アネックスのキャブコン リバティ(LIBERTY)の系譜

キャンピングカー紹介
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アネックスのキャブコン リバティ(LIBERTY)の系譜

アネックスの人気シリーズ、リバティについてその歴史を振り返ってみよう。

まず最初に、現在まで続くリバティの最大の特徴を見てみよう。それは、ハイドロバックというパネル製造技術。アネックス先代社長は、新しい技術導入にかなり積極的で、ハイドロバック以外にもライトRTMなど様々なタイプにチャレンジを続けている時期だった。

技術発祥の地アメリカでは、概してバキュームボンド式と呼ばれるタイプで、骨組み、断熱材、内外装材を接着剤でまとめて貼り合わせそれを真空引きにすることで、大気圧によりプレスされまっ平で強固なパネルができるという技術である。セキソーボディでは早くからこの技術を自社で導入、接着用ボンドを自社開発などさらに独自に進化させていた。

この頃バンコンメーカーであったアネックスが、新たにキャブコン製作に乗り出した。そのため新しい技術の導入としてハイドロバックを採用。当初はセキソーボディからパネルの供給を受けていたのだが、セキソーボディからバキュームボンド用の定盤を手に入れたことにより、マックスリバティになって完全自社生産にいたった。

MAX LIBERTY 1996年夏

MAX LIBERTY(マックスリバティ)

アネックスのキャブコンは、今でこそリバティという名前が浸透しているが、最初に登場したのはMAXシリーズである。ハイエース5.3mの意味であるH-5.3が春に登場し、夏に常設二段ベッドを装備したモデルにLIBERTYという名前初めて登場し、その後一連のシリーズの礎となった。ちなみに、デリカ4.8mという意味のD-4.8というモデルもあった。

最大の特長は、ハイドロバックパネルに綺麗な塗装仕上げ、室内には車体左側へ縦に2段ベッドが配置され、サイズは当時ポピュラーだった2×5mのボディサイズながら、それまでのキャブコンには無いコンセプトを打ち出してきた。

またMAXシリーズが確立した、ユーザー層からは“デコッパチ”と呼ばれる事もあったバンクベット形状がアイデンティティでもあり、バンク部の天井クリアランスが高くさらにそれが後方にも伸びているので、ベッド状態での昇降が非常に楽に行なえた。メガネ置き場などの工夫もあった。

MAX LIBERTY諸元

車体寸法
4,990x2,000x2,860㎜
ベース車両
ハイエーストラック
乗車/就寝定員
6/6名
価格
499万~

LIBERTY5.2 1997年春

LIBERTY5.2 1997年春

MAX LIBERTYの縦置き常設2段ベッドを後部横向きに変更移動し、さらに全長を5250mmに延長したモデル。そのサイズ拡大による室内容積の余裕は、対面ダイネットにサイドソファを組み合わせ、キッチンやマルチルームを持っていてもゆったりとしたもので、同時期のキャブコンとは一線を画したものだった。

そもそもH-5.3の時から、ハイエーストラックベースでどれだけの室内を作り出せるかにチャレンジしているところがあり、当時としては全長5mにこだわらない発想が、そのままその後のリバティになったと言っても良いはずだ。

このレイアウトと思想は今現在のLIBERTYシリーズに受け継がれ、特に大きな変更は行なわれていないといっていい。

LIBERTY5.2の車内

LIBERTY5.2諸元

車体寸法
5,250x2,000x2,860㎜
ベース車両
ハイエーストラック
乗車/就寝定員
7/6名
価格
549万~

LIBERTY5.0 1997年

LIBERTY5.0 1997年

LIBERTY5.2が新発売となり、それまでのMAX LIBERTYという名称をLIBERTY5.0と改め、マイナーチェンジを敢行。

初期のものと比べるとシート地が変更されているが、実はリバティシリーズはフル装備の豪華モデルという位置づけ。そこで、廉価版というわけでは無いのだがH-5.3の全長を切り詰めたNew Max 5.0が登場し、さらにシンプルで超軽量なHEVEN 4.7というモデルが登場。

その結果、リバティは独自のシリーズとしてラインナップされ、ある意味マックス系にさらにWITHやMAX VANが追加ラインアップされるという、超多品種路線をたどる時期でもあった。

LIBERTY5.0(99年モデル) 1998年秋

LIBERTYはそれまでスカート部分がツートーン処理されていたものが、このモデル以降それはオプションとした。

室内では、シートカラーがカラフルというかポップというか、当時の時代背景、流行りのものに変更され、大きな変更点は無いものの、内外装カラーが変更になった事で別モデルのイメージを醸し出していた。

LIBERTY5.2(99年モデル) 1998年秋

LIBERTY(リバティ)5.2

マイナーチェンジの内容は5.0などと同様だが、99年モデル以降、走行充電装置を電子制御タイプに変更。

この頃から、キャブコンと呼ばれる日本独自のカテゴリーは、欧米とは違う進化を始めてきていて、それまでのキャンピングカーはシンプルなものという概念ではくくれない多機能なモデルへと急激に進化していく。

