新型アンセイエが今年の2月にデビューしました。当時、Youtube用動画の撮影の際に、私が「それではアンセイエIIをご紹介・・」と言いかけたら、即座にミスティックの佐藤社長が「いや、アンセイエ“II”じゃないんだよ」と訂正されました。タイトルには新旧比較とありますが、実は、新旧比較できないのです。
その辺りの“謎?”を、世界で、アンセイエを2度も愛車にしたワタクシ、さいばが忖度無しで、ご紹介したいと思います。
目次
ミスティック佐藤社長インタビュー「今なぜ?新型アンセイエなのか?」
【さいば】まずは、新しいアンセイエのポイント、生まれた意味合いは?
【佐藤社長】前のアンセイエは“5m×2m”を一番気にしていまして、その範疇で出来る限りのモノという事で創ったんですけど、今回は、その“5m×2m”を考えないで出来る限り可能な空間を取ってというところで創ってみました。
【さいば】“5m×2m”に拘ったというのはなぜ?
【佐藤社長】私は北海道に行くのが好きでフェリー乗船というところでやったんですが、“5m×2m”のメリット(車長5m未満は料金が安い)に対して、デメリットとしては空間がもうちょっと欲しいかなという場合があるんで、(例えば)“5m×2m”だとリアが2段ベッドにするしかないので。本当は2ライン(“5m×2m”以内とそれ以上)を創れるとベストだと思いますが・・・
【さいば】つまり、当時は、“5m×2m”の範囲内でどこまでやれるか?でやって、今回はそれにとらわれずに理想でどうなるか?で大きくなった。
【佐藤社長】そうですね。あと今回のは、特に家具とか雰囲気をアメリカンに、自分がこれだったら良いなと思うものに、担当の伊藤もこれを創ってみたいというものにしました。
【さいば】確かに前のアンセイエは“外見アメリカン、中身ヨーロピアン”でしたけど、今回は“外見も中身もアメリカン”ですね。
【佐藤社長】但し、アメリカンと言っても、日本と日本人に合ったアメリカンスタイルのキャンピングカーを創りたいというのがありました。そこそこ良いものができたのではないかなと思います。
【さいば】だから、アンセイエIの次のIIではなく、別の車という事なんですね。
そもそもアンセイエとは?
だいぶ昔のお話。とあるキャブコンの下取り車の後に乗ったミスティックの佐藤社長、その乗り心地の悪さに、ゲロっとなりそうになり思わず「うちが創れば、こんなにはならんじゃんね~!(*注:甲州弁)」と思い、じゃあ創ってみるか!で開発したのがアンセイエだったそうです。
この社長の趣味?というか思いで創ったモデルなので、当初は年に一台売れれば良いや!という感じだったそうですが、気が付くとそれ以上に売れていたという事です。(その内、2台を私が買いましたが・・)
アンセイエ外観
先ずは外観、これはアンセイエに限らず、殆どのミスティック車が採用しているアルミサイディングの外装で、遠目に見ても瞬時にミスティック車だと分かる唯一無二のデザインです。海外では、良く見るアルミサイディング外観ですが、日本のキャンピングカーの殆どがFRPやパネル方式なので、逆に目立ってしまうのですね。
シン・アンセイエも、パッと見では、ちょっと大きくなったかな?という印象で、実際にそのサイズも全長4,990mm→5,300mm、全幅1,960mm→2,050mm、全高2,970mm→3,000mmと大きくなっています。アンセイエの特徴であるバンク部も、以前は屋根全面フラットだったものが、シン・アンセイエではバンク部だけが一段高くなっています。
バンク部で言えば、特徴的だったバンク正面窓も、1個から2個になり、一発で新旧見分けがつきます。
また、5m以上とメリットを活かして、リアのオーバーハングも大きくなっています。
特徴的だった、リア部のデザインも、少しフラットになりました。今回のサイズアップには、ベース車両であるカムロードのダブルタイヤ化にも起因しているようです。つまり、耐荷重がアップしたので、以前のベース車両ではキツかった5m越えのサイズも、今回、可能になったという事になります。これは、佐藤社長曰く「前のベース車両ではオーバー5mサイズはやらなかった」との事でした。
アンセイエ車内
先ず、車内にはいると、インタビューにもありますが、そこにはアメリカンな空間がひろがります。
初代のアンセイエは、外見アメリカン、中身ヨーロピアンと言われ、外観のイメージとは違ったインテリアでした。個人的は嫌いではなかったのですが、一部のアンセイエオーナーはそのギャップが嫌で、車内インテリアをレジストロの様な山小屋風に特注で変更されたという話も聞きます。まあ、個人的な嗜好も入ってくるとは思いますが、新しいアンセイエでは、徹底してアメリカンになっています。
同時に気が付くのは、そのレイアウトです。初代は、セカンドシートが前向きにも、対座にもなるタイプでしたが、新型ではL字型のサロンタイプになっています。これも好き好きとオーナーのライフスタイルでどちらが良いかの評価が分かれると思います。
