30台のレンタルキャンピングカーを社員のために用意したキャンピングカービルダーNUTS

キャンピングカー活用法
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30台のレンタルキャンピングカーを社員のために用意したキャンピングカービルダーNUTS

行楽シーズンがやってくると、キャンピングカーを利用して、のんびりと旅をしたくなります。また、大切な人との特別な旅がしたい時に、キャンピングカーがあれば、と考えたことはありませんか。

そんな時、気軽に利用できるキャンピングカーがあったらいいですよね。ましてや、勤め先にあったら、さらに最高なんですが……

そんな会社がないかな、と思っていたら、キャンピングカービルダーのナッツRVがレンタルキャンピングカーを社員向けに30台も導入したという情報が入ってきました。

うらやましすぎる環境に興味を引かれつつ、なぜ、そのような大胆なことを実行したのか、詳しく話をうかがってきました。

社員向けレンタルキャンピングカーを30台導入

ナッツRV神奈川店の展示場に並ぶキャブコン

向かったのはナッツRV神奈川店。展示場にはキャブコンがたくさん並んでしました。この中に社員向けのレンタカーがあるようです。

ナッツRVは軽キャンからバスコンまで、たくさんの車種を扱っているキャンピングカーメーカーです。なかでもキャブコンのラインアップが豊富で、家庭用エアコンなどを搭載した快適性を追求したモデルが多いのが特徴です。

代表取締役社長の荒木賢治さん

お話をうかがったのは、代表取締役社長の荒木賢治さん。大量のキャンピングカーを導入したバックボーンには企業家らしい緻密な設計図があるようです。

「現在社員が約190名いますが、その社員の福利厚生として、レンタルキャンピングカーを導入しました。社員であれば、いつでも利用できるようになっています。というか、一般への貸し出しはしていません。社員専用になります。全部で30台、各店舗に2台ずつ置いて、残りを九州の2工場に分配しています」

導入されたクルマはクレソンジャーニー。断熱効果の高いパネルを採用して、快適な装備を詰め込んだ最新モデルです。この高い断熱効果を発揮するパネルを作るために、パネル専用の自社工場まで作ってしまったというから驚きです。

社員に貸し出すクレソンジャーニー

今回、社員向けにキャンピングカーを貸し出すことで、社長としての思いがあったようです。

「スタッフの中にはキャンピングカーに乗ったことのない人も多くいました。できれば、自分たちの作っているキャンピングカーがどのようなモノか体験してほしかった、という思いもありました。実際に乗ってもらうと、自分たちの仕事に興味を持てるし、さらに誇りを感じてくれるのではと考えています」

クレソンジャーニーの車両価格は771万円〜。30台となると膨大なコストとなりますが、それ以上にアドバンテージを感じているそうです。

「私たちがレンタルキャンピングカーを導入した理由は4つあります。それは、福利厚生、社内活動、CSR、企業が導入するメリットを示すことができる点です」

ファミリーで楽しんでもらえるキャンピングカー

社員に貸し出すクレソンジャーニー2

社員が福利厚生など、レジャー目的で利用する以外に、社内研修や社員旅行でも使うことも目的にしているとのことでした。これが社内活用ともいえる利用方法です。

さらに、取引先の方にキャンピングカーを貸し出すことも想定しているといいます。取引先企業の方と一緒に食事をしたりするのではなく、キャンピングカーを貸し出して、自社を知ってもらうために利用するのです。取引先にはファミリー世帯も多いので、みなさん喜んでくれるそうです。

これは、企業がキャンピングカーを所有して、接待などで利用する、という新しいビジネススタイルかもしれません。

キャンピングカーによってCSR(企業の社会的責任)を実現する

クレソンジャーニーの車内

CSRとはCorporate Social Responsibilityの略で、企業の社会的責任を表します。今回、ナッツRVが30台のクルマを導入した背景には、企業としての社会的責任を果たす役割もありました。

「たくさんのクルマを自由に動かせることに最大のメリットがあって、災害時などにすぐクルマを派遣することができます。自治体との災害協定を結んだりもしていますが、動かせるクルマがあることが大切だと考えています」

