
キャンピングカーはレジャーばかりではなく、防災対策にも役立ちます。最近では防災を想定したキャンピングカーも登場していて、自治体への貸出などもスタートしているようです。2025年のジャパンキャンピングカーショーでも、日本RV協会のブースでは防災エリアという展示を行なっていて、その利便性の高さを紹介していました。
ライフラインが絶たれたとしても、電気や水が使えるのはキャンピングカーならではの性能です。さらにプライベートなスペースを確保できるので、避難場所としてもその実力を発揮してくれることでしょう。
災害時には被災者が利用したり、復興のために現地へ赴いたスタッフたちの宿泊地や対策本部としての役割も果たしてくれます。そんな、機能性の高い防災対策用キャンピングカーを集めてみました。
今回は2025年に開催されたジャパンキャンピングカーショーの会場からピックアップしています。
目次
ミニバンに防災機能を詰め込んだホワイトハウス・FREED CROSSTAR 防災くん

防災対策車両と聞くと、大きなクルマをイメージしますが、ホワイトハウスはコンパクトなフリードを防災仕様のキャンピングカーへとトランスフォームしたのです。ベースとなっているのはフリードクロスター。ミニバンスタイルながらサブバッテリーを搭載できたり、ポップアップルーフを取り付けることも可能です。
室内の天井が上がることで、室内のスペースは十分に確保され、車内での着替えなども余裕でこなせるようになります。ポップアップルーフはホワイトハウスの得意とする架装で、収納時の高さも抑えられているので、普段使いしやすいボディサイズといえます。

ディスプレイでは災害時のセッティングをイメージして、トイレやシャワーが車体の外側に設置されていました。サイドオーニング部分を屋根として、幕を使うことで、プライバシーを確保。トイレにはフィルム式が採用されていて、シャワーはガス缶が利用できる湯沸器を使っていました。
被災地ではトイレ環境やシャワー環境が悪くなることが多く、このような設備が準備できるだけでも、避難者にとってのストレスを軽減できるのではないでしょうか。個人で利用するだけではなく、自治体がこのクルマを使って、公共の設備としてサービスを提供するような使い方もできるでしょう。

フリードは床下も広く、上の写真に写っていた、トイレや湯沸器が収納できるようになっていました。さらに、スライド式収納ボックスの奥には洗濯機も収められていて、被災地の衛生面を向上させるアイテムもしっかりと装備。水などのストック類も収納できるようになっています。
このスライド式収納スペースはホワイトハウスのキャンピングカーでも採用されている技術で、そのノウハウが防災対策にも役立っているといえます。ミニバンのコンパクトなボディに、災害時に必要なアイテムをどのように収納するかなど、キャンピングカーで培った技術力が発揮されます。

車内はミニバンのキャンピングカーそのもの。救急箱などのアイテムを収納できるようになっていたり、防災対策仕様であることには変わりありませんが、車内のベッドや照明など、キャンピングカーらしい、くつろげる空間が広がっています。ポップアップが付いているので、圧迫感もほとんどありません。
このクルマであれば、ミニバンサイズなので普段使いも余裕でこなせます。普段は通勤や買い物、週末のレジャー使いをして、いざという時に防災車両として活躍してくれるキャンピングカーといえるでしょう。ボディサイズからも手軽に防災対策を検討できるモデルです。
シャワールームに2段ベッドまで装備したレクビィ・プロンテVVDR

レクビィのブースに展示されていたのはハイエースベースのプロンテVVDRです。ハイエースのバンコンを数多く取り揃えているレクビィだからこそ生まれた1台といえるモデル。見た目はレクビィの他のモデルと変わりませんが、内部が防災隊対策車両としての仕様になっていました。
このモデルは被災地の知事から要請があった時、市民ボランティアが被災地に向かうことを想定しているそうです。2〜3名のボランティアが被災地の方々から支援を受けることなく、自己完結型で活動ができることを目的としています。装備されているアイテムは防災関連の総合企業であるラピタが監修。プロフェッショナルとしてのアイテムセレクトが目を引きます。

