ワイルドな4駆ハイマー「ML-T570」。2人のキャンピングカーライターが、その魅力を語る

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2月に開催されたジャパンキャンピングカーショー2018で、他のクルマとは一線を画すオーラを放っていた「ハイマーML-T570 4WD Concept」。ハイマー社の60周年記念限定モデルをベースに、よりアクティブなイメージを演出したコンセプト車両だ。

最大の特徴は、ベースカーがメルセデスベンツの4WD車であること。これは現時点でフィアットやフォルクスワーゲンベースのキャンピングカーにはない、メルセデスベンツだけの大きなアドバンテージだ。ウインタースポーツが盛んな本国ドイツでは、現在ハイマーベンツモデルのオーダーの約40%を4WDモデルが占めているという。

ベンツの4WDハイマーをベースに、ワイルドな4駆テイストをさらに強調した、エポックメイキングなこの1台。今回は、本サイトで原稿を執筆している2人のキャンピングカーライターに「ハイマーML-T570 4WD Concept」を1泊2日で体験してもらい、それぞれの視点でクルマについて語ってもらうという、『キャンピングカースタイル』としても初めての試みを実施した。

1人は、キャンピングカー取材歴25年のベテランキャンピングカーライター町田厚成氏。もう1人は、テレビやラジオ、トークショーでも活躍中の若手キャンピングカーライター岩田一成氏。2人のキャンピングカー専門家は、「ハイマーML-T570 4WD Concept」をどのように評価するのか。

ワイルドな4駆イメージを強調した唯一無二の外観デザイン

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――まずは、このクルマのファーストインプレッションを聞かせてください。

【町田】正直なところ、ハイマーというブランドイメージとワイルドな4駆イメージの外観がうまく合致せず、自分的に多少とまどいがありました。長年の取材を通して自分の中に確立したハイマーのイメージは、ハイソでノーブルなモーターホーム。張り切って存在感をアピールするというよりは、「私のお父様もこれに乗っていましたのよ」的な奥ゆかしいセレブが乗るクルマという印象が強いんです。だから、このクルマを初めて見たときは衝撃を受けましたね。

【岩田】長年の取材でハイマーブランドを知り尽くしている町田さんならではの意見ですね。僕は、ハイマーについてそこまで深い知識もすり込みもないフラットな感覚なので、単純に「面白いクルマが出てきたな」とワクワクしました。「ワイルドな4駆ハイマー! こんなモーターホーム、初めて見た!」という感じで、ショー会場で見た時からとても印象に残っていました。サーフィンやウインタースポーツなど、走破性が必要となる様々なアクティビティをハイマーで楽しめる。そこに、今までにない贅沢さを感じましたね。

【町田】あらためてじっくり見てみると、このボディサイズと車高は、かなりのインパクトですよね。モーターホームでこうした4駆スタイルはやはり新鮮だし、もともとボンネット型のクルマが好みの自分的に好きなスタイルです。何にせよ、ハイマーというブランドイメージをガラリと変えたクルマであることは間違いないですね。

【岩田】タフでワイルドな4駆のイメージを前面に出してはいますが、決して下品ではないのがハイマーらしさですね。例えば、ゲレンデヴァーゲンやレンジローバーなどのように、本格的な4WDでも都会に似合うクルマってありますよね。高いオフロード性能を持つ4WD車でありながら、都会にも違和感なく溶け込む。セレブが都市部で乗り回して、それがステイタスになるような4駆。まさにこのハイマーも、そんな感じだと思うんです。ワイルドな外観ですが、表参道や青山に止めてあってもオシャレに思える。それが、このハイマーの大きな魅力であり、アイデンティティだと思います。

悪路をものともせずに駆け抜けるタフな走行性能

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――今回、岩田さんに運転してもらって450Km以上の長距離ドライブを体験していただきました。数10台のキャンピングカーの走行テストを経験してきた岩田さんですが、実際にこのクルマを運転してみて、走行性能についてどんな感想を持ちましたか?

