
度重なる地震などにより、国内では防災の意識が高まっています。キャンピングカーはそんな状況のなか、さらに注目される存在となっているのです。いざという時、ライフラインを確保して、プライベートなスペースを提供してくれる事。それは、被災時に大きなメリットといえるでしょう。
今回、自治体・公共Week2025が東京ビックサイトにて7月2日〜5日の日程で開催され、展示会の1つでもある地方創生EXPOに防災対策のキャンピングカーが2台展示されていました。日本RV協会のブースで、このような防災意識の高まりのなか、防災対策車両を地方自治体が保有することで得られるメリットなどをアピールしたのです。
そこに展示されていたキャンピングカーの1台が、レクビィのプロンテVVDR。ジャパンキャンピングカーショーに展示されていたクルマですが、改めてそのスペックを確認すると、驚くべき性能を秘めているのです。防災対策に適したキャンピングカーとして生まれた、プロンテVVDRを詳しくみていきましょう。
目次
被災時のボランティア専用に生まれたキャンピングカーの魅力
プロンテVVDRは防災を意識して設計されたキャンピングカーです。非常時の使いやすさや高い機動力、そして、被災時だからこそ必要とされる装備などが充実しています。設計するにあたって、「都道府県知事からの要請で市民ボランティアが被災地に向かうことを想定したキャンピングカー」というコンセプトがあったそうです。
ベース車両はハイエースのスーパーロングキャンパー特装車が使われています。一般的なバンコンのキャンピングカーとベース車両は同じ。違うのは、レジャー用としては必要ないのでは、と思われるような装備が付いていることです。詳しくは後半で紹介します。
車内レイアウトは縦向きに就寝できる2段ベッドとキャプテンシートのような大きなシングルシートが対面で設置されたリビングエリアに分かれています。インテリアのカラーリングは全体的に明るく、清潔感を感じるデザイン。
レクビィのキャンピングカーを知っている人であればピンとくるかもしれませんが、レイアウトのベースになっているのはレクビィのカントリークラブ。2段ベッドにキャプテンシートが印象的なモデルです。ファブリックなどの違いによって、印象が大きく変わっています。
2段ベッドは大人が寝ても余裕の広さ。常設ベットとして、疲れた時にすぐに横になれる状態ではありますが、上段を折りたたむことで、横長のベンチシートとしても利用できます。車内設備の一部には使われなくなった自動車パーツなどを再利用したアップサイクル生地を採用。環境にも優しい作りを目指しています。
室内の快適性を保つために、キャンピングカーの技術を使った、レクビィオリジナルのサーモ・サウンド・システムを採用しました。遮熱材と断熱材を組み合わせることで、断熱、遮熱、吸音の効果を発揮。従来のキャンピングカーでは施工しなかった広いエリアをカバーして、より効果を高めているそうです。
ハイエースのバンコンに独立したシャワールームを設置
プロンテVVDRの最大の特徴は、リアにシャワールームがあることです。レクビィのキャンピングカーではお馴染みの2ルームスタイル。被災地でのボランティア活動では、クリンネスが大切です。常に清潔な衛生状態を保つことが大切で、シャワーの効果は大きいといえるでしょう。
また、疲れたボランティアスタッフの体力回復にもシャワーが貢献してくれます。そして、何よりも、被災地の設備に頼ることなく、プロンテVVDRの車内で、スタッフの生活が完結することも大切ともいえるでしょう。
被災地ではトイレが利用できないなど、これまでの災害の経験でトイレの大切さが謳われてきました。このようにシャワールームにフィルムトイレなどのポータブルトイレを置いておけば、トイレ問題も解決します。完全に密閉された空間で利用できるので、感染症対策にも役立つのではないでしょうか。
被災地でのキャンピングカーのメリットは電気やトイレなどが利用できることでした。このプロンテVVDRでは、さらに水に関しても安心感を提供してくれることになったのです。一見、一般的なシンクのように見えますが、この内部に特筆すべき機能性が隠されているのです。
