
埼玉県越谷市に本社を持つ日本特種ボディー(NTB)は、いすゞのキャンピングカー専用シャシー「Travio(トラヴィオ)」「Be-cam(ビーカム)」をベースにしたモデルを製造・販売するキャブコンビルダー。豪華装備を満載したハイエンドモデルから、街乗りサイズのコンパクトモデル、防災やアウトドアユースを視野に入れたオフロード系モデルまで、多彩なニーズに対応するキャブコンをラインナップしている。
なかでも幅広い層から人気を博しているのが、全長を5m未満、全幅を1.9mに収めたトラヴィオベースの「カガヤキ」。街乗りもこなせる"大きすぎないボディ"に、使い勝手抜群の室内レイアウトと充実の快適装備を融合した、オールマイティに使えるキャブコンだ。さらに今年の秋には、バリエーションモデルの「カガヤキ・ロング」が新登場! 既存モデルからの変更点を中心に、同モデルの特徴と魅力を紹介する。
目次
トラヴィオベースの優位性
ベース車両は、いすゞのキャンピングカー専用シャシーのエントリーモデルトラヴィオ。最小回転半径4.4mという抜群の取り回し性で、初心者や女性、年配ドライバーなど運転が苦手な人でも安心してドライブを楽しめる。パワートレインは1.9ℓディーゼルターボと6速ATで、誤発進抑制機能やプリクラッシュブレーキ、車線逸脱警報、ふらつき警報などの先進安全機能も標準装備。キャブコン架装後でも車両総重量が3.5t未満のため、AT限定普通免許で気軽に運転できる。
リアは、重架装のキャブコンでも安心のダブルタイヤ仕様。足回りには、専用チューニングを施したテーパーリーフサスペンションやリアスタビライザーが標準装備されている。
カガヤキ・ロングの変更点
① ボディサイズの変更
カガヤキ・ロングのボディサイズは、全長4950mm×全幅1930mm×全高2890mm。既存モデルのカガヤキから、全長が70mm拡張されている。ロングモデルでありながら全長を5m未満に抑えることで、カガヤキの特徴である「運転のしやすさ」と「機動性」はしっかり踏襲した。
② マルチルームの追加
ロングモデルの最大の恩恵は、マルチルームが完備されていることだ。「トイレが欲しい」というユーザーの声をフィードバックして、既存モデルではクローゼットだったスペースをマルチルームに拡張。トイレや物置きとして使える空間を新設したことで、より幅広いニーズに対応できるようになった。外部のバケッジドアからマルチルームに直接アクセスすることもでき、ポータブルトイレの処理や荷物の出し入れなども容易に行える。
③ リア2段ベッドのサイズ変更
既存モデルと同様に、室内後部にはファミリーユーザーにうれしい常設2段ベッドを完備。サイズはカガヤキとほぼ共通だが、マルチルームのスペースを確保するため足元のベッド幅がスリム化されている。ベッドの下はカーゴスペースになっており、外部バゲッジドアでサイドから荷物の出し入れが可能。下段ベッドの下にも扉が装備され、車内から荷室にアクセスすることもできる。
④ 装備の仕様変更
冷蔵庫は既存モデルから容量が拡大され、より多くの食材やドリンクを保管できるようになった。キャンプやBBQで車外からアクセスしやすいように、エントランスの左手に冷蔵庫を配置しているのもポイントだ。生活電源のリチウムイオンサブバッテリーシステムは、既存モデルの12Vから24V仕様に変更。バッテリー容量は24V・200Ah(12V換算で400Ah)で、消費電力が大きい家電の使用や長時間のエアコン稼働にも対応する。
使い勝手と居住性を両立した室内空間
室内のレイアウトは、既存モデルから踏襲されている。前方に対面ダイネット、その後方にマルチルームと通路を挟んでキッチン、最後部に常設2段ベッドを装備。就寝定員6名でファミリーユースも快適にこなせる、シンプルで使い勝手の良いレイアウトだ。
食事や休憩、デスクワークなど車内生活の中心となるダイネットは、セカンド&サードシートでテーブルを挟んで4名が着座できる対面式。テーブルを下げて背もたれマットを載せ、通路にサブマットをセットすれば、大人2名がゆったり就寝できるフルフラットベッドになる。
コクピット上部には、キャブコンの最大のアドバンテージとなるバンクベッドを装備。土台を手前に引き出すスライド拡張式で、長さ1980mm×幅1650mmの広々スペースを実現している。ダイネットを展開しなくても、バンクベッドとリア常設2段ベッドで4~5名が就寝可能だ。
室内の左手には、ガラスカバー付きシンクをビルトインしたキッチンキャビネットを装備。外部バゲッジドアで車外からポリタンクの出し入れができ、給水・排水作業もラクに行える。
キッチン上部の家具内には、電子レンジをスマートにセット。その横には収納庫が装備され、天井には換気用のルーフベントも備わる。
エントランス上部には、家庭用エアコンを標準装備。24V・200Ahのリチウムイオンサブバッテリーで長時間稼働することができ、暑い夏の車中泊やキャンプも快適に楽しめる。
ダイネット上部には、生活用品の整理整頓に役立つ上部収納庫を完備。室内照明は温かみのある暖色系LEDで統一され、要所に間接照明を取り入れることで、高級感と落ち着きに満ちた空間を演出している。
カガヤキ・ロングは、「AT限定普通自動車免許対応」「街乗りでも運転しやすいサイズ感」「使い勝手の良い室内レイアウト」といった既存モデルの魅力に、「トイレとして使えるマルチルーム」を追加したオールマイティモデル。コンパクトさを重視する人、トイレが不要な人は、既存のカガヤキ。トイレや物置きとして使えるマルチルームが欲しい人は、カガヤキ・ロング。ロングボディをまとったバリエーションモデルの登場で、NTB製キャブコンの魅力がまたひとつグレードアップした。
NEWS エクスペディション・ストライカーがフェーズフリー認証を取得
NTBが製造するトラヴィオベースのキャブコンエクスペディション・ストライカーが、キャンピングカー業界初となる「フェーズフリー認証」を取得した。フェーズフリー認証とは、「日常時」と「非常時」の区別を超えて、いつでも役立つ製品やサービスであることを、一般社団法人フェーズフリー協会の基準・認証委員会が審査・認証を行うもの。
エクスペディション・ストライカーは、悪路走破性・居住性・快適性をバランスよく兼ね備えたヘビーデューティ仕様のキャンピングカー。平時にはレジャーやワークユース、災害時には被災地での電力供給や居住空間の確保など、共助の拠点として高いレベルで実装できている点が評価された。災害時の備えとして、今後ますますこうしたモデルの需要が増えていきそうだ。

KAGAYAKIロング諸元
- ベース車
- いすゞ自動車 Travio
- エンジン
- ディーゼル1.9L
- 駆動方式
- 2WD
- 車体サイズ
- 全長4,950mm/全幅1,930mm(オーニング含まず)/全高2,890mm(標準ファン含む)
- 定員
- 乗車定員7人/就寝定員6人
- 価格
- ¥10,516,515(税込み)~



