![ワンタッチで2段ベッドを設置する和モダンキャンピングカー「カントリークラブ」が進化する](https://camping-cars.jp/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_01.jpg)
キャンピングカーの本場といえば、ヨーロッパや北米のイメージが強いでしょう。そして、デザインも洋風なものが主流になっています。しかし、国内で生産されるキャンピングカーのなかには、日本独自に進化したキャンピングカーも存在するのです。
その1つがレクビィのカントリークラブ。インテリアは和モダンを強く感じる仕上がり。そして、このクルマの最大の特徴は、リアに設置された2段ベッド。独自に開発した簡単に2段ベッドがセッティングできる機構は秀逸です。
そこで今回は、カントリークラブシリーズの最高峰ともいえる、スーパーハイルーフをベースにしたアルトのエアコン仕様をレクビィオストベネベントでチェック。改めてその2段ベッドの機構に驚かされることになりました。
目次
ハイエースベースのキャンピングカーに独立シャワールームを設置
![レクビィのカントリークラブアルト車内](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_02.jpg)
レクビィのキャンピングカーはエクスクルーシブ、プレミアム、スタンダードの3つのセグメントに分かれていて、カントリークラブはプレミアムクラスのモデルになります。
カントリークラブはプレミアムクラスらしく、落ち着いたインテリアで高級感が漂っています。基本的なレイアウトは2段ベッドになる大きなソファにキャプテンシートタイプのリビングスペースがあって、その奥にリア防水ルームが設置された2ルーム仕様になっていることです。
![カントリークラブアルトの防水ルーム](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_03.jpg)
防水ルームといっても、しっかりとした広さを確保していて、シャワーを浴びても余裕の広さです。特にアルトモデルになるとスーパーハイルーフがベースになるので、室内高は約180㎝もあって、さらに広さを感じることでしょう。
完全防水なので、濡れたものを入れておいたり、外で遊んだ帰りに、リアから乗り込んで、足を洗い、リビングエリアへ入っていく、といった使い方もできます。
![防水ルームの収納扉](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_04.jpg)
バンコンの場合、荷物を載せる時、リアゲートを開けて積み込むことが多いのですが、リアに防水ルームがあると、荷物を載せられるのかが心配になってきます。でも、このカントリークラブでは、しっかりと収納エリアへつながる扉がありました。
上写真のように、ここからシート下にアプローチできるので、長尺物もしっかりと収納できるようになっています。バンコンには珍しい2ルームを採用しながら、バンコンらしい、使いやすい収納スペースはそのまま確保しているのです。
ぜいたくな時間を過ごす豪華なシートが設置されたキャンピングカー
![カントリークラブアルトのリビング](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_05.jpg)
インテリアの基本レイアウトはベンチシートにキャプテンシートの対面対座リビング。右側に大きなソファーがあって、その向かい側に豪華なシングルシートが2つ並べられ、対面で設置できるようになっています。
今回取材したクルマはエアコン仕様だったので、左側後方のシート上部に家庭用エアコンが設置されていました。エアコンを取り付けると、吊り下げ棚が低い位置にくるのですが、手前の棚はエアコンよりも内側にセットされていて、乗っている人の動線を遮ることがない設計になっています。
この気配りがレクビィらしさ、といえるでしょう。実際に使う人の動線を想定して、車内で動く時のストレスを最小限に抑える工夫が施されているのです。
![カントリークラブアルトのキャプテンシート](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_06.jpg)
走行時にはシングルシートをフロントへ向けて利用します。セカンドシート側はオットマン仕様で使うことも可能です。足を伸ばして、体をシートに預けて、リラックスしながら移動できるのは快適です。
![カントリークラブアルトのベンチシート](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_07.jpg)
ベンチシートは美しいラインが入っていて、和モダンを強く感じるデザイン。この大きなベンチシートですが、このクルマの最大の特徴ともいえるギミックが詰まっているのです。実はこのベンチシートは簡単に2段ベッドへとトランスフォームします。
![ベンチシートのベッド展開](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_08.jpg)
背もたれ部分の下部に手をかけて、持ち上げると、大きな背もたれが上部を支点に起き上がってきます。それほど力も必要ありません。片手で作業できるほどでした。
![サイド金具の工夫](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_09.jpg)
そして、背もたれを持ち上げながら、両サイドの金具を上の写真のようにセットして、背もたれをこの金具の上に載せます。この金具も磁石で収納されていて、簡単にセッティングできるのがポイントです。
片手で作業しているので、この扱いやすさが、とても心地よく感じてしまうのです。2人で作業するのであれば、さらにスムーズに作業ができると思います。
![カントリークラブの2段ベッド](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_10.jpg)
あっという間に2段ベッドの完成です。本当に数秒で完成できるので、「さあ、寝よう!」と思ったらすぐにベッドメイクできてしまいます。
2段ベッドの上段マットになった背もたれは、窓側を支点にして回転する仕様で、手前左右に上の写真にあった金具2つで支える形になります。しっかりとした金具なので、ベッドはしっかりと固定されています。
![カントリークラブの上段ベッド](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_11.jpg)
最後に2段ベッドの上部へ転落防止柵をセットすれば完成です。キャプテンシート側のエリアにはまったく干渉しないので、テーブル側はそのままでベッドメイクできるのも使いやすいのではないでしょうか。
※実用新案3239768「キャンピングカーのベッド兼用ベンチ」で実用新案登録
フルフラットで広々としたベッドエリアを展開
![カントリークラブのベッド展開](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_12.jpg)
