キャンピングカーを活用して、「F1レーサー」という夢を追いかけている1人の女性がいる。彼女の名は、“Juju”こと野田樹潤さん(18歳)。史上最年少かつ日本人女性初となる、アジア最高峰シリーズ「スーパーフォーミュラ」の参戦で、世界中から注目を集めている女性レーシングドライバーだ。
幼少期からレース活動を続けてきた彼女と、その家族(父は元F1レーサー野田英樹氏)にとって欠かせないのが、キャンピングカーの存在だ。「クルマを止めた場所が家になる」キャンピングカーは、モータースポーツとも親和性が高い。F1をはじめとする海外のモータースポーツシーンでは、パドックに各チームの巨大なモーターホームがズラリと並ぶ光景がデフォルト。そこで寝泊まりをしてレースウイークを過ごすのが文化となっており、キャンピングカーを拠点に各地のサーキットを転戦するプライベーターも多い。
日本にはこうした文化は浸透していないが、Jujuさんとその家族は、早くからキャンピングカーを拠点にレース活動をするスタイルを実践してきた。本記事では、本人や関係者のインタビューを交えながら、Jujuさんのレース活動と、それを支えるキャンピングカーの存在について紹介する。
アドリア・スーパーソニックでヨーロッパを転戦
3歳でキッズカートに乗り始め、4歳でレースデビューを果たしたJujuさん。国内で数々の好成績を残した後、14歳で活動拠点をヨーロッパに移し、17歳の女子高生レーサーだった2023年に、F1の登竜門といわれる「ユーロフォーミュラオープン」で、女性ドライバーとして史上初の優勝。同年の「Zinox F2000」でも、女性として史上初の年間チャンピオンに輝いた。
そんなJujuさんの輝かしいレース活動を支えてきたのが、キャンピングカーの存在だ。幼少期からキャンピングカーを活用してレース活動を行っていたが、2020年にLACホールディングスがアドリアの最高峰モデル「ソニックスプリーム810SL」の貸与を決定。Jujuさんの海外レース活動をサポートし、好成績を後押しすることとなった。
「2015年、岡山国際サーキットを抱える岡山県美作市の消防署跡地を利用して、プロレーサー養成学校『NODAレーシングアカデミー』が開設されました。その校長が元F1レーサーの野田英樹さん、その娘さんが小学生時代からTIサーキット英田(現:岡山国際サーキット)でレースに参戦していた潤樹(Juju)さんです。当時レース活動や練習のために使っていた古いバスのキャンピングカーを、デルタリンク倉敷店で中古の輸入キャンピングカー(バーストナー)に乗り替えたことが、当社との最初の接点です。
その後、アドリア車の販売が順調に推移して行く中で、スポーツ選手をターゲットにスポンサーする方を探していたところ、Jujuさんがマスコミに取り上げられるようになってきて、当時乗っていたバーストナーもテレビで露出される機会が増えてきました。そこで中古バーストナーの買い取りと、アドリア車両の無料貸し出しの提案をさせていただいたところ、二つ返事でアドリア・ソニックスプリーム810SLの貸与という形でのサポートが決定しました。LACグループのスポンサーするコンセプトは、『夢を追う若者を応援する』です。有名度を問わず、宣伝力を問わず、将来性を重視してスポンサー(応援)を行っております」(LACホールディングス代表取締役社長 山田秀明氏)
「アドリアの中でも6輪タイプの車種だったため、抜群の安定性で揺れが少なく、まるで船に乗っているようでした。普通なら試合のたびに荷物をパッキングして飛行機で移動するのですが、荷物が届かないなどトラブルの心配が尽きません。その点、スーパーソニック810SLの室内は家そのものなので、外国の景色を楽しんだり、時には郷土料理を食べたりして、常に家族と楽しみながら移動できます。レース後も、すぐにプライベート空間に戻って家族とリラックスできるのが大きなメリットでした」(Jujuさん)
日本での相棒はアネックス・リバティ52DB
2024年に史上最年少かつ日本人女性として初めて、国内モータースポーツのトップカテゴリーである「スーパーフォーミュラ」デビューを果たしたJujuさん。日本でのレース活動のパートナーは、LACグループのアネックスによって貸与された「リバティ52DB」だ。
現在、全国のサーキットへの移動や休憩時のプライベート空間、宿泊場所として活躍しているリバティ52DB。その使い勝手や、海外と日本のモータースポーツ×キャンピングカー事情などを、Jujuさん本人に伺った。
【Jujuさんインタビュー】
海外のモータースポーツ×キャンピングカー事情を教えてください。
海外では、日本よりキャンピングカーを見かけることが多かったです。私が出ていたレースでも、サーキットではキャンピングカーに泊まってレース活動しているレーサーも一定数いました。
海外と日本では、レース活動におけるキャンピングカーの普及具合や使われ方に違いはありますか?
日本では、サーキットにキャンピングカーで来るのは私だけでした(笑)。ヨーロッパでは国を跨いでの移動が多かったので、そういった意味で日本より普及しているのかと思います。
数あるキャンピングカーの中から現在のリバティ52DBを選んだ理由は?
日本でもドライバーにとって一番リラックスができ最高のパフォーマンスを発揮するためには、キャンピングカーでの移動生活が必要だと考えました。リバティ52DBはアドリアと比べてコンパクトサイズですが、設備が充実していて日本での使用に適していると判断して、LACグループにお願いすることになりました。
現在リバティ52DBをどのように活用していますか?
日本での移動もサーキットでのテスト走行も、基本的にはキャンピングカーを使用しています。宿泊予約を気にしなくてよい点と、何よりも荷造りをしなくてもよいのが最大の利点かなと思います。
レース活動でリバティ52DBがあることのメリットは?
これは非常に助かっています。サーキットではスタッフ含めて男性が多いのですが、着替える場所もキャンピングカーで事足りますし、レース前にリラックスできる空間があるのも大きなメリットです。
リバティ52DBで気に入っている点を教えて下さい。
エンジン停止中も使える空調設備(ルームエアコン)が備わっているのが気に入っています。夏の暑い時もキャンピングカーの中は涼しいですし、そういった意味でも競技活動の負担が減っていて助かっています。
レース以外にレジャーなどでキャンピングカーを使用していますか?
ほとんどの時間をレースに費やしているので、基本的にレース以外での使用は少ないです。一度だけ夏に家族やスタッフ家族たちと大人数で海に遊びに行ったのですが、その時は食料やレジャー用品を人数分積んで移動できたので、不自由なく遊べました(笑)。
普段キャンピングカーは誰が運転していますか?
普段は父が運転しています。ヨーロッパで乗っていたキャンピングカー(アドリア・ソニックスプリーム810SL)はとても大きかったのですが、リバティはちょうど良いサイズで都心部での取り回しもしやすく、駐車場に困ることも少ないのが利点だと思います。
キャンピングカーに対して「もっとこういう点があればいい」という要望はありますか?
後ろに乗っている分には申し分ないです。あとは、長距離運転の時にクルーズコントロールがあったらすごく助かりますね。
今後の抱負をお聞かせください。
今年一年、相棒として私のレース活動を助けてもらいました。来季も夢のF1に向けて日本のレース活動から練習走行まで、リバティ52DBと共に日々できる事を一生懸命頑張ります。応援よろしくお願いします!