ペット専用レンタルキャンピングカーを展開するPet-RVの新店舗、山中湖店が2021年9月にオープンしました。一番の注目ポイントは取扱車両といっていいでしょう。
なんと、レンタルされるキャンピングカーは電気自動車e-NV200をベース車両にしたモデル。ペット専用レンタルキャンピングカーとして特別に製作された1台です。
キャンピングカーと電気自動車は相性がよさそう。この夢のコラボレーション、どこかのビルダーで実現してくれないか、と楽しみにしていたので、期待大です。
そこで、Pet-RV山中湖店にいって、電気自動車e-NV200キャンピングカーの魅力を調査してきました。
目次
シンプルレイアウトでペットも安心の電気自動車e-NV200キャンピングカー
待ち合わせの駐車場に入ってきたキャンピングカー仕様のe-NV200。外観はノーマルとまったく変わりません。電気自動車だけに、やはり静か! 駐車スペースに停めても、空調の音が聞こえる程度。周辺の鳥の声の方が大きいくらいです。
クルマを運転してきてくれたのはPet-RV山中湖店の川野さん。ワンちゃんのトレーナーとして活躍しながら、ペット専用のレンタルキャンピングカーをスタートさせたそうです。
「もともと、電気自動車に興味がありました。Pet-RV代表の藤野さんに、電気自動車でキャンピングカーを作れないかを相談したのが始まりです」とのこと。
オリジナルキャンピングカーを作る東京都八王子の「旅する車」によって制作されました。ペット専用に毛の付きにくいシート生地を採用したり、ペットが動きやすいベッドレイアウトを採用しています。
このようなレイアウトの場合、ベッドマットの中心部も1枚になっていることが多いのですが、写真でみると2つに分割されているのが分かります。
椅子として利用する時も、この中心のベッドマット半分をそのままにしておけば、ペットがフロントとリアを行き来できるようにするための工夫です。
レイアウトはフルフラッドベッドが基本で、分割されたベッドマットを組み替えて、ベッドをベンチのように利用したり、多彩なアレンジが可能になります。後方には右左どちらにでも設置できるテーブルが装備されていました。
これだったら、リアゲートを開けて、外を眺めなから食事をすることもできます。キャンプ場などであれば、外でBBQをしながら、リアのテーブルで食事をするのもいいでしょう。
ベッド下には大きな収納スペースが確保されました。リアゲートに接続して使うような大きなテント、ペット用のサークルなども積み込める広さです。
床下には冷蔵庫を装備できるので、食材の保存も安心。床下の高さがあり、冷蔵庫とベッドマットが干渉することもありません。
セカンドシートを展開して、5名乗車も可能です。外したベッドマットはリアスペースに置けるようになっています。ベッドを収納しても、リアには十分な広さが確保されています。
シート部分にはペットの飛び出し防止用のベルトまで装備されていました。ペットのことを考えたレンタルキャンピングカーであることを実感します。
e-NV200キャンピングカーの電気自動車としての実力
さて、電気自動車として、みなさんが気にするのは「どのくらい走るの?」ということではないでしょうか。
ベース車両に使われたモデルは電池容量24kWhというタイプです。レンタルの時は、電池への負担を軽減するため、全体の80%充電で運用しているとのことで、その状態で、実質約100kmの走行ができるそうです。
約100kmと聞いて、不安に感じるかもしれませんが、運転手やペットにとっても、連続走行が体力の負担になることを考えると、100kmで1回の休憩を挟むぐらいがちょうどいいといえます。充電をすることで、のんびりと旅を続けられることになります。
また、今回は山中湖で貸し出すことから、スタートが観光地となるので、走行距離もそれほど伸びることもないでしょう。
山中湖を起点とするのであれば、伊豆や八ヶ岳も100km圏内なので、ペットとの旅行にもちょうどいい距離感で行程を組むことができそうです。
クルマへの充電時間は、高速充電器を利用すれば、約30分程度で完了します。電池の容量が大きいと充電にも時間がかかるので、大きい方がいいとも言い切れません。
30分といえば、クルマをとめて、トイレに行って、ドリンクなどを買い、一服するだけで、あっという間に過ぎてしまう時間です。
一気に遠くに行きたい人でなければ、のんびりと旅をするのに十分なスペックを満たしている、といえます。
