
ハイエース、デリカD5ベースのバンコンを中心に、軽キャンパー、トラベルトレーラー、福祉車両まで、多種多様な車両を取り扱うキャンピングカービルダーケイワークス(愛知県豊橋市)。
快適なキャンピングカーライフの実現に向けて、これまでも積極的にさまざまな取り組みを行ってきた同社が、いよいよ軽キャンパーへのリチウムイオンサブバッテリーシステムの搭載というエポックメイキングな試みをスタートした。
2019年11月より受注開始となった、リチウムイオンバッテリー仕様の軽キャンパー。その魅力とメリットを紹介する。
薄型バッテリーの開発で狭い空間にも搭載可能に!


ここ数年、既存の鉛バッテリーよりも高性能なリチウムイオンバッテリーが、キャンピングカーのサブバッテリーとして使用されることも増えてきたが、リチウムイオンバッテリーを採用した軽キャンパーはほとんど見かけることがなかった。その一番の理由は、車内空間がコンパクトな軽キャンパーでは、大きなリチウムイオンバッテリーの搭載スペースを確保するのが困難だったこと。
その難題を解決するべく、ケイワークスではオリジナルの100Ah薄型リチウムイオンバッテリーシステムを開発。これまで同社の軽キャンパーに搭載されていた薄型ディープサイクルバッテリーと同サイズに抑えたことで、内装レイアウトを変更せずにリチウムイオンバッテリーを搭載することを可能にした。
もちろん新車だけではなく、すでに鉛タイプのサブバッテリーを搭載しているユーザーカーも、ボルトオンでリチウムイオンバッテリーへのアップグレードが可能。バッテリーの容量や性能はそのままにコンパクト化を実現した、オリジナル薄型リチウムイオンバッテリーの恩恵は大きい。
「軽キャンパー×リチウムイオンサブバッテリー」のメリットは?

消費電力の大きな電子機器をストレスなく使えること、鉛バッテリーと比べて約5倍の長寿命であること、使用領域が鉛バッテリーの約2倍であることなど、リチウムイオンバッテリーのメリットは多い。生活電源の充実は、すべてのキャンピングカーにとって大きなアドバンテージとなるが、軽キャンパーに特化して考えた場合、リチウムイオンサブバッテリーシステムを搭載する最大のメリットは何なのか?
例えば、暖房。キャンピングカーの暖房としてはFFヒーターがスタンダードだが、軽キャンパーのコンパクトな室内空間に対して、FFヒーターの暖房能力はオーバースペック。車内がすぐに暑くなってしまうし、空気の乾燥も著しい。当然、FFヒーターを搭載するには高額な費用(パーツ代+工賃)もかかる。
しかし、電気を効率的に使用できるリチウムイオンバッテリーがあれば、FFヒーターがなくてもホットブランケットなどの電気式暖房器具を安心して使えるようになる。FFヒーターの装着費用を浮かせられ、冬でも快適に眠れる暖かさを電気で実現できる。軽キャンパーにとって、これは大きなメリットだ。
もう1つのメリットが、既存の鉛サブバッテリーと比べて軽量化できること。具体的に、ケイワークスの軽キャンパーに採用されている既存の鉛サブバッテリーの重量は28kg。それに対し、新たに採用された薄型リチウムイオンサブバッテリーの重量は、たったの15kg。
もともとパワーに余裕があるとは言えない軽キャンパー。重量が軽くなれば、そのぶんクルマの運動性能(走る・曲がる・止まる)はトータルで向上する。これも、軽キャンパーに薄型リチウムイオンサブバッテリーを採用する大きなメリットと言える。
シンプルを極めたワゴンベースの軽キャンパー「NEDOKO」

今回取材したケイワークスのNEDOKO(ねどこ)は、エブリイワゴンをベースに必要最低限の架装を施した軽キャンパー。安全装備や快適装備が充実したエブリイワゴンのメリットはそのままに、車内で快適に眠れる要素をプラスしたシンプル仕様だ。

リアシートは純正のままなので、走行中の座り心地も快適。ベッド展開は、シートを前方に倒して格納~ベッドボードの脚を出して固定~その上にベッドマットを敷き詰めるという3ステップのみ。

標準装備のベッドマットには、トップアスリートも愛用するエアウィーブをさらに進化させたオリジナルの耐圧分散コアベッドマットを採用。抜群の寝心地に加え、優れた通気性や保温性も確保され、季節を問わず快適な眠りをサポートしてくれる。

リアエンドには、耐荷重30kgを誇る堅牢なリアスライドテーブルを標準装備。サビに強いステンレス製なので、水や汚れを気にせずラフに使用できる。

標準装備は、上記のベッドキット、リアスライドテーブルのみのシンプルな構成だが、それ以外にも家具や電装系などさまざまなオプション装備を用意。ユーザーのライフスタイルに合わせて必要なオプションパーツを組み合わせれば、自分仕様の軽キャンパーに仕上げることができる。
もちろん、リチウムイオンサブバッテリーシステムもオプション設定。価格は、既存のサブバッテリーシステムが15万円(税別)、リチウムイオンサブバッテリーにアップグレードすると15万円+23万円(税別)となる。

ケイワークスでは、オリジナルの薄型リチウムイオンサブバッテリーを自社の軽キャンパーに採用するだけにとどまらず、ほかのビルダーにも積極的にOEM供給していきたいとのこと。
高性能&コンパクトな薄型リチウムイオンサブバッテリーの登場で、軽キャンパーのリチウムバッテリー化が一気に加速する!?
NEDOKO(ねどこ)のタイプ
Aパック:標準装備のみ(ベッドキット)Bパック:マルチカーゴボード+ルーフ収納
Cパック:サブバッテリー走行充電システム(UPグレードでリチウムに変更可能)
ケイワークスのNEDOKO(ねどこ)のHPはこちら