
寒い冬でもキャンピングカーがあれば快適な旅行が楽しめます。しっかりとした断熱構造にヒーターなどの暖房設備があるので、移動手段だけではなく、車内でくつろげるのがポイント。
そんなキャンピングカーの特徴を活かして、スキー旅行に利用する人も多いようです。スキー場の駐車場でもキャンピングカーの姿をよく見かけるのではないでしょうか。
スキーとキャンピングカーは相性がいい、ということでキャンピングカーとスキー旅行をパッケージにしたサービスも始まっています。
それが、星野リゾートとキャンピングカーレンタルのJAPAN C.R.Cが2021年からスタートさせている「キャンピングカー×ゲレンデ車中泊プラン」。キャンピングカーレンタル料金やリフト代などがセットになったパッケージ商品です。
もちろん、2022年も継続されることになったのですが、今回はさらにパワーアップして、トヨタ自動車も加わり、新しいコンセプトキャンピングカーまで作ったそうです。
そのキャンピングカーの名前は「かまくるま」。雪で作る「かまくら」をイメージしますが、実際はどんなクルマなのか? 詳しく調査してきました。
目次
トヨタ自動車の2.5Dプリンター技術を使ってキャンピングカーの室内をカスタマイズ

スキーやスノーボード用品の販売イベント「冬スポ!!21」の横浜会場で発表されたのが、この「かまくるま」です。丸いかまくらのイメージをしていましたが、しっかりとキャンピングカーでした。
車両はJAPAN C.R.Cオリジナルモデルのロビンソン106。トヨタのカムロードをベースにしたキャンピングカーで内装がカスタマイズされているようです。そのカスタマイズに貢献したのは、ベースのクルマと同じトヨタ自動車です。

ボディにはかまくるまをイメージしたアイコンが大きく描かれています。雪で作ったかまくらにタイヤが付いているようなデザイン。デザインは日本デザインセンターが担当しました。
かまくるまは、お披露目の後、少し手を加えて、レンタルキャンピングカーとして利用されるそうです。実際に貸し出されるクルマだったので、外観の形が大きく変わることはありませんでした。

中に入ってみると、インテリアの第一印象は真っ白。まさにかまくらの中にいるような感覚です。壁、天井、床、すべてが白で統一されていました。
この内装のマテリアルを作ったのがトヨタ自動車ということです。なんと、2.5Dプリンターで作られているそうです。
2.5Dプリンターというのは、立体的な印刷ができるプリンターです。特殊な素材に印刷することで、表面に凹凸を作ることができます。

リアエントランスからフロントをみると、フルフラットになったベッドレイアウトで白い奥行きを感じる景色でしたが、後ろを振り返ると2.5Dプリンターの特徴的なテクスチャーがしっかりと確認できます。
天井、側面、フロア、すべてが特殊な素材で覆われていて、どこか柔らかさを感じる空気感があります。

シンクの横には雪が流れ落ちてきたようなイメージの壁が作られています。壁に手を触れると、少しザラザラとした感覚。雪のザラつきを表現しているのではないでしょうか。
その感触から、壁の素材は紙のようですが、しっかりとコーティングされていて、防水仕様になっているとのことでした。なので、シンクの回りに使ってもOKなのです。
床面にもこの防水素材が張られているので、スキーなどの濡れたウェアで室内に入ってきても問題ありません。かえって、クルマ本体の素材を守ってくれるかもしれません。

壁をさらによく見ると、凹凸があることを確認できます。流れ落ちてきているのは、やはり雪をイメージして作られたそうです。雪の表面をイメージしたデザインが広がっているので、包み込まれるような優しさを感じます。

その下にあるのは、雪のブロックで作った壁を表現しているとのことでした。変則的なテクスチャーがより自然らしさを醸し出しています。
第一印象は白!でしたが、2.5Dプリンターが作り出した立体的なテクスチャーのおかげで、車内で過ごす時間の経過とともに、リラックスした気分になれる、不思議な空間が広がっていました。
トヨタ自動車、星野リゾート、JAPAN C.R.Cの強みを活かしたキャンピングカーとスキー場の連携プレイ

ふんわりと優しく盛り上がったプリントアウト素材を見ていると、和んでしまうのですが、ふと疑問が……。
なぜ、トヨタ自動車がこのようなプリント技術を持っているのか、という疑問です。そこで話を聞いてみると。
トヨタ自動車は数年前から2.5Dプリンターを導入していて、クルマでの利用方法について、いろいろと考えていたそうです。
2.5Dプリンターを使えば自由にデザインできて、表面の凹凸を使って、印象の違うインテリアデザインができます。この特性を活かして、クルマのインテリアを使う人のニーズに合わせてカスタマイズできるのではと考えていたところでした。

プリンターといっても、しっかりと凹凸をつけられるので、インテリアデザインのバリエーションにも幅を持たせることができます。
上の写真のように本物そっくりの畳素材を作ってみたり、編み込みの凹凸を再現してみたり、いろいろなアイデアが出てきます。
表面の耐圧性能も高く、人が乗っただけでは、そのプリンターによって作られた凹凸が沈み込むことはないそうです。
だから、今回のかまくるまでは床面にもこのプリンター出力された素材を敷き詰めることができたのでした。
リゾート展開する星野リゾート、キャンピングカーをレンタルするJAPAN C.R.C、プリンター技術で新しいクルマを作るトヨタ自動車、各社の強みとタイミングがうまく組み合わさり、今回のコンセプトカーが完成した、といえるでしょう。
宿泊、リフト、温泉、朝食がついたお得なセットプラン

かまくるまは星野リゾートとJAPAN C.R.Cの旅行パッケージのために、トヨタ自動車、そしてデザインを担当した日本デザインセンターが一緒になって作ったコンセプトキャンピングカーでした。
その企画のベースともなったのが「キャンピングカー×ゲレンデ車中泊プラン」。以前にもまして、その内容が充実しているそうです。
場所は星野リゾートアルツ磐梯。パッケージされているのはキャンピングカーのレンタル料金、リフト券、車中泊スペース、駐車場、温泉、前泊費、朝食、早朝ライド、ナイター、ギア・ウェアの無料券などです。
駐車場はリフト直下の特別なスペース。ゲレンデから歩くことなく、すぐにキャンピングカーに乗り込める位置です。いつでもキャンピングカーの中でくつろげるのはいいですね。
オプション料金プラス5000円でワンちゃんも一緒に利用できるので、ワンちゃんとのスキー旅行も気軽に楽しめます。スキーを楽しんでいる間ワンちゃんは、キャンピングカーの中でぬくぬくと過ごせるのではないでしょうか。
キャンピングカーとウインタースポーツは相性がいい

キャンピングカーは冬でも快適に利用できるクルマです。その特性を活かして、星野リゾートアルツ磐梯では、キャンピングカーでのスキー旅行をサポートして、新しいお客さんが来場することを期待しているようです。
これまで、自分のクルマでは来られなかった人、寒さを敬遠していた人などが、レンタルキャンピングカーを利用することで、その行動範囲が広がり、冬のレジャーを楽しめるようになる。JAPAN C.R.Cでもこの点を意識していて、キャンピングカーとウインタースポーツの相性の良さをアピールしています。
トヨタ自動車にとっても、クルマをどのように使って活用するか、モビリティ全体をサポートする上で、キャンピングカーの可能性=クルマの新しい価値観を感じているようでした。
今回は各社がキャンピングカーの魅力を基に集まったコンセプトカーでした。このような企業連携によって、新しいキャンピングカーが生み出されていくことを考えると、キャンピングカーの今後が楽しみでなりません。
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