ミスティックさんによると、今後、初代と同じ対座式のレイアウトも出てくる可能性があるとのこと。
いずれにしても、車内スペースが広くなったので、色々なレイアウトが可能になるかと思います。
そして、インタビューにもありますが、5m以上にした理由の一つ、リアベッドがセミダブルになっています。私事ですが、私はそのベッドの広さから、いつもバンクベッドに寝ていますが、寄る年波で、最近はラダーの昇り降りが、ちょっち辛く。特に、寝ぼけた時には、ラダーから足を踏み外しそうになったり、登る時はつい「よっこいしょ~いち!」なんて言葉が口から出てしまいます。そう、高い所のベッドがシンドクなってきているので。
その点、腰かけられる高さのセミダブルベッドは、天から差し伸べられた救いとしか思えません。それだけでも、新しいアンセイエに乗り換えても良いと思う程です。
特筆すべき点
冒頭のインタビューにある通り、新旧アンセイエは全く別の車とも言って良いので、単純に引き算してその差をとやかく言えません。しかし、それでも、初代での経験を活かして進化した部分もあり、そこが差異点とも言えます。そこで、そのポイントを以下に列挙してみます。
①余裕のサイズ
前項でも触れているので重複しますが、やはり“5m×2m”の呪縛から解き放たれたサイズは余裕があります。それが、余裕のマルチルームや、リアのセミダブルベッドというカタチになっています。
②リア収納庫とその扉
私個人として、初代のアンセイエはとても気に入っているのですが、唯一、気に入らないのは、リアの収納庫と扉です。アンセイエのリア部は特徴のあるフォルムとなっており、それがカッコよく、また遠目に見ても瞬時に分かり気に入っているのですが、逆にそのフォルム故に、大きな収納扉が付きません。
小さな扉なので、せいぜいイスとかテーブル位のものしか出し入れできません。その分、左右に大き目の扉が付いていますが、左右一方からのアプローチとなるので、どうしてもリアがガバチョと開く扉には敵いません。私も電動キックボードや折り畳み自転車を所有していますが、リアからは入れられず、汗をかきかき、エントランスから運び込むという苦労を毎回味わっています。
また、これは私だけかもしれませんが、途中で、リチウム電池にしたために、リアの収納庫の半分が、リチウム電池に占領され、リアの収納庫に大きなものが入れられなくなってしまった事がさらに、ストレスを増長させています。
その点、新しいアンセイエは最初からリチウム電池は車体中央に格納されていて、リアの収納庫はセミダブルベッド下という事もあり、余裕のある大容量となっています。
しかも、リアとサイドにガバチョと開く扉があり、電動キックボードや折り畳み自転車も2~3台位楽に積む事が出来そうです。これが本当に羨ましい!宝くじが当たったら、即、シン・アンセイエを買ってしまう位の魅力を感じています。
③更に広くなったバンクベッド
初代アンセイエで気に入っている点の一つがその広々バンクベッドです。四角いボディからくるスペースファクターの良さから、隅から隅までずず~ぃっと使えます。そのバンクベッドが、シン・アンセイエでは更に広くなっています。外見でも初代との差異化になっている一段高くなったバンクベッドですが、中に寝てみるとその恩恵を身体中でビシバシ感じます。
④使い易くなったギャレー周り
初代アンセイエは、必要以上に?手前方向の幅があり、それはまあ、調理の時には使い易さにもなっていましたが、私の凸なお腹には、キツ目な感じでした。それが、シン・アンセイエでは車幅が広くなった事と、なんと斜めにエントランス側に向かって段々広くなっているユニークスタイルで、思いの外、余裕の広さを感じさせます。エントランスにハメ込むテーブルとあいまって、きっと楽しい調理が可能になりますね。
⑤ちょっと気になった点の改善
初代アンセイエの特徴的なリアフォルム故に、リア収納扉が気になったとお話しましたが、同様に気になったのはリアラダーです。そのフォルムからラダーが低い位置までありません。それが、シン・アンセイエではちゃんと下までラダーが来ています。また、同じく、スペアタイヤ分くらい凹になっているので、その分、リアベッドが狭くなっていましたが、シン・アンセイエではそんな事もありません。ここでも初代アンセイエでの経験が、シン・アンセイエで、しっかりと活かされています。
最後に
初代アンセイエとシン・アンセイエとは、全く別の車という事が分かりました。今の愛車のアンセイエちゃんも愛していますが、宝くじが当たったら、即、買い替えだと思う気持ちもあります。しかし私が住む都内の駐車場は殆ど“5m×2m”なので、宝くじが当たっても無理だろうなあ。今のアンセイエが私の棺桶になりそうです。しかし、単なるモデルチェンジではなく、常に挑戦・進化するアンセイエは今後も楽しみですね。
ANSEIE (アンセイエ)諸元
- ベース車両
- トヨタ カムロード
- 車体サイズ
- 全長5,300mm/全幅2,050mm/全高3,000mm
- 定員
- 乗車定員6人/就寝定員5人
- 価格
- ¥13,652,200~