
9月23日(土)に関東いすゞ自動車 春日部支店にて、「AKATSUKI紹介&新型エルフ試乗会」が開催された。イベントの内容は、「AKATSUKI(アカツキ)のボディ展示」と「新型エルフの展示・試乗」の2本立て。NTBの最新キャブコンAKATSUKIのボディと、新型Be-camのベースとなる新型エルフを同時に体験できるイベントだ。
以下に、今回のイベントに関係する重要なポイントを改めて整理する。
- 新型エルフの登場で、エルフをベースにしたキャンピングカー専用シャーシ「ビーカム」も大幅に進化する
- NTBからリリースされる最新モデル「AKATSUKI」に新型ビーカムが採用される
- 今回のイベントで「AKATSUKI」に搭載されるシェル・内装を初公開
今回のイベントで、新型ビーカムをベースにしたAKATSUKIの魅力と可能性を体験してきたので、その模様をレポートする。
安全性能が大幅に進化した新型エルフ

今年3月、いすゞ・エルフが17年ぶりのフルモデルチェンジで生まれ変わった。エルフをベースにしたビーカムにとっても、このモデルチェンジは大きなアドバンテージとなる。


新型エルフの最大のウリは、安全・運転支援機能が大幅に拡充されたことだ。ステレオカメラは検知範囲の広角化などの改良が施され、近距離ミリ波レーダー、ドライバーの状態監視用カメラも追加。先代モデルにも直進プリクラッシュブレーキ、先行車発進お知らせ、車間距離警報などは搭載されていたが、新型エルフにはふらつき警報、フロントブラインドスポットモニター、右左折プリクラッシュブレーキ、ドライバー異常時対応システムなどの機能を追加。
ほかにも、設定した車間距離を維持しながら加減速や発進・停止を行う「全車速車間クルーズ」や、ステアリング操作を電動アシスト制御する「レーンキープアシスト」などが追加され、最先端のセーフティテクノロジーで安心・安全なドライブをサポートする。もちろん、これらの安全装備は新型ビーカムにも採用される。エルフでは装備内容が4種類のパッケージに分かれているが、ビーカムではすべての安全・運転支援機能が装備されるという。

なかでもとくに注目なのは、「全車速車間クルーズ」だ。これは、設定した車間距離をキープできるように、先行車に合わせて加速・減速・停止・発進を自動制御してくれる機能。加減速のみならず停止・発進もコントロールしてくれるので、渋滞時のストレスや事故リスクも大幅に軽減する。長距離ドライブの機会が多いキャブコンにとって、非常に魅力的な装備と言えるだろう。
新型エルフ試乗インプレッション

安全・運転支援機能と並んで大きく進化したのは、トランスミッションだ。先代モデルでは6速スムーサーEXが搭載されていたが、新型エルフのトランスミッションには9速AMTアイシムが新規設定され、トルク抜けのないスムーズな加速と9速化による優れた燃費性能を実現している。

新型エルフを一般道で試乗して、進化した走りを実際に体験してみた。もっとも大きく変わったのは、低速域のシフトショックが劇的に改善されたことだ。以前スムーサーEXを搭載したSAKURAで走行した際は、2~3速のシフトチェンジでトルク抜けによる変速ショックが感じられたが、9速AMTアイシムを搭載した新型エルフは驚くほどスムーズ。ストップ&ゴーを繰り返す一般道でも、変速を意識させずにシフトアップしていくので、違和感やストレスはまったくなかった。最高出力150馬力・最大トルク375N・mの3.0Lクリーンディーゼルエンジンは、信号待ちからの加速も軽快。たとえキャブコンの架装で重量が増加しても、動力性能に不満を感じることはないだろう。
AKATSUKIに搭載されるボディ

イベントでは、新型エルフと一緒にNTBのレンタカー専用モデルクレステッド アイビスが展示されていた。新型キャブコンAKATSUKIは、新型ビーカムにこれと同様のシェルが組み合わされる。AKATSUKIのボディサイズは、全高4990mm×全幅1990mm×全高3050mm。キャブコンとしては、大きすぎず小さすぎないベストサイズだ。

室内は、センターに対面ダイネットとキッチン、後方にマルチルームと常設2段ベッドを配したキャブコンの王道レイアウト。もともとクレステッド アイビスはレンタカー専用モデルのため、「初めてでも使いやすいインテリア」がコンセプト。そのため、内装はできるだけシンプル化され、スイッチ類も使いやすい配置となっている。AKATSUKIに搭載されるボディは家具のカラーとファブリックが変更されるが、内装レイアウトや装備はまったく同じ仕様になるという。

バンクベッドは、大人3名が就寝可能な1888mm×1775mmの広々サイズ。ダイネットベッド、リア2段ベッドと合わせて大人7名分の就寝スペースを確保できる。

4名がテーブルを挟んで座れる対面ダイネット。走行時は、フロントシートと合わせて7名の乗車定員を確保している。

ダイネットの後方にはマルチルーム、リアエンドには常設2段ベッドを配置。ファミリー向けキャブコンでは、スタンダードなレイアウトだ。

使い勝手を考慮したシンプルなデザインのキッチンキャビネット。カウンターには、ガラス蓋付きシンクがスマートにビルトインされる。給排水タンクの容量は、各16L。


家庭用エアコンはオプション、電子レンジは標準装備となる。標準仕様は24V/200Ahの鉛ディープサイクルバッテリーだが、オプションで最大10kWhのリチウムイオンバッテリーも用意。最大1000Wのソーラーパネル(オプション)と組み合わせることで、完璧なオフグリッドシステムを構築できる。ハイレベルな生活電源システムは、SAKURAなどの既存モデルでノウハウを積み重ねてきたNTBの面目躍如といったところだ。

標準装備の88L冷蔵庫は、車外からでもアクセスしやすいようにエントランス付近に設置されている。

新型エルフと旧型ビーカムベースのクレステッド アイビスを並べてみると、新旧モデルによるフェイスデザインの違いがよくわかる。クレステッド アイビスに新型エルフのフェイスを合体させたデザインが、ニューモデルAKATSUKIになるということだ。
高性能な新型ビーカムベースで、使い勝手のいい5×2mサイズに収めた新型キャブコンAKATSUKIは、安全性・走行性能・居住性・機能性のすべてを兼ね備えた注目モデル。現在予約販売がスタートしており、デリバリーは来年春以降を予定しているとのことだ。