【ビルダー社長のキャンピングカー】フレンドリー 畑中一夫代表

メーカー・販売店インタビュー
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【ビルダー社長のキャンピングカー】フレンドリー 畑中一夫代表

キャンピングカービルダーの社長は、普段どんなクルマに乗り、どんなライフスタイルを送っているのだろうか? 自らキャンピングカーライフを実践するビルダーの代表にスポットを当て、その愛車とライフスタイルを紹介することでビルダーのバックボーンを紐解くのが、本企画の趣旨だ。

今回ご登場いただくのは、神奈川県相模原市に店舗を構える「キャンピングカープロショップ・フレンドリー」の畑中一夫代表。2018年3月まで日産ピーズフィールドクラフトで代表取締役を務め、日本RV協会の要職にも就いていた畑中さんは、どんなクルマに乗り、どんな楽しみ方をしてきたのか。その愛車遍歴から、フレンドリーのルーツとこだわりを紐解く。

フレンドリー代表取締役 畑中一夫さん
フレンドリー代表取締役 畑中一夫さん

モータースポーツに夢中だった10代~20代前半

畑中さんの18~20代前半は、まさにオイルの匂いと排気音にまみれた日々だった。初めての愛車は、18歳の時に購入した510ブルーバード。整備士として日産プリンス東京販売に入社したのち、初めて手に入れた自分のクルマだった。

「当時は、日産プリンス東京販売で整備士をしながら、B11サニーでフレッシュマンレースに参戦して、仲間と富士スピードウェイに通い詰めていました。整備士なので、クルマを作ったり、サポートをするのはお手の物だし、もちろん自分で走ったりもしました。そういうことをやっているうちに、TSクラス(特殊ツーリングカー)に参戦しているレーシングチームに入り浸るようになって、最終的にはグラチャンのサポートスタッフもやりました。工場の上で寝泊まりをしながら作業をして、レースの時はグラチャンマシンのタイヤを替えたり、給油をしたり……。18歳から始めて、20~21歳くらいまではサーキットに入り浸りの生活でした。オイルと排気ガスにまみれた、油くさい青春時代でしたね(笑)」

モータースポーツ活動と並行して、整備士としてのキャリアも順調に積み重ねていった。整備士の国家資格のほかに、ハイレベルなメカニックを育成するために当時の日産が独自に創設した、超難関の「日産1級整備士資格」も取得。生粋のクルマ好きだったので、プライベートでも多くのクルマを乗り継いだ。

510ブルーバード
若かりし頃に乗っていた510ブルーバード

「レースに打ち込んでいた10代の頃は、いろいろ乗りましたね。ハコスカやケンメリは高くて買えなかったので、510ブルーバードとかハッチバックのパルサーとか。23歳で結婚する前まではフェアレディZ(S30ZL)に乗っていましたが、女房が運転できないし結婚資金もなかったから、泣く泣く手放しました」

家族ができてファミリーカー中心の生活に

畑中さんにとって、結婚がクルマ遍歴のターニングポイントとなった。それまでスポーツ系のクルマばかりを乗り継いできたが、結婚後は奥さんが運転できるファミリーカーにシフト。愛車は、必然的にワンボックス系がメインとなった。

「子供が小学生くらいの時はバネットに4~5年乗って、その後はリフトアップしたダットラのダブルキャブに、サン自動車のFRPキャノピーを付けて乗っていました。家族のレジャーは、もっぱらアウトドア。キャンプもよく行ったし、あとは釣りやスキー。バネットに乗っているときは車内で寝泊まりして、ダットラの時はテント泊が基本です。家族ができて、クルマの使い方・楽しみ方が180度変わりました。

ダットサントラック
ダットサントラックの荷台にキャノピーを載せて、家族とアウトドアを楽しんだ

「その後、子供たちが中学校に上がる頃に、日産ピーズフィールドクラフトでサファリを購入。ギャレーとベッドの8ナンバーキットを取り付けて、本格的に車中泊を始めました。子供と出かける機会が減ったので、使い方は1人で車中泊をしながら釣りをするのがメイン。当時は、渓流のフライフィッシングにはまって、尺イワナを求めて山奥のポイントまで頻繁に出かけていました。サファリで狭い林道に入り込んでUターンできずに1kmくらいバックして脱出したり、ザイルで崖を降りている途中に滑って宙吊りになったり、まぁいろいろありましたね(笑)」

日産ピーズフィールドクラフトで本格キャンパーを開発

結婚を機にカーライフが大きく変化した畑中さんだが、仕事でも大きなターニングポイントを迎えていた。30歳を過ぎたころ、会社の命で整備士から営業へ。まったく畑違いの仕事だったが、持ち前のパワフルさと行動力、コミュニケーション能力で、業績は右肩上がり。一番多かった時で1か月23台・年間160台を売り上げ、誰もが認める敏腕営業マンへと成長した。そして1997年に、縁あって日産ピーズフィールドクラフトに出向することに。