搭載されているバッテリーはレクビィオリジナルの大容量バッテリー。2泊3日の活動であれば、問題なく電気を確保できるようになっているそうです。特徴的なのはハイエースベースながら24Vのシステムを採用している事。そうすることで、使用設備機器の効率を向上させることができて、配線の効率化も実現できるといいます。
エントランス部分にシンクが設置されていますが、これがまたすごい機能を持っているのです。キャンピングカーだけで生活する時、水は非常に大切な存在ですが、タンク容量によって、その使える量が決まってしまいます。しかし、このキャンピングカーには逆浸透膜フィルターという装置を利用して、水を浄化して再利用できるシステムを搭載しました。

セカンドシート部分には2段ベッドが設置されていて、その向いにリビングスペースが設けられています。シートやベッドの生地には傷のつきにくいレザーシートが採用されていて、耐久性も高められました。
デザインもシンプルで余計な装飾がない分、室内の有効スペースが確保されているようにも感じます。

リアにはレクビィのキャンピングカーでは定番となっているシャワールームが設置されています。シャワーには体を洗う時に石鹸が必要ないというマイクロバブル水発生器が付いていて、設備も含めて清潔な状態を保ってくれます。
プロンテVVDRの製作にあたって、ミリ単位で有効スペースを見直したことで、救援活動などで利用されるアイテムを美しく収納できるようになったといいますが、その美しさがリアのシャワールームからも伝わってきます。また、自動車のエアバック生地をリサイクルした素材を試験的にリアの防水ルームなどに使っていて、環境にも配慮した作りになっています。
被災地で求められるクリンネスを追及したダイレクトカーズ・トリップシェルター

日本RV協会のブースでも一際目立っていたのが、ダイレクトカーズのトリップシェルターです。キャブコンをベースにした防災車両で、高い機能性をふんだんに詰め込んだモデルです。
ベースとなっているのはダイレクトカーズのトリップですが、電気などの設備がさらに強化されていました。

室内はトリップと変わらない状態です。レイアウトもそのままで、リビングエリアの後ろに常設ベッドがあり、その隣にバスルームが設置されています。動線もスムーズで快適な設備が整ったキャンピングカーで、長期の旅行を楽しむオーナーから高い支持を得ています。
その快適なトリップを使って防災に役立つ装備を追加したのがこのトリップシェルター。
- 1600Wソーラーコントローラー
- 2500Wインバーター
- 水タンク200L
- クーラー
- FFヒーター
- リチウムイオンバッテリー24V200Ah
などが標準装備されているそうです。

さらにレクビィのプロンテVVDRにも採用されていたファインバブルを使った水循環システムを採用。ファインバブルを発生させた汚れの付きにくい水をシステムに使っていて、さらに高性能フィルターを使って水を循環させることに成功したのです。
このシステムがあれば、水の消費を軽減することができるので、給水タンク200Lのスペックと合わせれば、十分な水を確保できることになります。

また、被災地では感染症などの対策も必要なため、身の回りを清潔に保つことも必須です。一番最初に紹介したフリードクロスター防災くんにも搭載されていた洗濯機が重要なアイテムとなってきます。そして、このトリップシェルターにも洗濯機が設置されていたのです。
キャブコンのスペースを活かして大型タイプが搭載されているので、しっかりと大量の衣類を清潔な状態に保つことができそうです。
今回紹介した防災対策車両はキャンピングカーをベースに防災の機能を追加したモデルです。しかし、キャンピングカー本来の機能性が防災対策としても効果的であることが分かります。
普段はレジャーで使っていて、いざという時に災害から身を守ってくれる大切な存在となってくれるのは間違いありません。そんな視点からキャンピングカーを検討してみるのもいいのではないでしょうか。