電源系の見直しもその一環で、サブバッテリーの充実を図ったり発電機の搭載を検討するユーザー層が増えたため、ベースの段階で強化したと考えられる。

LIBERTY7.0 1999年

LIBERTY(リバティ)7.0

かなり実験的だった。キャブコンメーカーとしての地位を確立しつつあったアネックスが、フラッグシップモデルをいかに作り出すかの模索といって良いだろう。

リヤ2軸キャンターをベースに、モーターホームとしての空間と装備を盛り込んだもの。リヤに常設ツインベッドも構えるその様は、もはや国産キャブコンの域を脱していた。

ただしベース車両はキャリアカーや重機運搬車用に使われるシャーシであり、キャンピングシェル内での乗り心地を望むことはできなかった。運転席のみはサスペンションシートが付いていたので、ほかのキャブコンとはこの部分だけ乗り心地が別物だった。

走りは、キャブコンとしては驚くべきもので、試乗時にコーナーを攻めてもリヤ2軸の足回りはたいしたロールもせず、ベターッと路面をトレースしていく感じ。架装重量に対しシャシーの許容範囲が大きすぎた事もあり、正直硬い、跳ねるものであった。

LIBERTY7.0諸元

車体寸法
6,900x2,270x3,150㎜
ベース車両
三菱キャンター
乗車/就寝定員
8/8名
価格
1,078万~

LIBERTY CLASSIC 2000年春

LIBERTY CLASSIC

世の中の流れで、家具は明るい白系統、シート柄はカラフルでポップという流れ、そこへ21世紀を目前にひかえ永く愛されるキャンピングカーとなるよう、あえて木目調家具、落ち着きのあるシート表皮カラーで、クラシックな内装デザインへとマイナーチェンジ。

キャビネットドアは、国内生産ではなくすべてアメリカからの直輸入品に変更し、アメリカの雰囲気を多分に持っていた。

また通路を広く確保するために、ボイラー位置の変更なども行なわれるなど、ブラッシュアップによる完成度の向上を地道に行なっているモデルである。ある意味当時のハイエーストラックをベースとしたリバティの完成系であり、その後の別シャシーでの大型化などへ繋がっていく変更点や改良点が目立つ。

LIBERTY6.0 2001年春

LIBERTY6.0

リバティのコンセプトは、大型モーターホームに対するアプローチをいかに限られたスペースに詰め込むかだと思われるが、その1つの回答が電動スライドアウトの採用。

国産ではトヨタ自動車がキャンプメイトというモデルを’90年前半に発売、その後ワンオフでの登場モデルは存在したが、カタログラインナップとして登場したのは、国産メーカー系では唯一と思われ、このリバティ6.0はある意味アネックスのチャレンジを象徴していると言える。

エルフワイドキャブをベースに採用し、すでにこの時期生産終了していた7.0と現行5.2の間を埋める車種として設定。

LIBERTY6.0諸元

車体寸法
5,990x2,200x3,060㎜
ベース車両
エルフ
乗車/就寝定員
8/8名
価格
699万円~

EDDY LIBERTY 2000年春

EDDY LIBERTY

これまでキャブコンのベース車両として定番の地位を築いていたカムロード。その牙城を覆すグランドハイエースが、その車体の大きさ、パワー、乗り心地、静粛性すべてを上回って姿を現した。それと同時に、アネックスではグランドハイエースをベースにしたキャブコンバージョンを制作開始。

ただし、このグランドハイエースはカムロードのようなトラックシャシー、いわゆるラダーフレーム構造ではなく、先進的なモノコック構造。これをBピラーの後ろからカットし、キャンピングシェルを架装するというスタイル。

それを可能としたのは、リバティが採用しているハイドロバックパネルによるシェルが、モノコックフレームに勝るとも劣らない強固な構造材として機能したからにほかならない。そして登場したのが、エディだ。

さらに2002年春、カムロードで大人気のLIBERTYレイアウトをEDDYに移植したEDDY LIBERTYを発表し、欧米モデルにあらゆる点で引けを取らないモデルが完成した。

EDDY LIBERTY

EDDY LIBERTY諸元

車体寸法
5,990X2,020X2,780㎜
ベース車両
グランドハイエース
乗車/就寝定員
6/6名
価格
689万円~

LIBERTY FSシリーズ 2005年

好評だったグランドハイエースベースのリバティだったが、排ガス規制によりベース車両の発売が停止。今思えば、欧米に肩を並べるキャンピングカー、とりわけ国産キャブコン界にとって大損失的な状況だったが、ボディカットという新たな手法を得たアネックスでは、ハイエース200系ワゴンをベースにしたボディカットモデルへと進化させた。