フレンドリーの畑中さん

「当時の日産ピーズフィールドクラフトは、クロカン4駆をメインにやっていましたが、正直商売的にはかなり厳しい状況でした。自分が入社して初めて手を付けたのが、ラルゴとエルグランドのキャンパーキットの販売。各所からひっきりなしに問い合わせが来て、最終的には日産の納車工場にキットを常時ストックして、多いときで月に150台くらい売れました。キャンパーキットの大ヒットで土台ができたので、次は本格的なキャンピングカーをやりたいということになり、E24キャラバンの「クラフトキャンパータイプ1」と、ポップアップルーフの「エルグランドポップキャンパー」を開発。自分自身も普通のクルマとは違うキャンピングカーの魅力にはまって、全国のディーラーを回ってクルマを扱ってもらえるように営業したり、イベントで他社のクルマを見せてもらって、これいいなとか、俺だったらこれ着けないなとか考えたり。毎日が楽しくてしょうがなかったですね」

フレンドリーの外観

日産ピーズフィールドクラフトで圧倒的なリーダーシップを発揮した畑中さんは、2004年に取締役、2010年に常務取締役、2014年に代表取締役に就任。日本RV協会でも要職を務めるなど、いつしかキャンピングカー業界では知らぬ者はいない"顔"となった。2018年の定年退職後には「キャンピングカープロショップ・フレンドリー」を設立し、今年で古希を迎える現在も、キャンピングカーの開発・販売を精力的に続けている。

ワーゲンT4のキャンピングカーを4台乗り継ぐ

ワーゲンT4をベースにしたデヘラー社のオプティマというバンコン

日産ピーズフィールドクラフトでオリジナルモデルのキャラバンやエルグランドを発表し、ユーザーの人気と知名度、業界内でのポジションを確立した畑中さんだったが、仕事面のみならずプライベートでもキャンピングカーの魅力にどっぷりはまっていた。現在の愛車は、ワーゲンT4をベースにしたデヘラー社のオプティマというバンコンだが、実はこれまでに4台ものワーゲンT4キャンパーを乗り継いできたという。

「初めて手に入れたワーゲンT4は、2004年頃に下取りで入ってきたウィネベーゴ社のユーロバン。ウエストファリアがウェネベーゴ社とライセンス契約して、アメリカで生産したモデルです。エルグランドポップの下取りだったと思いますが、ぼろくてマフラーが落ちちゃって(笑)売り物にならないから、これ俺が乗るわという感じで。実際に使ってみたら、ギャレーの作りやテーブルの収納など、なるほどと感心する点がいっぱいありました。

このユーロバンには3~4年乗りましたが、走行距離が20万㎞を超えてさすがにへたってきたので、『世界で1番売れているポップアップのT4に乗りたい』と、2008年頃にウエストファリアのワーゲンT4に乗り替えました。ポップアップルーフに安全装置が付いていたり、テントの換気窓が採光性や風通しを考慮した作りになっていたり、細部までよく考えられていて『さすが本場のポップアップキャンパー』と感心しましたね。そこで得たアイデアを自社のポップアップルーフや内装製作にフィードバックすることも多く、非常に勉強になった1台でした」

ワーゲンT4をベースにしたデヘラー社のオプティマのリア

ウィネベーゴ、ウエストファリアを乗り継いできた畑中さんは、現在もワーゲンT4ベースのデヘラー・オプティマでキャンプや釣りを楽しんでいる。デヘラーはもともと船やヨットを作る会社で、同社のキャンパーは日本ではほとんど見かけることがない希少車。それを2台も乗り継いできた理由とは?

「デヘラーのキャンパーっていうのは、今から30年前でもたしか800万円以上の値段がついていて、当時は医者や弁護士じゃないと買えなかったようなクルマ。日本にはそんなに台数がない珍しいキャンパーですが、たまたまお客さんの下取りでデヘラーが出てきて、『お~!』って感じで、すぐに自分の愛車にしました(笑)」

ワーゲンT4をベースにしたデヘラー社のオプティマの車内 ワーゲンT4をベースにしたデヘラー社のオプティマのキッチン ワーゲンT4をベースにしたデヘラー社のオプティマのマルチルーム

「一番の魅力は、やはり居住性です。ハイルーフだから室内で立てるし、バンコンなのにシャワールームが完備されていて、空間の使い方がとにかく秀逸。とくにすごいなと思ったエピソードがあるんですが、1台目のデヘラーのときにLEDライトに変えようと思ってパーツを外したら、ボロボロと何か落ちてきた。よく見たら、真空引きで入っていた断熱材が、経年で劣化したものだったんです。当時のクルマで、FRPのルーフ全体に真空引きで断熱材をしっかり封入してあるのは、本当にすごいなと感心しました」

