
店内に足を踏み入れると、上質な空間が広がり、ラグジュアリーな雰囲気に包まれる。そこはアルフレックス本社のショールームです。店内にはADDSET(アドセット)のブランドで展開しているキャンピングカーが、ゆとりを持って静かにたたずんでいました。
キャンピングカーショーの会場でも、アルフレックスのブースは特別な雰囲気があります。ブースでの上質で落ち着いた空間に魅了された人も多いことでしょう。そんな独自の空気感を生み出すブランド力は、長年の経験と実績に基づいて築かれているのです。
その魅力を確かめるため、京都の本社へ足を運びました。こだわりの店舗ができた理由、そして、そのルーツがどこにあるのか、レポートします。
オリジナルを追求した独自のバンコン開発
アルフレックスはADDSETというブランドで、キャンピングカーやトラベルバンを販売しています。ラインアップはセグメント分けされていて、装備が充実したキャンピングカー、旅行に使いやすいカジュアルなタイプ、トランポなどにも使える普段使いを重視したモデルなどがあります。
上の写真はキャラバンをベースにして作られているCabellia(キャベリア)というモデルです。上質なインテリア家具に加えて、普段使いもしやすいサイズ感で注目のモデルです。
室内は上質で洗練された雰囲気。ダウンライトが効率的に室内を照らすとともに、上品で洗練されたインテリアを演出します。シート生地にはベルギー産のレザーを採用して、ベッドマット内部にあるウレタンフォームは寝心地を優先して、独自で開発を行なっているそうです。
レイアウトは運転席の後ろ側にベンチがあり、セカンドシートとテーブルを挟んで、対面対座で利用することが可能。テーブルの奥にはシンクや冷蔵庫が組み込まれたキャビネットがセットされています。
キッチンとリアベッドエリアの間には天井まで伸びる収納キャビネットも設置されています。そして、そのリア側にみえているのが、標準装備のコンパクトなクーラー。大人二人がラグジュアリーに旅することをコンセプトに開発され、快適性を重視した仕様になっています。
ハイエースやキャラバンベースのバンコンばかりでなく、軽自動車をベースにしたモデルもラインアップしています。上の写真のモデルはN-VANベースのmia picnica(ミアピクニカ)です。N-VANの利便性を最大限に活かしつつ、大型のソファでくつろいでいるような快適な空間を作り出しました。
以前は普通車サイズのモデルが主流でした。しかし「もっと若いファミリーにもキャンピングカーを体験してほしい」という思いから、N-VANをベース車両にして、より手軽に楽しめるキャンピングカーを作ったといいます。
キャンピングカーを体験してもらうためのショールーム
ショールームのエントランス部分は、2階まで続く吹き抜けのような空間になっています。広々とした開放感を感じつつ、スタイリッシュな落ち着きがある場所です。屋根が付いているので、天候の影響を受けることもありません。
アルフレックスでは納車式を大切にしていて、キャンピングカーを提供するだけでなく「思い出作りの第一歩」として位置づけています。そのため、ショールームのエントランスは特別な演出がしやすいように設計され、オーナーが安心して大切な瞬間を迎えられる空間になっています。
ショールームの中は静けさに包まれた心地よい空間です。キャンピングカーショーではメーカーを知ってもらうだけに特化して、次にショールームに足を運んでもらって、ユーザーのライフスタイルなどの話をしながら、キャンピングカーを提案します。
そのため、じっくりと話ができることが大切で、このような心地よい空間を作ることを目指しているのです。そして、何よりも高額なキャンピングカーを提供する場所にふさわしい環境を追い求め、現在のショールームが生まれたともいいます。
ショールームの横にはファクトリーが併設されています。工場内では、製造工程の効率化を徹底。部品をユニット化することで作業のスピードと安定した品質を実現しています。こうした仕組みによって、納期短縮と高い製品クオリティの両立が可能になっているのです。
アルフレックスでは、オーナーがクルマに興味を持った瞬間から、ショールームでの相談、納車待ちの期間、そして実際にクルマを楽しむときまで、すべてを楽しんでほしいといいます。だからこそ、納車期間もできるだけ短くすることを目指しているというのです。
アルフレックスが目指しているキャンピングカーメーカーの姿
アルフレックスのショールームに一歩足を踏み入れると、ホテルのラウンジに来たような感覚を覚えます。クルマもしっかりと展示されているのですが、落ち着いた空気感とゆったりとした時間に満たされていて、会話をするための空間であることを感じます。
ショールームにはアルフレックス代表取締役の竹山嘉伸さんの思いが詰まっていました。
「アルフレックスは何もない駐車場からスタートしました。駐車場を借りて、テントをたてて、苦労も多かったです。しかしながら、中学生の頃、雑誌で海外のキャンピングカーに出合ってから、いつかはキャンピングカーに携わる仕事がしたいという強い思いがあったので、ここまでこれました」
何もない場所からのスタートでしたが、強い思いで困難を乗り越えてきたようです。そんななか常に感じていることがあったそうです。
「キャンピングカーは高額な買い物です。だからこそ、ショールームはその価値にふさわしい環境でなければならないと考えていました。今のショールームは、オーナーがリラックして会話できて、そして最後に『ここで納車を迎えたい』と思ってもらえるように作り上げたものなんです」
きれいなショールームが完成しましたが、竹山さんのゴールはまだ先にあるようです。
「キャンピングカーはまだまだ高いように感じています。そのために、どうすればコストを抑えつつ、より早く届けられるのかを常に考えています。工場での効率化もその一つですが、大切なのは新しいモデルを生み出す柔軟さを保つことだと思っています」
当初は竹山さんがイメージする自分のマイルームを再現して、レイアウトなどを考えていたそうです。19歳の時に初めてキャンピングカーに乗って、自分なりの理想があったといいます。しかし、現在は若い世代にある程度を任せて、新しい世代のキャンピングカー作りを強めているといいます。
そこで生まれたのが、より車中泊に特化したモデルや軽自動車ベースのキャンピングカーなのです。オリジナルのシートを採用したり、常に先進的なアイデアを取り入れる姿勢を感じることでしょう。
「ショールームでゆっくりと話をしてキャンピングカーを選んでほしい」という竹山さん。若いスタッフも多く、オーナーのライフスタイルに寄り添ったアドバイスも聞ける、新しい感覚を持つショールームが、キャンピングカー業界の新しいスタンダードになるのかもしれません。

