キャンピングカーを製造販売するメーカーや関連企業が会員となっている日本RV協会では、レンタルキャンピングカーの事業もサポートしています。最近では、新しいレンタルキャンピングカー事業者が協会に参加し始めているようです。
これまでも日本RV協会では、レンタルキャンピングカーの発展をサポートする活動を行ってきましたが、今後はさらにその連携も強くなっていくことが予想されます。
キャンピングカーの認知が高まり、レンタルを利用する人も増加。最近ではインバウンドの需要も拡大し、利用者は増加傾向にあると考えていいでしょう。
そんなレンタルキャンピングカーの環境整備に取り組む日本RV協会やレンタルキャンピングカーの背景を調査してみました。
目次
利用者のニーズを捉えるジャパンキャンピングカーレンタルセンター
日本RV協会の会員でレンタル事業者として古くから参加しているのが、ジャパンキャンピングカーレンタルセンターです。そこで、今回は同社にレンタルキャンピングカーの最新トレンドについて教えてもらいました。
「レンタカーの需要は増えています。我が社ではインバウンド需要が2割程度ですが、国内のユーザーと比べると、レンタル期間が長いので、売上面では影響が出ていると感じています」とジャパンキャンピングカーレンタルセンター(以降C.R.C.)の関口さん。
観光といえばインバウンドが目立っていますが、やはり国内ユーザーの需要も多いようです。北海道や沖縄など、旅行先でキャンピングカーを借りるユーザーもいるといいます。C.R.C.ではそんなユーザーの使い方もしっかりとチェックしていました。
「クルマにはGPSが付いているので、旅先でトラブルがあってもすぐにサポートできる体制を整えています。集積されたデータを活用することでレンタルキャンピングカーを借りた人の行動パターンも見えてくるので、その情報を元にレンタルキャンピングカーユーザーに合わせたサービスや情報提供を行っています」
キャンピングカーの行き先をパッケージ化して提供
レンタルでキャンピングカーを借りる人のなかには、どこへ行ったらいいのか分からない、という人もいるそうです。国内の方でキャンピングカーをレンタルした場合、C.R.C.のデータでは平均して200kmぐらいの移動が目安。そんな行動パターンから行き先の提案などができるように準備しているそうです。
さらに、C.R.C.では行き先をパッケージ化したプログラムを提供。星野リゾートと協力して実現した、スキーパッケージ旅行が用意されていました。キャンピングカーレンタルに加えて、リフト割引、星野リゾートの温泉利用、プランによっては焚き火も楽しめるなど、充実した内容です。
このパッケージの特徴としては前日の夜発のレンタル料金がかからないので、金曜日の夜に出発して、日曜日に帰ってきても、1泊でのレンタル料金でキャンピングカーが借りられるようになっているそうです。キャンピングカーならではの使い方をパッケージ化しているのがポイントです。
レンタルキャンピングカーの用途は多種多様
これまで、冬場のレンタルキャンピングカーの需要は夏期に比べて低い傾向にありました。キャンピングカーであればFFヒーターが設置されているので、冬場での利用も問題ないのですが、まだまだ、FFヒーター自体が浸透してきていないのかもしれません。
「キャンピングカーを借りられる方のほとんどが初めてキャンピングカーを借りるお客さんです。キャンピングカーの設備や使い方が分からない人も多いので、もっとキャンピングカーが利用しやすいクルマであることをアピールしていきたい」と関口さん。
C.R.C.ではペット利用できるキャンピングカーも用意されていて、ペットとの旅行に利用するユーザーも多いそうです。このように様々なニーズに応えて、レンタル事業を行っている姿勢が伝わってきます。
最近では、子供の誕生日パーティーに利用したり、法人が現場の事務所として利用するなど、その用途も広がっているようです。このような用途の広がりによって、利用者層の幅も広がり、より多くの人がキャンピングカーに触れる機会も増えています。
レンタルキャンピングカーのメリットとは
たくさんの人に利用される機会が増えたキャンピングカー。マイカーとして所有する以外にも、レンタルすることで、その機能性を存分に楽しめます。改めて、キャンピングカーのメリットを考えてみると。
- ペットがいても、子供の学校があっても、自由な旅の設計ができる
- 金曜日の夜に出発して、移動時間を有効に使える
- 疲れた時はしっかりと休息をとることができる
- キャンピングカーという空間での特別な時間を過ごせる
- エアコンやFFヒーターを利用することで1年中快適
など、たくさんのメリットが考えられます。このようなキャンピングカーの利便性が理解され、多くの人がキャンピングカーに興味を示し、利用しているのかもしれません。レンタル事業者側でも、このような利便性を多くの人に楽しんでほしい、と考えているに違いありません。
しかし、需要が拡大して、新しいユーザーも増えることで、問題も発生してきます。なれないクルマでの事故なども想定されます。需要拡大に伴う新たな問題に対しても、レンタルキャンピングカー事業者での対策、そして日本RV協会としての対応なども大切になってきました。
レンタルキャンピングカー事業者の選び方
C.R.C.のような大きなキャンピングカーレンタル事業者では、前出の通り、万全の安全対策を施し、ユーザーの行動をデータ化して、走行距離や訪問先などを元に、ユーザーが使いやすい環境を事前に予測するなど、さまざまな対処をしてきました。
しかし、自分が利用しようとしたレンタルキャンピングカー事業者がこのような取り組みを行っているのか、すべてをチェックすることは難しいといえるでしょう。そこで、ある程度の基準を目安に事業者をセレクトする方法をおすすめします。
それが、「JRVA RENTAL」という新しい枠組みです。日本RV協会の会員であるレンタルキャンピングカー事業者に与えられた呼称で、安心・安全なキャンピングカーのレンタルサービスを提供してくれることの証しといえる制度です。
キャンピングカーレンタル会社を全国から検索できるレンタルキャンピングカーネットのホームページでは、メーカーリストのなかに、この「JRVA RENTAL」加盟店であることが分かるようにアイコンが表記されているので、気になった人は同ホームページで調べてみるのもいいでしょう。
この「JRVA RENTAL」に属するレンタルキャンピングカー事業者では
- 車両部、キャンピングカー設備の定期点検の実施
- 最新のキャンピングカーに関する情報の共有化
- 貸出時におけるマナーの啓発活動の徹底
- 安心・安全に利用できる「RVパーク」の紹介
などが行われていて、ユーザーにとって、安心安全であることと、使いやすさ、キャンピングカーとしてのメリットを感じられる使い方を教えてくれる、など、いろいろなメリットをユーザーが得られる体制作りをしています。
この仕組みは日本RV協会によって作られています。このような体制を整えるきっかけとなった理由を協会のレンタル事業部代表である、RVランドの阿部社長にお話をうかがうと、
「キャンピングカーが増えるにつれて、レンタル事業者も増えてきました。市場が拡大することで弊害も生まれてきます。これまでも、私たちはキャンピングカーを多くの人が安心して利用できるように環境を整えてきましたが、その1つの活動として、増加するキャンピングカー事業者への啓発活動を活発に行っていて、誰がみても分かりやすいように「JRVA RENTAL」という枠組みを作ったのです」とのことでした。
たくさんの人がキャンピングカーを利用するようになり、レンタルキャンピングカーも増えている状況で、安心して利用できる制度が確立することは、ユーザー側にとっては大きなメリットといえます。
このようなレンタルキャンピングカーという市場が成熟することで、より使いやすく、安心できる環境が整い、日本RV協会のバックアップもあり、キャンピングカーの楽しみを多くの人が共有できる文化が根付くのではないでしょうか。