ワーゲンT4をベースにしたデヘラー社のオプティマのベッド

「ウィネベーゴ、ウエストファリア、デヘラー……。ワーゲンT4のキャンパーを乗り続けてきた一番の理由は、時間をどう過ごすか自分ですべて決められること。これは、キャンピングカーや車中泊カーに共通する優位性ですが、例えばミニバンで車中泊するのと比べて、やっぱりT4には特別な雰囲気がある。良い景色の中にクルマを止めて、車内でギターを弾いたりとか、そんな何気ない時間でも最高の幸せを感じられるんです。今乗っているデヘラーはあまり見かけないから特別感があるし、運転席に乗り込むと『よしこれで行くぞ』ってスイッチが入る。燃費も悪いし、ブレーキも効かないし、壊れるし、いろいろ手がかかるけど、乗っているだけで喜びを感じられる最高の相棒です」

気軽に乗れる相棒、軽キャンパー「キャメル」

エブリイバンをベースにした軽キャンパー「キャメル」

エブリイバンをベースにした軽キャンパー「キャメル」は、フレンドリーのオリジナルモデル。デヘラーのワーゲンT4と並んで、畑中さんのライフスタイルを支える大切な相棒だ。趣味の釣りで狭い場所に行くときは、ボディが大きいワーゲンT4ではなく、コンパクトで機動性に優れたキャメルを選ぶという。

エブリイバンをベースにした軽キャンパー「キャメル」の車内

「自分で作ったクルマは、寝てみないと気が済まない(笑)。軽自動車ベースがどれだけ使えるのかを検証するために、一昨年の冬は釣り道具満載で伊豆方面に行ってきました。キャンピングカーは、実際に使ってみないとわからないことが多いですから、自分が作ったクルマで出かけて、車内のベッドで寝てみて、そこで見つかった改善点を次のモデルへとフィードバックしています」

エブリイバンをベースにした軽キャンパー「キャメル」のベッド展開

キャメルは、畑中さんが半年くらい悩みながら作った思い入れのあるモデル。コンパクトな軽キャンパーでありながら、ドアの内側などの細部まで二重、三重の断熱を施したり、車載クーラー&リチウムシステムを搭載可能とするなど、畑中さん自身の経験とノウハウが詰め込まれている。

「軽自動車はルーフとの距離が近いから、断熱をしっかりやらないと快適に眠れない。僕は1つのものをしっかり作って長く売りたいタイプだから、オリジナルモデルの開発はすべて自分の経験がベース。実際に乗って軽自動車の良い部分も悪い部分も理解して、遊びの中で生まれたアイデアや工夫を次のクルマ作りに活かす。そういう作業が楽しくてしょうがないんです」

エブリイバンをベースにした軽キャンパー「キャメル」のリア

70歳の現役キャンピングカーライフ

畑中さんは、今年70歳を迎える現在も、自身のショップ「フレンドリー」でキャンピングカーの開発・販売を続けている。プライベートでも愛車のデヘラーキャメルで充実したアウトドアライフを送っている畑中さんにとって、キャンピングカーとはどういう存在なのだろうか?

畑中さんの趣味のギター

「キャンピングカーは、自分の遊びには絶対に欠かせない存在だし、ライフスタイルそのもの。普通車ではできないことができるし、所有することの特別感もある。バンに布団を敷くだけでも車中泊はできるけど、それじゃつまらない。キャンピングカーには、しっかりと作られた特別な空間で、自分だけの時間を過ごせるロマンがあります」

畑中さんの趣味のバイク
排気量1600ccのハーレーダビッドソン・ファットボーイ(ターミネーター2でアーノルド・シュワルツェネッガーが乗っていたモデル)も所有。来店したお客さんと、バイク談義で盛り上がることも多い

「体が動くうちは、バイクにも乗りたいし、キャンピングカーで釣りやキャンプにも行きたい。そういう遊びの経験をベースにキャンピングカーを作って、お客さんに楽しんでもらえるっていうのは、本当に幸せなことです。若い頃に日産で新車をたくさん売ったけど、キャンピングカーはお客さんの喜ぶ顔がまったく違う。子供みたいに目をキラキラさせている表情を見ると、キャンピングカーに携わってきてよかったなぁと心から思います。仕事でもプライベートでも、結局はキャンピングカーが大好きなんです!」

畑中さんと愛車

クルマ、バイク、釣り、キャンプ……。今年70歳を迎える現在まで、常に自分が楽しいと思えることを追い続けてきた畑中さん。大好きな愛車やバイクに囲まれて、キャンピングカーやアウトドアの魅力を語るその笑顔は、まるで10代の少年のようにキラキラと輝いていた。

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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