キャンピングカーは移動手段の道具でもあり、生活する空間でもあります。長い時間を共にするので、車内では心地よく過ごしたいものです。そこで、オーナーは、お気に入りの空間を作り出すために、思い思いのデコレーションを施したりしているのです。
自分だけのお気に入り空間。そんな、思いを形にできるのがキャンピングカーといえるのではないでしょうか。ビルダーも積極的に特別な世界観を作り出し、オーナーと共有化することで、非日常の高揚感を提供しているのかもしれません。
そんな、いろいろなキャンピングカーがあるなかで、特別な存在の1つといえるのが、トイファクトリーがディズニーのキャラクターをデザインして作ったキャンピングカーです。車内に入るとディズニーキャラクターが出迎えてくれて、一気に別世界へと誘います。
目次
2種類のDA VINCI 5.4 <Disney> Dream Traveller
トイファクトリーが発表したのは2つのバージョンが用意されたDA VINCI 5.4 <Disney> Dream Travellerです。フィアットデュカトをベースにしたダヴィンチの特別仕様車。ミッキー&フレンズということで、ドナルドダックとプルートのモデルが用意されました。
ドナルドダックはブルー、プルートはイエローを基調にしたインテリアで、随所にディズニーの楽しさを感じられるデザインが散りばめられています。全体の世界観はロードトリップ。アメリカのルート66をテーマにしているそうです。
マルチルームのドアをみてみると、ミッキーとそれぞれのクルマに設定されたキャラクターのドナルドやプルートが描かれています。その上にある行き先を表すストリートサインには、「HAPPY」や「LOVE」の文字が記されて、具体的な地名が書かれていません。
これは、ミッキー&フレンズたちの、夢や希望、そして、驚きなどに溢れた冒険の旅へ導くディズニーの世界観を表現しているからです。ディズニー側からのアドバイスで完成したオリジナルデザインで、ディズニーらしい演出の1つになっています。
トイファクトリーがディズニーのキャラクターを使ってキャンピングカーを作るのは、今回が3回目です。一番最初のモデルは、TOY’S BOX 540ベースの「トイ・ストーリー」モデル、TOY’S BOX 95、次に、ディズニー100周年を記念して作った、DA VINCI 6.0〈DISNEY100〉EDITION、そして、3回目が今回のモデルです。もちろんすべて、ディズニーの公式ライセンス商品として発売されています。
それぞれ限定発売で、特に100周年モデルは世界限定5台という希少モデルで、抽選販売が行われました。今回のDA VINCI 5.4 <Disney> Dream Travellerはそれぞれのモデル各10台で、合計20台が販売されることになりました。今回は先着順の販売となっているそうです。
シリーズ名をDream Travellerとして、旅を強くイメージするコンセプトを軸としています。ベース車両となったのはフィアットデュカトのL2H2サイズ。前回の100周年記念モデルはL3H2サイズだったので、ややサイズがコンパクトになり、より扱いやすくなっています。
フィアットデュカトはシリーズ9の最新モデルが国内に入ってきたので、このDream Travellerはすべてシリーズ9をベースに作られるそうです。デザイン上の大きな変更点はありませんが、ライト部分のカラーリング変更、そして、オートクルーズに車間制御モードが追加されました。
フィアットデュカトシリーズ9ベースの2段ベッド仕様
リアには広めの2段ベッドが設置されていて、乗車定員4名、就寝定員2名の設定です。ディズニー仕様では初の2段ベッドになりました。スペースを有効に使いながら、コンパクトなボディを活かした機動性に期待できます。
リアベッド部分は簡単に折り畳みが可能で、ラゲッジスペースとしても利用できます。ラグジュアリーなトランスポーターとしても活躍してくれることでしょう。
ディズニーをイメージするデザインは至る所に散りばめられています。一番目立つのが、シートバックに隠れているミッキーのシルエット。照明としての機能性に、遊び心を追加する演出が施されているのです。ベースとなるダ・ヴィンチの高級感とディズニーの楽しさがうまく融合されています。
シリーズのコンセプトはロードトリップ。ディズニーが生まれたアメリカの有名な道、ルート66をテーマにした世界観が広がっています。テーブルは旅の途中で立ち寄ったダイナーカフェで休憩しているような、ロードトリップのワンシーンをイメージさせてくれます。
細部に宿るトイファクトリーのキャンピングカー作りへのこだわり
シートはヨーロッパの安全基準をクリアした、ヨーロッパ屈指のメーカーアグチ製を採用しています。トイファクトリーが総代理店となっているので、今回のテーマカラーに合わせて生地を指定し、さらにミッキー&フレンズのロゴを刺繍してもらうなど、特別仕様のシートを作ってもらっているそうです。
シートバックの背もたれ部分にはダイヤモンドカットと呼ばれる形状を採用していて、上品な印象を放ちます。このシートデザインはトイファクトリーが手がけるハイクラスデュカトモデルのDA VINCI Lusso 6.0に採用されている仕様で、特徴的なステッチと相まってラグジュアリー感を強めます。
エントランス部分に専用のカーペットが置かれていましたが、そのカーペットがリアのベッド下、ラゲッジエリアまでカバーされていました。車内のどの部分を切り取っても、ディズニーらしさを感じる凝りようです。
カーペットは専用設計になっているので、エントランスの段違いフロアや、リビングエリアのシート張り出し、マルチルームなどの形状にフィットしているのが気持ちいいくらいです。
マルチルームに入ってみると、収納棚の扉に取り付けられていたミラーにもミッキーの仲間たちがデザインされていました。特別な時間を過ごしていることを改めて実感できるのではないでしょうか。
ディズニーキャラクターにはワンちゃんがモデルになっているキャラクターも多いので、ワンちゃんのオーナーさんにとっても親しみを感じるかもしれません。
キャンピングカーとしての充実した設備と特別感を提供
リアの2段ベッド上部にはオプションの家庭用エアコンがちょうどよく設置されていました。家庭用エアコンをセレクトするオーナーさんも多く、インテリアデザインを損なうことなく設置できるのはうれしいかもしれません。
家庭用エアコンを壁面に設置したので、ルーフエアコンを取り付けなくてもいいので、天井にはベンチレーションが設置されています。空気の入れ替えにも効果的ですが、天井から降り注ぐ明かり取りとしても重宝する装備といえるでしょう。
マルチルームには水を使わないトイレ、クレサナが設置されていました。その上部にはモダンなデザインの折りたたみ式シンク。「TOY FACTORY」のロゴが浮かび上がっていて、高級感を感じます。このような細かい演出がトイファクトリーらしさを感じさせます。
シャワーも取り付けられていて、バスルームとして利用できるようになっていました。トイレ設備のクレサナの操作パネルは壁に埋め込まれており、すっきりとした印象のマルチルームで、キャンピングカーのなかにいることを忘れさせるほど、落ち着いた雰囲気が漂っています。
リア2段ベッドにはミッキーを模したクッションが置いてありました。枕として使ってもいいのではないでしょうか。そして、LEDのブックライトが装着されており、プライベートスペースでディズニーを感じながら、くつろげる環境が整っています。
ディズニーのキャラクターが散りばめられた、ワクワクを感じるトイファクトリーのDA VINCI 5.4 <Disney> Dream Traveller。ディズニーとのコラボレーションを実現するだけでも難しいなか、3回目のモデルを登場させた実行力には、グローバルな展開に挑戦するトイファクトリーらしいキャンピングカー作りを感じることができました。今後も新たなディズニーモデルが登場することに期待大です。