大きな災害が起きなくても、災害対策本部の設営準備をして、職員が待機する場合など、宿泊場所があると便利です。そんな、準備段階からキャンピングカーが活躍するのでしょう。

これまでにも、ナッツRVでは自治体と連携して、キャンピングカーを提供したりしてきました。普段は観光用途に活用して、災害時にサポート車両として利用してもらうために、クルマを提供しています。

次のステップとしては、その需要に答えられるだけの生産能力を上げることも視野に入れているとも。まずは、現在の生産台数を倍に増やすことを目標に掲げているといいます。

企業がキャンピングカーを所有することのメリット

クレソンジャーニーの後方ベッド

今回、ナッツRVが社員向けのレンタルキャンピングカーを用意したことは、大きな話題ではありますが、実は企業にとってのメリットがあることも広く知ってほしいそうです。

「キャンピングカーはコストがかかりますが、福利厚生はもちろんのこと、社員の休憩スペースなどにも利用できます。例えば運送会社がキャンピングカーを購入すれば、ドライバーが時間調整をするための休憩スペースとして利用することもできます。また、イベント会社などが、現地の下見に行った時、ホテルがない場所でも宿泊できることは、利用価値が大きいといえます」

このように、業務で利用することも可能なので、利便性が高い設備としても考えられます。しかも、資産価値が高いのもポイントのようです。

「キャンピングカーは数年後に売却しても、値崩れしないので、資産価値の高いクルマといえるでしょう。償却利益も見込めるので、経営者にとってもメリットが大きいのではないでしょうか」とのことでした。

キャンピングカーを活用して社員に変化が

クーラーが搭載

社員向けレンタル車両として準備されているクルマは、展示車両としても使われているので、神奈川店で車内を見学させてもらいました。内部は家庭用エアコンや電子レンジまでしっかりと装備されています。レイアウトは大きなリアダブルベッドタイプでした。

ファミリーでの利用が多いということから、自宅のように快適な設備は、キャンピングカーを知らない家族にとっても心強いことでしょう。また、広々とした室内空間で、子供たちも楽しい時間を過ごせそうです。

社員から集まったキャンピングカー使用レポート

社員がクルマを借りる時のルールとして、使用レポートを提出することになっているそうです。レポートには写真が添えられ、楽しかった思い出がたくさん記入されています。社内報でもこのレポートが紹介されることがあるので、社員のみなさんが利用したくなってしまうのも無理はないでしょう。

レンタカーを借りた人は営業、技術、といろいろな部署の方のようです。レポートを読むと、家族のためであったり、いろいろなイベントに利用している様子が分かります。みなさん、とにかく満足している様子です。

最初は福利厚生ということで、社員にキャンピングカーを知ってもらうために用意されたクルマでしたが、実際にレンタルを運用し始めたら、社員の意識、そして回りの環境が変わってきたといいます。

「レンタカーを利用したいという社員も多くなってきました。同時に社内活動に積極的に参加するようになり、社内的な取り組みも活発になってきた印象です。社員が育ってくれていることをとても実感しています」という代表取締役社長の荒木さん。

地域との連携など、企業としての対外的なイメージも向上して、定着率も上がっているそうです。そして、不思議なことに社員の友達や家族まで、ナッツRVに集まってているともいいます。

レンタルキャンピングカーとして30台のクルマが用意されましたが、その効果は大きかったようです。色々な、企業がこのモデルを参考にしてキャンピングカーを導入したら企業もキャンピングカー業界も発展するのではないでしょうか。

WRITER PROFILE
渡辺圭史
渡辺圭史(わたなべ・けいし)

1971年東京生まれ。アウトドア好きな編集者、そして、算数が好きだったライター。アウトドア用品メーカー、出版社を経て、キャンピングカー専門誌編集長に。現在はフリーとして、いろいろなメディアにて執筆中。アウトドアをキーワードに、より楽しいライフスタイルを求めてゆるりと奮闘中。最近気になっているワードは、旅、ミニマリスト、車中泊。趣味はコンパクトな旅とモノづくり。

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