジナルモデルは進化していくそうです。また、バスを使った大型モデルにも挑戦してみたいとのこと。さらに、新しいモデルが出てくるのが楽しみです。

WRITER PROFILE
渡辺圭史
渡辺圭史(わたなべ・けいし)

1971年東京生まれ。アウトドア好きな編集者、そして、算数が好きだったライター。アウトドア用品メーカー、出版社を経て、キャンピングカー専門誌編集長に。現在はフリーとして、いろいろなメディアにて執筆中。アウトドアをキーワードに、より楽しいライフスタイルを求めてゆるりと奮闘中。最近気になっているワードは、旅、ミニマリスト、車中泊。趣味はコンパクトな旅とモノづくり。

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