バンコンと比べてどうなの!? 実体験で語る「キャブコンの本音」

キャンピングカーの選び方
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コクピット上部が大きく張り出した、特徴的なフォルムの「キャブコン」。一般的に「キャンピングカー」と言えば、このカテゴリーの車両を思い浮かべる人が多いだろう。

しかし、実際にキャブコンの居住空間を体験したことのある人は意外に少ない。「車内はどうなっているのか?」「どんな装備が付いているのか?」「走行性能はどうなのか?」「普段使いはできるのか?」。キャブコンに対してさまざまな疑問を持っているキャンピングカー初心者も多いが、いくらカタログを読み込んでも、展示車を見学しても、実際に使ってみなければ本当のところはわからない。

筆者のキャンピングカーライフは、ハイエースベースのバンコンからスタートした。その後、子供の成長と共に車内空間が狭く感じられるようになり、バンコンからキャブコンへの乗り換えを決意。それから現在まで、ハイエースベースのキャブコンで、約12万kmの距離を走破し、家族と数100泊の旅を経験してきた。

今回は、バンコンとキャブコンの両方を体験してきた筆者が、乗ってみないとわからないキャブコンのメリット・デメリットを本音でお伝えする。

キャブコン最大の弱点は「走行性能」

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筆者がバンコンからキャブコンに乗り換えた際、もっとも気になったのがキャブコンの「走行性能」について。垂直に立ち上がったボディ、上部に大きくせり出したバンク、車両重量の増加など、キャブコンにはクルマの走行性能に悪影響を及ぼす要素がそろっている。長年自動車雑誌の制作に携わってきた者としては、もっとも気になる部分だ。

そこで筆者が選択したのは、走行性能と乗り心地にアドバンテージがある、ハイエースベースのキャブコン。購入前にレンタカーで走りを体験し、納得した上で購入に踏み切った

バンコンから乗り換えてみて、キャブコンの走りをどう感じたのか? 少なくとも、筆者が乗っているハイエースベースのキャブコンは、想像以上によく走る。ATシフトを積極的に手動操作すれば、加速性能や登坂性能は必要十分。高速道路の登坂車線を走行した経験もない。バンコンと比べて走行安定性は劣るものの、これは想定内のレベル。純正ではロール(左右の揺れ)がひどかったが、足回りにトータルチューニングを施したことで、不安やストレスを感じることなくキビキビと走れる1台に仕上がった。

ただし、ここで言う「よく走る」という表現は、「大幅に架装されたキャブコンとしては」ということで、バンコンと同等という意味ではない。

バンコンと比較すれば、横風の影響はより大きく、走行安定性・コーナリング性能・ブレーキ性能は劣り、加速も動きもかったるい。しかも、重心の高いトラックベースの場合、ハイエースベースのキャブコンよりもさらに走行安定性は悪化する。「大きくて重いクルマである」ことを前提に、それに見合った運転をするのがキャブコンの大前提だ。

気になるキャブコンの燃費は!?

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バンコンと比べて、明らかに悪化したのが「燃費」だ。バンコン時代は、条件次第で9km/L以上の燃費を記録したが、同じハイエース・ワゴンGLをベース車両としながらも、キャブコンの燃費は高速で7km/L~、一般道で6km/L~。アクセルを踏み込んでラフに走れば、燃費が5km/L台まで落ちることもある。燃費は車両重量と反比例するので、重量級のキャブコンでは当然の結果と言えるだろう。

ストップ&ゴーの多い街中でも燃費は悪化するが、それ以外に高速道路で時速100kmを超えて走行すると、燃費は悪くなる一方。これは、速度が上がれば上がるほど、大きなバンクベッドが空気抵抗となることが最大の原因だ。とはいえ、基本的にキャブコンは、安全な速度域でのんびりと走るクルマ。ハイスピードで走行する機会はほとんどないので、これはさほど大きな問題ではない。

結論として、キャブコンの燃費はバンコンよりも確実に劣る。ただし、キャンピングカーの燃費は、居住性や装備の充実度とトレードオフの関係。クルマとは思えないほど優れた居住性、快適性を享受できると考えれば、あきらめもつくというものだ。

