キャンピングカーでオペラを観に行く 前編

キャンピングカー活用法
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皆さんはオペラというとどんなイメージを持たれるでしょうか。オペラはその時代を代表する作曲家が、珠玉の脚本・台本に、最高の音楽をあてて作り上げた音楽劇です。またそれを上演する際には、最高の演出で常に最新の感性を制作に盛り込むこともできるのです。200年前、300年前の作品さえありますが、オペラは生きています。そして色あせることがない最高の総合芸術だと言ってもいいでしょう。しかし、そんなオペラは、音楽におけるテーマ性、表題が明確でストーリーがしっかりと存在していることから、観衆にとっても「わかりやすい」という効果もあるようです。ですからそんなオペラは、本場ヨーロッパでは、子供のクラシック音楽入門としてとらえられているようです。

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今は自動車ライターの筆者も、実はオペラを観るのをちょっとした楽しみしています。もともとクラシック音楽は好きだったのですが、縁あって学生時代にオペラを観る機会があり、そのライブの迫力、魅力に憑りつかれてしまいました。音楽的明暗、場面場面のメリハリのようなものが、それまでに聴いたことがあったオーケストラ作品よりも明確だったこと。そして観る者を熱くさせるものをより強く感じられたものでした。

最近ではこんな私であってもなんやかんやと割と多忙で、なかなか事前に予定を開けておいてオペラを観に行くということが難しくなっていますが、それでも年に一・二回はそんな日を設けることができれば、と思っております。

グランドツーリングの果てでオペラを観る

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そして、最近は、自動車ライターとしてクルマで旅をすることも増え、その魅力も常々いろんな機会に紹介させていただくようになりましたので、地方での魅力的な公演にクルマで出かけるというのも、実はちょっとした、趣味と実益を兼ねた楽しみだったりしています。

音楽会に出かける愉しみ。それはコンサートホールで、上演時間の間、座って聴いているだけではないと思っています。その公演を知って「そんなのがあるのか、行ってみよう」と思ったときに楽しみにし、そのチケットを取るとき、カレンダーに予定を書き込むとき、そして当日、ホールに向けて家を出る時。そんなことのすべてが、オペラの愉しみなのではないでしょうか。それで言えば、オペラの終演と共に、その愉しみが終わるわけでもないとおもっています。カーテンコールでは、今一度、つい今しがた目の前で繰り広げられた名演・名唱の数々が蘇ります。ホールを出て、その日の余韻に浸りつつ、おいしいものを食べたり、一杯飲むというのもいいかもしれません。家に帰って、動画サイトや私蔵のCDラックの中にある音源を聴き返すというのもいいものですね。確かに絶対的なきんすは安くはないオペラチケットですが、こんなことすべてがオペラの愉しみだと考えると、少し大げさな言い方をすれば、人生の愉しみを一演目分プラスさせることができる。オペラを一回観るというのはそういうことなのではないかと思うのです。

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であれば、できるだけ、オペラを観に行くのは遠くで、それ自体がちょっとした旅であればもっと楽しいのではないか。そんな目論見から、わざわざ遠隔地にオペラを観に行くということを時々しているのです。普段神奈川県に暮らす筆者ですので、都内の公演であれば、1時間少々あれば行くことができます。そこを敢えて、東京公演ではないものを観るということです。

大分で観る、ヴェルディ「アイーダ」

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2018年、私はイタリアオペラの父、ヴェルディが作曲した有名なオペラ「アイーダ」を九州大分に、キャンピングカーで観に行くことにしました。この有名なグランドオペラを観に行くこと自体を、ある程度壮大な旅にすることで、ワクワク感を盛り上げるというのが目的です。1200キロのグランドツーリングでオペラがスタートし、余韻に浸りつつのグランドツーリングで家路に就く。こんなのもいいものではなかろうか、と思ったのでした。