【岩田】「よくできた足だな」という印象ですね。パッと見から車高の高さが際立つクルマなので、もっとボディがフラフラと揺れるかと思いましたが、ロールもピッチも適度に抑えられていてボディは想像以上に安定していました。
走行テストを行った日は全国的に突風が吹き荒れ、トラックが風にあおられて横転する事故が起きるほどの悪条件でしたが、そんな中でも非常に安定した走りを見せてくれました。欧州車らしくステアリングフィールがどっしりとしているので、フラフラと風にあおられることなく安心してアクセルを踏み込める。一般的なキャンピングカーなら、あの悪条件下ではそうはいかなかったと思います。

【町田】リアシートに乗っていても安定していました。フロントの視界が開けているし、車内がとても明るいので、長距離移動でもストレスを感じることはなかったですね。当然ボディの揺れはありますが、たぶん風を受けた時にフロントシートで感じる揺れと同じレベルだと思いますし、車酔いを誘発するようなフワフワ感もなかったです。さすがはハイマーという感じですね。

【岩田】この車格、この車高であれだけ走れるのはすごいことだと思いますよ。それでいて、足回りに特別なチューニングが施されているわけじゃない。今回ドライブした車両に装着されている足回りの強化系パーツは、リア増しリーフのみ。つまり、ほぼ純正なんです。硬すぎず柔らかすぎない絶妙なバランスで、乗り心地を確保しながら過度なボディの揺れは抑える。メルセデスベンツベースらしく、バランスのとれた足だなと感心しました。

【町田】狭い一般道でのすれ違いは少し大変そうでしたけど、運転のしやすさはどうでしたか? 高速道路では、あの風の中かなりハイペースで快適に運転されていましたが。

【岩田】ボディサイズは多少慣れが必要ですが、コクピットからの見切りがいいので運転はしやすいです。印象的だったのは、動力性能の素晴らしさ。エンジンのトルク特性やミッションのギヤ比など、トータルバランスが良いんでしょうね。
搭載されている3.0L V6 コモンレール式ディーゼルターボエンジンは、最高出力190馬力、最大トルク44.8kg-mとスペック的にも十分ですが、何と言ってもガソリンエンジン車のように滑らかな走行フィーリングが素晴らしい。大トルクの恩恵で、どこからアクセルを踏み込んでもストレスなくグイグイと加速します。
4WDモデルなのでATミッションは5速(2WDは7速)でしたが、フィアット・デュカトのように独特の変速タイミングに違和感を覚えることもなく、走り出しから加速、登坂、高速巡行まで、非常にスムーズでした。

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【町田】高速道路や一般道はもちろん快適でしたが、オフロードでも抜群の走破性を見せてくれましたよね。ハイマーのモーターホームが、オフロードを縦横無尽に駆け回る。まさに言葉のいらない、すごいシーンでした。悪路をものともせずに走り回る姿を目の当たりにして、このシーンこそがクルマの素性を雄弁に物語っていると感じました。

【岩田】ボディサイズや重量、車両がモーターホームであることを踏まえると、ありえないほどのオフロード走破性ですね。高い走破性は、安全性に対するアドバンテージになります。実際にハイマーでここまでの悪路を走ることはないと思いますが、それが「できる」というのは大きな安心感につながりますよね。とくに、雪道や悪路の山道、キャンプ場など、様々なフィールドをアクティブに駆け回るユーザーにとって、この走破性は心強い。普段はジムニーが走っているオフロードコースを、ハイマーの大柄なボディが自由に走り回っている姿を見て、驚きと同時に感動すら覚えました。

ハイマーらしさを感じさせるエレガントなインテリア

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――内装についてはどんな印象を持ちましたか?

