
日本特種ボディー(NTB)が、今年1月に開催された東京オートサロン2026で、最新キャブコン「GeoRoam(ジオローム)」を初公開した。NTB製のキャブコンは、全車種にいすゞのキャンピングカー専用シャシーが用いられているが、同モデルはベースシャシーの最上級に位置付けられるビーカム・ワイドキャブを採用したのが最大のポイントだ。
製作プロジェクト発足のきっかけは、いすゞからNTBに「最上級のベースシャシーで、最高峰のキャンピングカーを作ってほしい」と提案があったこと。そこから、いすゞとNTBで意見交換を重ね、ゼロベースで新型キャブコンの開発が進められた。
コンセプトは、「オーバーランドとラグジュアリーの融合」だ。エクステリアは、NTBがエクスペディションシリーズで培ってきた、オフロード系キャンピングカーのノウハウを結集したヘビーデューティ仕様。インテリアは、素材や仕上げに徹底してこだわったラグジュアリー仕様。世界観の異なる内外装を絶妙に融合することで、唯一無二のキャンピングカーを作り上げた。
国産最上級シャシー「ビーカム・ワイドキャブ」
NTB製キャブコンに用いられるキャンピングカー専用シャシーは、エントリーモデルのいすゞ・トラヴィオ、フラッグシップモデルのいすゞ・ビーカムの2車種。ジオロームは、ビーカムの中でも最上位となる、ワイドキャブをベースに採用したのが最大のポイントだ。ビーカムのハイキャブが全幅1770mmなのに対し、ワイドキャブは全幅1995mm。左右方向+225mmのゆとりが、移動時の快適な乗り心地と停泊時の広々とした居住空間をもたらしてくれる。3415mmのロングホイールベースも、大きなアドバンテージ。通常のハイキャブと比べてホイールベースが925mmも長いため、大型キャンピングシェル架装が可能になり、優れた走行安定性も実現できる。
ビーカム・ワイドキャブの駆動方式は4WDのみの設定となるが、これもキャンピングカーにとって大きな優位性だ。競合車となる欧州モーターホームはFF車が一般的で、ごく一部のモデルを除いて4WDの設定がない。全長7mクラスのハイエンドキャンピングカーでありながら、悪路に強い4WDであること。それが、ビーカム・ワイドキャブベースの大きな武器であり、アウトドアレジャーで悪路を走る機会が多い人、ウインタースポーツで雪道を走る機会が多い人にとっては、かなり魅力的な要素といえるだろう。
ビーカム ハイキャブ・ワイドキャブの比較
| ハイキャブ | ワイドキャブ | |
|---|---|---|
| 駆動方式 | 2WD/4WD | 4WD |
| 許容車両総重量 | 5.45t | 6.6t |
| 全幅(キャブ) | 1770mm | 1995mm |
| ホイールベース | 2490mm | 3415mm |
| タイヤ前後(後輪ダブル) | 205/75R16 | 225/70R16 |
先進安全装備の充実度も、ビーカムの大きな魅力のひとつ。プリクラッシュブレーキ、ふらつき警報、車間距離警報はもちろん、前車と車間距離を保持しながら加減速や発進・停止を行う「全車速車間クルーズ」、ステアリング操作を電動でアシストする「レーンキープアシスト」、カメラでドライバーの異常を自動検知して車両を緊急停止させる「ドライバー異常時対応システム」など、あらゆるキャンピングカーベースの中でもトップクラスの先進安全装備が搭載されている。
オーバーランド風エクステリア
ボディは、欧州モーターホームにも引けを取らない全長6720mm×全幅2200mm×全高2950mmの堂々たるサイズ。オフロード系キャブコン・エクスペディションシリーズで培ったノウハウを結集し、アウトドアユースから災害支援まで活躍するヘビーデューティ仕様に仕上げた。デパーチャーアングル(リアタイヤの接地面~リアバンパー後端の角度)を確保して悪路走行時のリアボディ接地を回避したほか、キャブとシェルをあえて分離式とすることで、ボディのねじれを逃がしてタイヤの接地性を高め、オフロード性能を向上させている。
フロントボトムにはパイプ形状のバンパーガード、キャブ上部にはルーフキャリアとLEDバーライトが装備され、ワイルドなオーバーランドイメージを加速する。