充電できる場所も気になると思います。ガソリン車両に乗っていると気づきにくいのですが、充電スタンドはいろいろな場所にたくさん設置されています。公園やコンビニエンスストアの駐車場にもあるのです。
高速道路ではSAにしかガソリンスタンドがありませんが、電気充電スタンドであれば、PAにも設置されているので、充電場所を探すのも簡単です。
こちらのクルマには新店舗オープンキャンペーンとして充電カードが付いていました。今、クルマを借りれば、レンタル料金にカード利用も含まれていて、充電スタンドでお金を払ったり、後で請求されることもありません。レンタカーですが燃料費込みというお得なキャンペーン中です。
キャンピングカーで活躍する電気自動車ならではの機能性
電気自動車としての機能性はキャンピングカーで役に立つのか、気になるところです。
ベース車両には100Vのインバーターが搭載されていたので、車内のAC電源は車両に装備されたコンセントから分岐して利用する形になります。
リアのキャビネットにコンセントが取り付けられ、車内の色々な場所でAC100Vが利用できます。こちらのコンセントはタップのような構造になっていて、入力側にも一般的なプラグが接続されています。
そのプラグを助手席の下にあるコンセントを差し込めば、リアキャビネットのコンセントが利用できるようになります。コンセントはセンターコンソール前方部分にも装備されているので、運転席でAC電源を使いたい場合にも便利です。
インバーターのスイッチは運転席部分に装着されていて、手元でオンオフが可能です。リアのキャビンスペースに載せた家電の電気を切り忘れた時など、運転中に電気を遮断することもできます。
電気自動車の最大の強みは、静かにエアコンを利用できることかもしれません。クルマに装備されたエアコンは電気のみで稼働するタイプ。作動音は家庭用エアコンのようにコンプレッサーの音がする程度です。
停車中に車内で待機しなければいけない時など、エアコンを利用できるのは便利です。このように、ペットにとっても快適な環境を提供できるのは、電気自動車ならではの機能性といえるでしょう。
電気自動車e-NV200キャンピングカーが新しいキャンピングカーライフを作る
電気自動車は排気ガスが出ないので、走行時は自然にも優しいクルマといわれています。富士スバルラインでは電気自動車がマイカー規制から除外されるなど、自治体での優遇処置もとられています。
また、前出の通り内燃機関のエンジンを作動することなく、エアコンが利用できるのも特徴です。バッテリーさえ残っていれば、いかなる環境でも快適な車内空間が確保できるのは安心です。
クルマのバッテリーへ充電中もエアコンが利用できるので、電源供給できるRVパークであれば、エアコンをつけっぱなしで過ごすこともできます。
高速道路のパーキンで充電している時も、エアコンで快適に過ごし、車内でテレビを鑑賞したり、自宅のようなくつろぎを感じられることでしょう。
ペットにとっても、エンジンの振動がないので、車内でリラックスもできるとも考えられます。また、クルマの回りで遊んでいても、マフラーなどで火傷をすることもありません。
このように、自然環境に優しく、快適性の高い空間を提供する電気自動車をキャンピングカーにすることで大きなメリットはたくさん挙げられます。
現在、e-NV200の国内販売は停止しています。海外では継続されていて、ヨーロッパではコンセプトモデルとして、Camper Technology Luxury Kitというキットを装備したモデルが2021年に提案されました。
ポップアップルーフにギャレーを装備した本格的なキャンピングカーになっていて、実際の販売が期待されるモデルです。
国内でもEV化の波とともに、電気自動車のキャンピングカーが現れるのは間違いないと思います。そうすれば、これまでは違った次元で快適性を体感できるキャンピングカーライフが待っているかもしれません。
Camper Technology Luxury Kit
国内では2019年に販売を停止したe-NV200ですが、ヨーロッパではEVの小型商用車として期待されています。車両は継続的に販売されていて、2021年1月にはスノーフィールドでも使えるキャンパー仕様のコンセプトモデルを発表しました。e-NV200にCamper Technology Luxury Kitを組み込んだモデルで、今後の電気自動車キャンピングカーの将来を期待させるニュースとなっています。詳細はこちら