バンコンとは

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キャンピングカーには様々なタイプがあるが、今、日本で一番売れているのがバンコンだ。「バン」を「コンバージョン」したからバンコン。「バン」をベースにしているだろうことは容易に想像がつくが、では「バンコン」とはどんなキャンピングカーで、なぜそこまで支持されるのだろう。その魅力について解説しよう。

大小さまざま。実は多彩な「バンコン」

ひとくちにバンコンといっても軽自動車から輸入大型車まで、ベース車両も幅広く、さまざまなタイプがある。日本国内での主流は1t積みクラスの商用バンだ。わかりやすく車種で言うならば、トヨタ・ハイエースか日産・キャラバン。この2台が、二大潮流といえるだろう。両車とも屋根の高さやボディーの長さ・幅、エンジンや駆動方式まで豊富なバリエーションがある。最近は一回り小さい750Kg積バン、トヨタ・タウンエースや日産・NV200などもベース車両として人気だ。
商用バンだけではなく、乗用ワゴンをベースにしたものもある。
さらに外車まで視野に入れると、外車は若干事情が違う。

海外の様々なキャンピングカー
海外の様々なバンコン

まず、アメリカ車の場合。
配達や送迎などによく使われている、フォード・エコノラインやダッジ・バンを車体そのままに、内部を居室に架装したものを、クラスBという。
一方、ヨーロッパではフィアット・デュカトをベースにしたキャンピングカーが人気だが、このタイプは単純に「バン」と呼ばれている。

つまりまとめると、ベース車両だけ見ても

  • 1t積の国産貨物車タイプ
  • コンパクトな750Kg積国産貨物車タイプ
  • 国産乗用ワゴン車をベースにしたタイプ
  • やや大きい欧米車タイプ

と、豊富にあり、それぞが多彩なニーズに応えられる特徴を備えている。

架装もさまざま

居室部分のレイアウトも、各社さまざまな工夫をこらし、独自の提案をしているのがバンコンだ。一つのビルダーが同じベース車両に、いくつものプランを展開していることも珍しくない。

どのベース車両であれ、基本原則は自動車メーカーから出荷されたボディはそのまま。その分、スペース的な制約は厳しくなる。そのため、どの商品もレイアウトのコンセプトは比較的はっきりしていることが多い。例えば『2人でゆったり』『ファミリーでワイワイ』など。限られた空間であれもこれも、とは欲張れない。だからこそ、目的に応じたレイアウトが施されている。

ゆったりとした二人旅仕様
ゆったりとした二人旅仕様
ファミリーでも大満足の万能型
ファミリーでも大満足の万能型

装備についての考え方も、同様だ。とりあえず『あれもこれも一通りそろってる』『シンプル イズ ベスト』か。キッチンからトイレまで、生活に必要と思われる装備をすべて取り付けたら、どうしても車内は狭くなる。が、人数が2人だけなら問題ないだろう。逆に、トイレは公共のトイレを拝借する、キッチンで料理する予定もない、と、装備をなるべく絞り込めば、その分のスペースは居住空間に割くことができるし、室内はシンプルになる。3人以上のファミリーなら、子どもの年齢にもよるが、そのほうが嬉しいかもしれない。

テレビやエアコン
家庭用エアコンやテレビを装備
電子レンジ
バンコンの2段ベッド

もっとも、これは国産車の場合で、輸入車については少々事情が違う。ヨーロッパ車であれアメリカ車であれ、バンやクラスBは、サイズこそコンパクトだが「フル装備の二人旅仕様」というのがスタンダードだ。車両自体が日本車より大きいので、スペースは十分。夫婦単位で行動することの多い欧米ならではの仕様といえるだろう。

日本での売り上げNo.1のカギは「普段使い」

バンコンの2ハーム仕様
バンコンの2ルーム仕様

さて、バンコンというものがどういうものか解説してきたわけだが、このジャンルが一番日本で売れている理由は、どこにあるのか。その最大の理由は「普段使いと兼用できる」ことにある。駐車場事情や経済的な事情を考えると、キャンピングカーと普通車の2台持ちはハードルが高い。その点バンコンなら、普通乗用車よりは大きいとしても、無理なく国内の道路事情にフィットするし、駐車スペースもごく標準のサイズでOK。自家用車として家族の誰もが運転しやすく、家族の送迎や買い物など、普段使いもしやすい、というわけだ。
輸入車は全般に、国産車よりは大きいが、とくにサイズの大きいアメリカ車はともあれ、ヨーロッパ車なら普段使いも可能なサイズ。

バリエーション豊富で、サイズもいろいろ。普段使いとの兼用OKというバンコン。日本人の生活にフィットする車と考えると、一番人気なのもうなづける。
「限られた空間に、必要な装備だけを詰め込む」というコンセプトは、全国あちこちに温泉が湧いていて(お風呂に困らない)、レストランやコンビニがいっぱいあって(食事や食べ物に困らない)、高速のSA・PAや一般道の道の駅が充実している(トイレや仮眠場所に困らない)という、日本の道路事情・社会インフラによるところも大きい。
平日は家族の生活の足として。週末は家族のレジャーのベースキャンプとして。そんな使い方に最もフィットするのが、バンコンなのだといえるだろう。

必要なものだけをつめこむ

写真:国産バンコンはレクビィ製

WRITER PROFILE
渡部竜生
渡部竜生(わたなべ・たつお)

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり

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