キャビンとシェルの間には、ルーフに上り下りするためのラダーが設置されている。ルーフの左右と後部には、型抜きデザインのアルミパネルを取り回して実用性とワイルドなルックスを両立。左サイドの後方には、YAKIMAのサイドオーニングを装備する。
下部にブラックの縞鋼板をあしらったリアボディも、オーバーランドイメージが強く感じられるデザイン。左手にはスタックラダー、右手には折りたたみ式ラダーとスペアタイヤが装着される。
ボディ左下には、フタ付きの外部収納庫をセット。室内と独立したスペースなので、濡れ物や臭いが気になる物も安心して収納できる。
ボディ右手の大型バケッジドアを開けると、ベッド下の収納スペースにアクセスできる。
左後部の縦型ドアはマルチルームとつながっており、荷物やトイレタンクの出し入れも容易に行える。
心地いいカフェのような室内空間
オーバーランドテイストの外観に対し、室内はラグジュアリー感を重視した落ち着きのあるデザインで統一されている。「最上級ベースシャシーを使用した、最高峰のキャンピングカー」というテーマに沿って、使用する素材のひとつひとつを吟味。照明の色や位置、外光の入り方にもこだわり、クルマの中とは思えないほど上質な空間に仕上げた。
室内の随所には、天然木が贅沢に使用されている。テーブルやカウンター、ダイネットのフローリングには特殊な圧縮加工で強度と防水性を高めた杉材を用い、家具の扉には半艶仕上げを施した天然木の無垢材をチョイス。温かみのある天然木と、職人が手作業で仕上げた漆喰の壁で、心地よいカフェのような室内空間を演出した。5kWh(24V400Ah)リチウムイオンバッテリーや家庭用エアコン、ソーラーパネル、FFヒーターなど、標準装備もハイエンドキャブコンならではの充実度だ。
リアエントランスドアを採用することで、リアエリアにゆとりある空間を確保。最後部には天然木をふんだんに使用したキャビネット、上部には家庭用エアコンが装備される。
リア左手には、使い勝手と質感にこだわったキッチンを配置。カウンターには2バーナーコンロ付きシンク、キャビネット内には電子レンジがスマートにセットされている。
カーテンと壁で仕切られた常設ベッドは、長さ1800mm×幅910mmのセミダブルサイズ。ベッドマットの表皮は、ダイネットシートと同様に質感の高い本革を採用する。
ダイネットの通路にマットを敷き詰めると、長さ2030mm×幅1780mmのキングサイズベッドになる。常設ベッドとの組み合わせで、最大4名が就寝可能だ。
天井のウッドパネルにセットしたLEDダウンライトが、室内を柔らかく照らし出す。随所に配したスポットライトも暖色系で統一され、温かみのある空間を演出した。
エントランスの正面には、倉庫やトイレとして使えるマルチルームを完備。電気ボイラーシステムを標準装備したハイエンドモデルの場合、シャワールームとしても活用できる。
エントランス左手には、70ℓ冷蔵庫をビルトイン。両開きタイプなので、室内からも車外からもアクセスしやすい。
まとめ
ジオロームは、最上級ベースシャシーのビーカム・ワイドキャブにNTBの"本気"を詰め込んだ、国産最高峰のキャンピングカー。グレードは2種類で、価格はベーシックモデルが2178万円、電気ボイラーシステムや780Wソーラーパネルを標準装備したハイエンドモデルが2365万円となる。すでに受注はスタートしているが、プロトタイプと量産モデルは一部仕様が異なるので、詳細は事前に確認すること。ここで紹介したジオロームのプロトタイプは、1月30日~2月2日に幕張メッセで開催される「ジャパンキャンピングカーショー2026」に展示される。ぜひブースに立ち寄って、NTBの"本気"を感じてみよう。
ジオローム諸元
- ベース車
- いすゞ ビーカム・ワイドキャブ×ロングホイールベース
- エンジン
- ディーゼル3.0ℓ・9速AMT
- 駆動方式
- 4WD
- 車体サイズ
- 全長6,720mm/全幅2,200mm/全高2,950mm
- 定員
- 乗車定員5人/就寝定員4人
- 価格
- 2178万円(ベーシック)/2365万円(ハイエンド)