ちなみに、筆者が所有するハイエースベースのキャブコンは、2.7リッターガソリンエンジンを搭載した2WD車。最高燃費は、北海道の一般道をほぼノンストップで60km/h巡行したときの8.92km/L。最低燃費は、渋滞した街中を走行したときの5.78km/L。燃費はベース車両や搭載エンジン、架装状態(車両重量)によって大きく異なるが、参考までに記載しておく。

バンコンとは比較にならない居住性

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「バンコンから乗り換えて感じたキャブコンの魅力」は、居住性に尽きる。バンコンは「寝られるクルマ」、キャブコンは「動く家」。両者の居住空間には、それほどの違いがある。

キャブコンの居住空間は、ボディサイズの拡大と重量増による走行性能の悪化というデメリットを差し引いても、余りある魅力だ。立って歩ける通路、使い勝手抜群のキッチン、トイレや収納として使えるマルチルーム、ファミリーでもゆったり就寝できるベッドスペースなど、その魅力を挙げればキリがない。

特筆すべきは、車内に通路が完備され、前から後ろまで立ったままで移動できること。キャブコンでは当たり前のことだが、筆者がバンコンからキャブコンに乗り換えたときに、もっとも素晴らしいと感じた点だ。

さらに、就寝時と出発時にシート~ベッドのレイアウト変更が必要なバンコンに対し、就寝定員に余裕のあるキャブコンは、ベッド展開の必要がない。例えば、ダイネットで食事や晩酌をして散らかったままの状態でも、バンクベッドやリアベッドで就寝が可能。これは、居住空間にゆとりがあるキャブコンの大きなアドバンテージだ。

筆者は家族4人+ワンコで数100泊の旅をしてきたが、長期の旅でもキャブコンの車内を「狭い」と感じたことは一度もない。仕事でも、愛車のキャブコンに雑誌スタッフ(男3人)を乗せて毎年キャンピングカーの旅をしているが、ストレスを感じたことは皆無だ。

バンコンとは比較にならないほどの居住性。それが、キャブコンの最大のメリットだ。

キャブコンの普段使いは可能か!?

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「キャブコンをファーストカーにできるか?」という疑問をよく耳にする。これについては、「多少の不便はあるが、不可能ではない」というのが結論だ。

筆者は、セカンドカーを持たず、キャブコン1台で遊びから仕事までこなしている。キャブコン購入当初、どうしても必要なときはカーシェアリングやレンタカーを使うつもりでいたが、現在まで1度もそれらを利用したことはない。「キャブコン1台で何とかなっている」のが、実際のところだ。

国産キャブコンで一般的な5×2mクラスまでの車両なら、取り回しにそこまで気を使うことはなく、大きな見た目に反して運転もラク。とくにトラックベースは小回りが利くため、バンコンより取り回し性に優れているケースもある。キャブコンを普段使いする際の最大のデメリットは、ボディの高さ。キャブコンは3m近い全高があるため、都市部に多い自走式立体駐車場への入庫は不可。平面式でも、料金ゲートに屋根が張り出しているパーキングには入庫できないなど、駐車場探しに気を使うことは多い。

普段使いをメインにするなら、やはりバンコンがベターだ。しかし、5×2mクラスまでのキャブコンなら、ファーストカーとして使用することは決して不可能ではない。

バンコンとキャブコン、どっちがいいの!?

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バンコンにはバンコンの、キャブコンにはキャブコンの魅力がある。同じキャンピングカーといってもまったく違うカテゴリーなので、そこに優劣を付けることはできない。要は、「乗り手がキャンピングカーに何を求めるか」ということだ。

別の項でも書いたとおり、両者の違いをわかりやすく例えるなら、バンコンは「寝られるクルマ」、キャブコンは「動く家」

子供の送り迎えや買い物、週末レジャーまでマルチに使いたいなら、機動性と走行性能に優れたバンコンが適している。キャンピングカーらしい見た目と大きさ、車内での快適性を求めるなら、キャブコンに軍配が上がる。

バンコンもキャブコンも、キャンピングカーとして魅力にあふれたカテゴリーだ。どちらを選ぶか迷っている人は、使い方、使用人数、セカンドカーの有無、何を重視するか(機動性、居住性、走行性能、燃費)を総合的に判断して、「自分の使い方にマッチしたキャンピングカー」を導き出そう。

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに700泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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