実はこのボディカットという手法、アネックスでは社名変更前のオートボディショップタナカ時代に、日産キャラバンをベースに製造を始めている。もちろんバンコンメーカーとしての時代にも、1ボックスボディのどこをどう切れば何が起きるか、それを熟知しての架装でもある。

ちなみにこの最初のボディカットされ、2台作られたモデル名は、アネックスと言う。

ボディがワイドでワゴンをベースにしているのは、グランドハイエース同様乗用モデルの乗り心地の良さ、そしてトラックシャシーベースでは得られない、キャンピングシェル内のフロア高の低さのため。

もちろん定重心で、全体的シルエットも低く抑えられるため、その走行安定性と乗り心地の良さは、カムロードベースとはまったく違うものとなっている。

LIBERTY NSシリーズ 2012年

アネックスリバティNS

FSでリバティらしさを確立した上で、やはりアネックスとしてはより余裕のある室内を追い求め、ついにハイエース200系スーパーロングバンをベースにしたモデルとして登場させたのがNSシリーズ。スーパーロングにはワゴンタイプが存在しないが、そもそも常用で多人数乗車のバスとして発売されているものも足回りなどはバンと同じものだ。

ではなぜ乗り心地にこだわったリバティがバンモデルをベースにしたかといえば、それはスーパーロングモデルが持つ長大なロングホイールベースである。確かに小回り取り回しという点ではリスクがあるが、その長大なロングホイールベースがもたらすユッタリとした乗り心地は、まさに乗用でありキャンピンングカーに適していたのだ。

もちろんロングホイールベースのおかげで、それまでのカムロードベースなどでは得られない車体全長を生み出す事も可能になったので、これまでとは次元の違うキャブコンの室内容積を獲得した。

モーターホームにこだわるアネックスらしい選択から登場した車種だが、さらに凄かったのがボディ外板の処理の仕方。通常それは気付くユーザーはほぼいない。

キャンピングジェルはハイドロバックのパネル構造だが、要所要所はアネックスがバンコン時代から培ってきたFRP整形技術の集大成でもある。

1㎝に満たないFRPシェルの厚み、そのカット断面がただの切り口ではなくボディのラインに溶け込むよう製造段階で型が整形されているのである。

もし現物を見る機会があれば、接合部を丹念に観察してみると、シリコンや充てん材で処理するのではなく、きちんと面と接合面が処理されているのが確認できるだろう。

アネックスリバティNS

LIBERTY 52DB 2018年

LIBERTY 52DB

アネックスキャブコンの歴史は、まさにリバティそのものといっても過言ではないその根底に流れているのは、日本におけるモーターホームの可能性と、余裕のある生活空間の創造。その志向の現段階での最終形態は、カムロードベースに落ち着いている。

そして、時代は過激なまでに進んでいて、世界中のキャンピングカーが最新技術の取り込みに躍起である。もちろんそうなるとリバティも当然最新技術を取り込み消化する。そして驚くことに、自社生産にこだわったメーカーが外注によるキャンピングシェル製作までして追加されたモデルが52DB

分かりやすいところでは、大容量のリチウムイオン電池の採用。しかもその電源システムはリバティ専用に用意されたオリジナルで、専用であるから外形寸法などの設計にも汎用品とは違う設計の自由度が生かされる。

この辺りは、通路面積を確保するため温水器の搭載位置を工夫するなど、以前からアネックスが取り組んできた手法にかなり近い。もちろんそういった作業は使いやすさに直結する。

またユーザーに理解しやすいのは、床暖房の採用。キャンピングカーの場合どうしても室内の温度にムラが出る。これは構造的なものと環境による問題だ。それをどこにいても快適に過ごせるようにするには、床暖房がかなり有効なのだ。実際、先進的な欧州製モーターホームにはすでに装備が多数試みられているものだ。

そのほかにも先進技術という点では枚挙にいとまない52DBだが、カムロードベースにおける可能性を最大限に生かし切る試みが多い。もちろん、最新のカムロード自体もリバティ登場時のハイエーストラックから見たら格段に進化し、リバティの先進性を受け止められるベースになっていることは事実だ。

LIBERTY 52DB

アネックスからの一言

LIBERTYは初代モデルの発売以来皆様に支えられて継続生産させていただいています。
これからも皆様のお役に立てるよう、またそれ以上の価値を見いだしていただけるような魅力のあるキャンピングカー作りをしていきたいと思っています。
WRITER PROFILE
鈴木康文(TAMA@MAC)
鈴木康文(TAMA@MAC)

1991年、月間AutoCamper誌の前身であるDomaniの立ち上げに参加して以来、一貫してキャンピングカーとモーターホームの記事執筆を主に、アウトドア一般にいたるまで幅広く各種メディアでの活躍を続ける。途中DVDの制作や編集も手がけ、マルチメディアに対する興味は人一倍。現在は、’88 Hymer S660と同時所有していたトレーラーの’97 Hymer Touring Troll Puckをけん引中。

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