それが、ピュア・サイクル・システムと呼ばれるもの。簡単に説明すると、車内で使った水を循環させて再利用するシステムです。そのサイクルを実現するために、ファインバブルと水循環システムが採用されました。ファインバブルは水タンクの中で微細な気泡を発生させ、シャワーなどで石鹸を利用しなくても汚れが落ちやすくする効果を発揮します。そして、その水を高いろ過能力を発揮するフィルター「逆浸透膜濾過器」を通して、きれいな水にしてしまうのです。
このろ過器は放射性物質にも有効で、いくつかの自治体からも引き合いがあるほど。その性能の高さが注目されています。
一般的なキャンピングカーのシャワーでは、給水と排水が大変ですが、ピュア・サイクル・システムによって水を循環させることで、給水と排水の手間を軽減することができます。プロンテVVDRの車内で水を循環させることで、水のシステムを車内だけで完結させることができるというのです。
24Vシステムを使うことで安全性を追求したプロンテVVDR
室内に入ると、白いファブリックが多用されているせいか、室内が明るく感じます。天井には標準装備のベンチレーターが取り付けられていて、その周辺にもLEDライトがたくさん装備されています。一般的なキャンピングカーよりも明るさが確保されているようです。
クルマの特性としても、くつろぎというよりも作業のしやすい環境を求めた結果といえるでしょう。よくみてみると、吊り下げ棚の下にも、大きなLEDライトが設置されていて、室内全体を照らしているのが分かります。
リアには家庭用エアコンも装備されていました。スタイリッシュなデザインの室内機で、車内インテリアにもなじんでいて、圧迫感がありません。このセレクトは、レジャー用のキャンピングカーと同様に、レクビィのクルマ作りへのこだわりを感じます。
リアゲートの横、ボディの外装にはコンセントが設置されていました。こちらには、電気を取り込むインレットと出力用のアウトレットの2つがあります。プロンテVVDRには150Ahのリチウムイオンバッテリーが2つ搭載されているので、走行充電やソーラーパネルによって作った電気をしっかりと貯めておき、必要な時に外部で利用することができるようになっているのです。
ハイエースベースのキャンピングカーとしては珍しい、電装システムが24Vで構築されているのもポイントです。電圧が上がることで、電流を半減することができので、電線を細くできたり、高負荷時の電圧低下や発熱を抑えることができるのです。
地方自治体が防災用キャンピングカーを準備するメリット
プロンテVVDRは被災地へ向かうボランティアのためのクルマとして開発されました。キャンピングカーをベースに、被災地で必要な装備を備えることで、幅広い活動をサポートしてくれる存在となります。防災グッズを常備しておき、いつでも出動できる環境があるだけでも、防災対策としては大きなメリットになります。
地方創生EXPOには、たくさんの自治体の方が来場していました。そして、このプロンテVVDRをみて、地域の防災について、改めて考え直している様子もあったようです。ベースがキャンピングカーということもあって、レジャー用途として利用することも可能。さらに、電子レンジや家庭用クーラー、ソーラーパネル、リチウムイオンバッテリーなどが標準装備されている豪華装備。その価値は自治体にとっても大きいといえるでしょう。
購入にあたっては、補助金などを利用することで、コストを抑えることもできるそうです。地域協定などでキャンピングカーを確保している自治体もありますが、プロンテVVDRであれば、キャンピングカーとしての性能も高いので、平時の運用もしやすいのではないでしょうか。
このようにいつでも利用できることで、普段からキャンピングカーに触れることも大切です。いざという時の操作性を事前に習得したり、地域の市民に対しても、災害用キャンピングカーがあることで、大きな安心感を提供できるのは間違いないでしょう。
これまでのキャンピングカーとは違った観点で生まれたプロンテVVDR。その活用方法は無限に広がっていきそうです。
レクビィ プロンテVVDR諸元
- ベース車
- ハイエース SL キャンパー特装車
- エンジン
- ガソリン/ディーゼル
- 駆動方式
- 2WD/4WD
- 車体サイズ
- 全長5,380mm/全幅1,930mm/全高2,400mm
- 定員
- 乗車定員4名/就寝定員3名