【町田】外見はワイルドですが、中に入るとちゃんと「エレガントなハイマー」なんですよね。とにかく、デザインが素晴らしい。ヨーロッパ車がすべて同じかというとそうじゃなくて、やっぱりハイマーは別格なんです。穏やかで優しいウッド調の家具と白壁で構成された室内から漂ってくるのは、清潔感とさわやかさ。そこには、清潔感を大事にするドイツ人の考え方が反映されています。
ベッドの寝心地も素晴らしいですね。週末レジャーが中心の国産キャンピングカーと比べて、車内で長期滞在する民族が快適に眠れるベッドを作る。そんなこだわりがひしひしと伝わってきます。

【岩田】ありきたりですが、僕的にも一番魅力を感じるのはやはり洗練されたデザインですね。欧州車のデザインは女性受けするので奥さんを説得するのにいいなんて言われますが、その通りだと思います。
冷蔵庫の扉が姿見になっていたりとか、取っ手やスイッチ一つとってもデザイン性に優れたものを使っていたりとか。家具、カラーリング、レイアウト、すべてに理由があるし、そこからモーターホームの文化としての背景や成熟度が感じられる。些細なことですが、エントランスや外部扉のキーが1本に集約されているのも、ユーザーとしてはうれしいポイントですよね。

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【町田】ゴージャスさとかエレガントなデザイン性も素晴らしいけど、一番感心したのは「神様が作ったような」空調。トルマのFFヒーターは初めての経験でしたが、こんな快適な暖房はないですね。さらに日本で家庭用エアコンも装着して、夏場の冷房も問題ない。
その2つが相まって、「神様がふーっと息を吐いたかのような」自然で、優しくて、穏やかな空調になっています。普通のエアコンのように顔や体に直接風を吹きかけるのではなく、足元から暖かくするなど吹き出し口のレイアウトにも工夫がありますね。

【岩田】確かにトルマのFFヒーターは優しかったですね。リアベッドの壁際とか、ダイネットの窓際とか、フロントシートの足元とか、見えない部分からそよそよと柔らかな温風が流れてくるのは、今までにない経験でした。
あれだけゆったりとした空間でありながら、要素を詰め込んでいないのもハイマーらしいですね。3~4人で就寝できるけど、基本は2人でゆったり旅をする仕様。そんな部分からも、モーターホームのトップブランドであるハイマーのブレない思想を感じます。

1泊2日の取材を終えて……

――1泊2日で車両を実際に体験してみた感想を聞かせてください。

【町田】見た目だけではない、ハイマー流の心遣いが随所に感じられました。日本人のおもてなし精神とかホスピタリティとかよく言われるけど、無骨なドイツ人が本当の意味でのホスピタリティを持っていたということですね。ヨーロッパ流おもてなしの極致というか、そこは日本人がまだまだ勉強しなくてはいけない部分なのかな、と思いました。 「これぞハイマー!」というエレガントな内装、それと対照的なワイルドイメージの外装。そのギャップが実は案外心地いいのかもしれませんね。2日間実際に使って寝泊まりをした今では、最初に感じた違和感は払しょくされ、「ハイマーのひとつのカタチ」として自分の中に素直に受け入れることができました。

【岩田】モーターホームの最高峰であるハイマーの長距離走行テストが行えたこと、1泊2日で実際に使用できたことは本当に素晴らしい経験でした。これまで様々なキャンピングカーを体験してきましたが、やはりハイマーは別格ですね。何と言っても、ワイルドなルックスがこのハイマーのアイデンティティ。フロントに輝くベンツマークとタフな4WDイメージで、都内の信号待ちでもかなり注目を集めていました。
高層ビルが立ち並ぶ都会にも、自然豊かなフィールドにも、違和感なく溶け込む唯一無二のフォルム。そして、大柄のボディでオフロードを駆け抜ける4WDの走破性。もちろん、ハイマー流のエレガントな室内デザインも健在。こういう「見ているだけでワクワクするようなキャンピングカー」に、もっとどんどん出てきてほしいなぁと思いますね。

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ハイマーML-T570諸元

ベース車両
メルセデスベンツ 319CDI 3,500kgシャーシ
エンジン
メルセデスベンツ 319CDI 3,500kgシャーシ
定員
乗車定員:4名 / 就寝人数:3~4名
車両寸法
全長:6,740mm × 全幅:2,220mm × 全高:2,900mm
価格
¥14,580,000~(税込)

キャンピングカーライターが本音で語る「キャンピングカーの魅力」とは!?

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