「キャンピングカーは持ち運べる家です」。振り返ってみると、この20年間、ずっとそう言い続けて来た。快適な我が家を旅先のどこへでも持ち運べるツール。それがキャンピングカーだが、その宿泊事情はこの20年でずいぶん様変わりしたように思う。
目次
RVパークとは
キャンピングカーの旅は自由だ。時間にも行動計画にも縛られずに勝手気まま。基本はそうなのだが、では「どこで泊まろうが勝手」なのか。あるいは「どこでもかまわない」のか。
キャンピングカーでの旅を計画するとき、自由であるがゆえに「泊まる場所」の選択は大切だ。
安心できる、安全な場所であることはもちろん、観光や買い物に便利なところか。入浴施設は近隣にあるか?
また、その場所は宿泊が許可されているところだろうか。
そんな、キャンピングカーにとって「望ましい」条件をクリアしながら、お手軽な金額で利用できるおすすめの施設がある。RVパークである。
RVパークは、キャンピングカーの製造・販売会社の団体である日本RV協会が、ユーザーに安心してキャンピングカーを使ってもらうために推進している車中泊施設のこと。
その特徴は
安全安心
必ずキャンピングカーの特性を理解している担当者が現地調査をしていて、途中の道路状況なども含め「キャンピングカーで利用しやすいか」「周辺は安全な環境か」を確認している
快適である
電源・トイレ・入浴施設。この3つはいわば「三種の神器」だが、これらの設備が必ずそろっているのもRVパークの魅力。バッテリーの残量を心配することなく家電製品が使えるし、トイレも仮設ではなくきれいな設備が整っている。入浴施設については必ずしも併設ではないが、それでも車で10分圏内にあることが条件になっている。
とにかく便利
全国全てのRVパークで必ず引き取ってもらえるのがゴミだ。旅も長くなるとついつい溜まりがちになるが、RVパークではゴミの引き取り料金が施設利用料に含まれていたり、数十円~数百円で各自治体指定のごみ袋を販売して処分を引き受けてくれたりする。(分別や指定の袋など、諸条件は施設ごとに異なるので注意)
また、施設によっては給排水やダンプステーションもあるのも心強い。
安価である
安心・安全に宿泊できて、ゴミも処理してもらえてお風呂も近い。トイレもある。こんな便利な施設がいくらするのか。金額は施設によって値段は異なるが、日本RV協会では一泊5000円の上限を設けている。それも人間一人あたりの金額ではない。車1台の料金なのだ。実際はほとんどの施設が1泊3000円以下、しかも車の大きさや、利用人数での追加料金がないのもうれしい。
利用は簡単!
RVパークを利用するのに、登録などは一切必要ない。車種にも制限はないので、乗用車で車中泊する場合でも利用可能だ(テント泊は不可)。スペースの都合で車のサイズに制約がある場合を除けば、日本で車検の通るすべてのサイズのキャンピングカー、トレーラーで利用可能だ。
RVパークの楽しみ方
RVパークは現在、日本全国に121箇所(19年3月現在)。実に個性さまざまで、サイトを見ているだけでも面白い。温泉旅館の駐車場の一角がRVパークになっていたり、地ビールレストランに併設されているケースも。周辺に遊びのスポットがなさそうなのに、週末ともなると争奪戦になるのが「都市型」のRVパーク。そこに安く車を停めておいて好きな所へ、電車でアクセスできるのだ。旅の目的が人それぞれであるように、RVパークも百花繚乱。スタンプラリー感覚で片っ端から制覇している人もいるほどだ。ほんの一例をご紹介しよう。
RVパーク京都中央
その名の通り京都の中心部に位置している。ここにキャンピングカーを止めて、公共交通機関を使って京都観光を楽しもう
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RVパーク碁点温泉・最上川三難所
温泉施設併設型のパーク。温泉だけでなくサクランボ狩りや三難所舟下りなど、周辺のアクティビティも充実している
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RVパーク 甲州市勝沼ぶどうの丘
甲府盆地の夜景、南アルプスの山々など絶景が魅力。ワインカーヴでは200種類のワインが試飲できる(有料)
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RVパーク犬山ローレライ麦酒館
地ビールレストランに併設されたパーク。車とアルコールは絶対NGの組み合わせだが、泊まれるならば全く問題ない
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RVパークの存在意義
いつも行くキャンプ場や目的地が決まっていて面白くない。マンネリ化している。RVパークはそんな人にとって、旅のバリエーションを広げるヒントになるだろう。
そして何より、RVパークが発展することで得られるのは、キャンピングカーユーザーの「社会的信用」だと私は思っている。
「キャンピングカーの人は河原や空き地に集まって、遊んだ後にゴミを置いていく」
「マナーが悪い。深夜まで騒いでいる」
「大きな車が狭い駐車場に我が物顔で居座って困る」
これらの声は、取材してきた中で各地での言葉だ。行儀の悪いユーザーはほんの一握りのはずだが、なにしろキャンピングカーは目立つ。一人でも「よくないサンプル」に出会ってしまうことで「キャンピングカー」=迷惑な存在、とレッテルを貼られてしまうのはどうにも辛い。
とことん、キャンピングカーユーザーのことを考えて作られているRVパーク。ユーザーの間で定着し、利用が促進され、件数がどんどん増えてゆけば、ますますキャンピングカー旅の自由度が上がるはず。ぜひ一度、手軽で楽しいRVパークを体験してみていただきたい。
安心快適な日本RV協会認定車中泊施設 RVパーク