今回4つの劇場(札幌文化芸術劇場hitaru、神奈川県民ホール、兵庫県立芸術文化センター、iichiko総合文化センター)と3つの芸術団体(東京二期会、札幌交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団)の計7団体が共同で、ローマ歌劇場との提携のもと、ヴェルディ「アイーダ」(原語上演字幕付)を新制作すると発表があった時、私は迷わず、クルマで行ける一番遠い大分市のiichiko総合文化センターでの公演に行く決心をしました。春先のことでしたので、約半年、「大分でアイーダ!」を楽しみに日々を暮らす。オペラは多忙な日々の励みにもなり、生きる勇気をくれたりもするのですね。

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2018年の秋の訪れは少し早いようでした。木々の葉の色を見ても、比較的早くから色づき始めていました。そんな森の中を抜けて、山を越えて、海のかなたに沈みゆく太陽を眺めながら西へドライブする。アイーダを観に行くドライブのための環境としては申し分ないものと言ってよいでしょう。

一緒に旅をするキャンピングカーは、リンエイのヴァカンチェス。日産NV350キャラバンベースのモデルです。全長こそ5メートルを超す長さがありますし、4WDということもあって着座位置もかなり高いので、かなりの迫力がありますが、幅は所謂5ナンバーサイズ。1700㎜ないナローなため、案外取り回しがいいことは、この国で使うのには申し分ないサイズです。また、ディーゼルエンジンは力強く、ロングドライブでも楽で、力強い走りを体感させてくれます。

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ドライブし、星の下で夢を見ながら、舞台が見れる日を指折り数える

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そんな車内にはトイレ以外の居住装備がすべて備わります。とは言え日々、進めなければならない原稿の数々。そんなのを書き進めるために、ひざの上、ご婦人たちの井戸端会議や、元気な子らの話声の飛び交うファミレスなどに行かずとも仕事もできます。なにしろ大きな冷蔵庫もありますので、ドリンクバーも必要ありませんね。キャンピングカーのサブバッテリー。高価なリチウムバッテリーもいいでしょうが、そもそも鉛電池をなめていました。旅をしながら、人ひとりが暮らすくらいでは、電子レンジや湯沸かしを頻繁にすれば別でしょうが全く不足ないのです。FFヒーターもありますので、夜、エンジンを切っても寒さはしのげます。

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何よりも横になれるベッドが既にあるタイプのこのクルマ。ベッドの設営をしなくとも、夜中まで原稿を書き、そのままうとうとしかけたら、そこに倒れこめばいいのです。するとどうでしょうか!仮眠どころではなく、車内に、カーテンの隙間から日が差し込むまで爆睡できてしまう快適さ!

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キャンピングカーは良い!車中泊は楽しい!そういうフレーズは最近よく耳にします。そして、最近のキャンピングカーの作りの良さも、展示会取材などもしていたので知っていたつもりです。しかし、乗らないと分からない魅力、乗ればたちまちわいてくる実感。キャンピングカーの懐の深さこそ、リアルな体験なしには語れないものだ、そんな風に感じたのでした。

オペラに行く話の前の部分でかなり長くなってしまったので、実際、オペラを観に行く旅はどんなものだったのかは改めることします。

WRITER PROFILE
中込健太郎
中込健太郎(なかごみ・けんたろう)

自動車ライター。1977年生まれ。神奈川県出身。武蔵工業大学(現東京都市大学)工学部電気電子工学科・水素エネルギー研究センターを卒業後、自動車産業向け産業機械メーカーを経て、大手自動車買取販売会社で店舗業務からWEB広告、集客、マーケティングなどに携わる。現場経験に基づくクルマ選びや中古車業界の事情は今も明るいことから、ユーザーはもとより、自動車販売の現場からの信頼も厚い。幼少期からクルマをはじめとした乗り物好きが高じ、車種を紹介するコンテンツなども手掛ける一方、「そのクルマで何をするか」をモットーに全国をクルマで旅行し、食べ歩き、温泉巡り、車中泊といったカーライフに関する執筆も多数手がける。

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