
キャンピングカーは機能性を重視したハイスペックモデルから、荷物を運ぶためのトランスポーターのような性格を持つクルマなど、いろいろなタイプがあります。キャンピングカービルダー各社も、ユーザーのニーズに合わせたモデルをラインアップしています。
バンコンビルダーのレクビィでも、エクスクルーシブ、プレミアムクラス、スタンダードクラス、レクビィブルーライン(RBL)というセグメント分けがされていて、ユーザーニーズに合わせたキャンピングカーを提案しています。
今回はこのRBLに注目してみたいと思います。道具としてのキャンピングカー、趣向性を追求したこだわりなど、新しいアプローチで生まれたクルマをチェックしてみましょう。
目次
遊びのために生まれたハイエースのキャンピングカー「ホビクル」

今回紹介するモデルは、レクビィのRBLにラインアップされるホビクルオーバーランダーWのカイハラモデルです。ホビクルオーバーランダーは、キャンピングカーというよりも、キャンプギアと言った方がしっくりくるようなクルマです。
居住性を追求しつつも、そのギアがアウトドアフィールドでどのように役立つのかに重点が置かれていて、遊ぶためのキャンピングカーとして生まれました。
RBLにはホビクルオーバーランダー、オーバーランダーⅣ、オーバーランダーWの3種類があります。
それぞれ、ベース車両が、ハイエーススーパーロング特装車、ロングバン標準ボディ・標準ルーフ、ロングバンS-GLワイド幅・ミドルルーフとなっています。
オーバーランダーWに採用された、ワイド幅・ミドルルーフはカスタムハイエースの世界では人気の車種。街中でもよく見かけるモデルだと思います。そんな、キャンピングカー以外でも人気の高いモデルを使って、アプローチしたのが、これまでにないデザイン性の追求でした。

インテリアを覗いてみると、まず目に留まるのは、その特徴的なファブリックです。よく見ると、ジーンズ生地のような風合い。この生地は世界でも有名な、日本のデニムメーカー「カイハラ」によって作られているそうです。カイハラは国内シェア50%というグローバル企業です。
デニム生地をそのまま使っただけでは、色移りしたり、汚れやすかったりとキャンピングカーでは使いにくいのですが、今回は、レクビィとカイハラが共同開発して、キャンピングカーに適した生地を開発したといいます。

色落ちを防いだり、耐久性を高めるための加工が施されていますが、しっかりとデニムの風合いが残っています。
見た目もデニムらしいデザインワークが確認できます。各シートにはジーンズのステッチのような縫製跡があり、レザーのラベルまで再現されていました。また、縫製の角に打ち込まれるリベットまで!?
ホビクルオーバーランダーWカイハラモデルのオーナーが好きそうな、そそる演出が随所に施されているのです。
アイアンパーツの組み合わせでハイエースキャンピングカーの車内が一変

レイアウトはセカンドシートにREVOシートを装備して、リアがベッド&ラゲッジスペースになります。セカンドシートは、前向き、後ろ向きのアレンジができ、人数に合わせたリビングエリアを展開できるようになっていました。
後方のリアベッドシステムは、高さの異なる3本のレールと幅の違う2種類のベッドマットを組み合わせることで、多彩なベッドレイアウトの展開ができます。
荷物の多い時、ファミリーで使う時など、シチュエーションに合わせて、ベッドを変化させられるので、常にクルマを利用するオーナーにとっても使いやすいことでしょう。

他にも、ホビクルオーバーランダーで特徴的なのは、アイアンパーツが使われていることです。黒い鉄のバーやパイプが、シートやインテリアの至る所にあります。このハードなイメージが、まるでギアのようなホビクルオーバーランダーの性格を表しているともいえます。
天井に近い場所にあるアイアンバーは、フックとしても利用できますが、オプションパーツを組み込む時のベースとしても利用可能です。例えば、釣りのロッドを車内にしまっておきたいのであれば、汎用の横向きのバーと組み合わせて、ロッドホルダーを作ることも簡単です。

リアベッドシステムに設置されたレールを使って、ベッドマットを互い違いにすれば、スペースを有効に使えます。ベッドマットの間を、荷物の収納に使ったり、子供たちの2段ベッドとして利用したり、レールスライドするベッドマットが効果を発揮することでしょう。
インテリアの家具の色はシートに合わせて変えることができます。写真に写っているのはカイハラモデルに採用されたナチュラルウッド調。標準シートカラーに合わせたチャコールグレイも用意されています。
レクビィの追求したオリジナルのキャンピングカー設備

レクビィはバンコンモデルを長年開発してきました。限られたスペースの中で、最大限の快適性を求めて、さまざまな工夫が施されてきて、数多くの特許を取得しているのも特徴です。
このベッド下に収納できるシンクもレクビィらしいアイデア装備といえるでしょう。例えば、通勤や買い物の普段使いしているオーナーにとって、シンクの出番は少なめ。そこで、使わない時は車内空間の邪魔にならない場所へと収納できるようになっているのです。

このキャンピングカーにはポータブル電源を利用する電源システムが組み込まれていました。防災対策などで、キャンピングカーに乗らない人であっても、ポータブル電源を持っている人も増えています。この一般的になったアイテムを使って、キャンピングカー設備の電気をまかないます。
ポータブル電源を利用する利点は、駐車場で外部充電できない環境の人にとってもありがたいものです。ポータブル電源をクルマから取り外して、家に持ち帰ってから充電できるのは、現在の住宅事情を考慮した新しい考え方なのかもしれません。

レクビィのオリジナリティ溢れる装備に触れましたが、オリジナリティというポイントでは、レクビィショップの存在も面白いかもしれません。ショップではレクビィのオリジナルアイテムが販売されていて、キャンプ道具のようなギアもあります。
このレインモールランタンハンガーはハイエースのルーフ下にランタンハンガーを設置するアイテムで、キャンプの時などに役立ちます。大型キャンピングカーであれば、エントランスポーチライトなどがありますが、バンコンの場合はスペースがないので、このようなアイテムを使うのもいいでしょう。
その他にもバンコン車中泊用の寝袋など、オリジナルアイテムがショップで確認できます。キャンピングカーというクルマを販売してきたレクビィですが、その幅広いアイデアで、バンコンを使った遊び方全体をサポートしようとしているようにも感じます。
まさにその企業としての姿勢が、今回紹介したホビクルオーバーランダーWカイハラモデルにも現れているのかもしれません。道具としてのキャンピングカー、コレクションしたくなる趣向性の高さなど、新しい価値観が生まれようとしているのです。
ホビクルオーバーランダーW諸元
- ベース車両
- ハイエースロングバンS-GLワイド幅
- エンジン
- ガソリン2.7L/ディーゼル 2.8L
- 駆動形式
- 2WD/4WD
- 車体サイズ
- 全長4,840mm/全幅1,880mm/全高2,105mm
- 定員
- 乗車定員5名/就寝定員2名+小人3名
- 価格
- ¥5,368,000〜