二人旅などであれば、2段ベッドが使いやすいですが、ファミリーなどで使うのであればフルフラットベッドレイアウトもおすすめです。もちろん、この状態で上部の2段ベッドを使うこともできますので、就寝人数に合わせたアレンジが可能です。
![フルフラットベッド](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_13.jpg)
ベンチシートとキャプテンシートを組み合わせたフルフラットベッドはバンコンでも珍しいかもしれません。そもそも、形状が異なるシートをつなげることが大変なのです。直線的なラインばかりでなく、曲線も多くなるので、マットの構成が難しくなります。
それでも作り込んでくるのがレクビィ。シートの曲線をきれいにトレースするように、スペースを埋めるマットを作成。すべてを組み合わせると、ピッタリときれいに収まってくれます。
ベンチ部分とシングルシート部分の間のマットは、シングルシートの肘掛け部分を利用しています。この絶妙なラインが隠されていたことには驚きます。
美しさを使いやすさを両立したハイエースキャンピングカー
![カントリークラブアルトのインテリア](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_14.jpg)
インテリアのアクセントになっているのが、流れるような曲線のラインかもしれません。直線的なバンコンのインテリアのなかに、優しいラインが現れ、乗った人の目を引きつけます。そして、なぜか癒されてしまうのです。これがまさに和モダンといえるでしょう。
ベッド上部にある模様は布を使って表現されていました。木材の表面を少し掘り込んで、布を張っていく、凝った作りです。この美しい板は飾り用ではなく、しっかりと実用性も兼ね備えていました。
![吊り下げ棚](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_15.jpg)
固定しているベルトを外すと、手前に倒れ込んできて、吊り下げ棚として利用できるのです。2段ベッドにした時、上部のヘッドクリアランスを確保するためにフォールディング式になっていたのです。
その下には差し込みタイプのブックスタンドのような形の収納スペースも確保されていました。寝る前に読んでいた本を簡単に収納できる便利な仕様です。
![扉付吊り下げ棚](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_16.jpg)
フロント側には扉がつけられた常設の吊り下げ棚があります。上部にはLEDライン照明が取り付けられていて、柔らかい光が手元に届きます。
![カントリークラブアルトのバンクエリア](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_17.jpg)
運転席上部のバンクエリアはドライバーズシートアッパーヘッドシェルフの収納スペースとして利用できます。かさばる寝具などを入れておくにはちょうどいいのではないでしょうか。このシェルフの下には標準で付いている車両用リアクーラー吹き出し口を移設してありました。
![シート下収納](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_18.jpg)
ちなみに2段ベッド下も収納スペースになります。リアの防水ルームに取り付けられた扉はこのスペースにつながっていたのです。上部吊り下げ棚と合わせれば、十分な収納力といえるのではないでしょうか。
フロント側にまとめられたコンパクトなキッチンエリア
![カントリークラブのキッチンエリア](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_19.jpg)
キッチンはエントランスを入ってすぐの場所にあります。L字型のカウンタートップにシンクが取り付けられ、窓側にはAC100Vコンセントが設置されています。炊飯器など電気調理器を使う時など、使うシーンを想定したレイアウトが考えられています。
L字型カウンタートップの中央部分は跳ね上げ式になっています。ここを立ち上げると、運転席側からウォークスルーでリアエリアへ移動するのが容易になります。使いやすいL字型カウンターとウォークスルーという機能を両立させたレイアウトになっていました。
![冷蔵庫と電子レンジ](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_20.jpg)
キッチンカウンター下には冷蔵庫やオプションの電子レンジがセットされています。カントリークラブシリーズでも、スーペリアグレードをセレクトすれば、おすすめの装備がパッケージされることになるので、電子レンジなども標準装備になります。
エントランス側に扉が開く冷蔵庫の位置が、ベンチからもシングルシートからも手が届いて、使いやすい位置にセッティングされているのが絶妙です。
![カントリークラブアルトの陶器シンク](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_21.jpg)
レクビィ本社は愛知県瀬戸市にあります。瀬戸市といえば焼き物で有名。土地柄を活かしたアイデンティティともいえる装備がカントリークラブのインテリアにはありました。
それがこのシンク。なんと織部焼という陶器を使っているのです。キャンピングカーとしては非常に珍しい仕様ですが、和風モダンテイストにあふれ、瀬戸市のレクビィの印象を強く感じさせてくれます。
![カントリークラブのシート生地](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_22.jpg)
陶器や飾り布など、趣向を凝らしたインテリアで和モダンを感じる仕上がりになったカントリークラブですが、シート生地などにもこだわりを感じます。
シート生地をよく見てみると、レザー調の生地に織物の様なテクスチャーを見せる布を組み合わせて、日本らしい雰囲気を出しています。ヨーロッパ生まれのキャンピングカーを日本の技で和モダンテイストにしているのがよく分かります。
![レクビィのカントリークラブアルトフロント](/wp-content/uploads/2022/12/countryclub_23.jpg)
落ち着きのあるインテリア、和モダンを感じる家具、まさに日本独自に進化してきたジャパンオリジナルといえるバンコンモデルカントリークラブ。長旅に利用しても、この空間に戻ってくれば、体も心もリラックスできる心地良い空気を感じることができます。
キャンピングカーの求めるものは人それぞれですが、キャンピングカーに日本人としての癒しを求めるのであれば、おすすめできる1台かもしれません。また、ヨーロッパのユーザーにもぜひ体験してもらいたい1台といえるジャパンオリジナルモデルでした。
カントリークラブスーペリア+A/C仕様アルト諸元
- ベース車両
- ハイエーススーパーハイルーフ特装車
- 車体サイズ
- 全長5,380mm/全幅1,880mm/全高2,610㎜
- 定員
- 乗車定員7名/就寝定員/4名
- 価格
- ¥9,691,000〜