
トイファクトリーのZARA(ザラ)が、約10年ぶりにリニューアルしました。以前はハイエースのワイドボディ・ミドルルーフをベースに、横向き座席を備えた10人乗りの3ナンバーワゴンキャンパーとして展開した人気のモデルでした。しかし、保安基準の改正により同じ仕様で新規登録できなくなることから、2016年10月末に販売を終了したのです。
新型の乗車定員は、前向きで乗車する乗車定員5名に変更されました。あえてサードシートを設けない室内設計へ切り替え、レイアウトを刷新。初代から受け継いだ普段使いしやすいサイズ感に、現在の使い方に合わせたレイアウトと装備を組み合わせた新生ZARA。その魅力的な装備やレイアウトを、各側面からチェックしてみましょう。
10年ぶりの復活でZARAの室内はどう変わったのか
ハイエースのワイドボディだけあって、室内の広さを感じます。セカンドシートとリア側のベッドマットをフラットにつなぐと、ベッド長は2210mmにもなるのです。ハイエースのワイド幅の利点をしっかりと使い、フロント側からリア側まで就寝スペースは広々としています。標準マットのみの状態でも、余裕の就寝定員2名スペースが確保されました。
オプションのベッドマット3枚を追加すると、リア側を2段ベッドとして利用でき、最大4名の就寝に対応します。
エントランスから見えるリビングスペースは、フロントシートとセカンドシートを活用した、トイファクトリーらしいレイアウトです。サードシートを設けず、セカンドシートをリア寄りに配置することで、室内空間を有効に使っています。
ボディ右側、エントランスから見ると、奥側にシンクと冷蔵庫を並べたレイアウト。標準装備の電子レンジを組み込むタワー家具と上部収納もボディ右側のキッチンエリアへ集約しています。
もし2人で使う場合は、シートアレンジすることなくセカンドシートだけでくつろげるのは便利です。冷蔵庫、シンク、収納スペースもリビングエリアから手が届く位置にあるのも、実際に使ってみると、その使いやすさを実感することでしょう。
ベッドマットをリア側に展開しても、ベッド下全体をラゲッジスペースとして使える設計です。下段のマットを外して上段だけを残すと、リア側は容量1000Lの荷室となります。ベッドと荷室を使い方に合わせて組み替えることで、自転車などの大きな荷物も余裕を持って収納可能です。
右側キャビネットにも収納部があり、ラゲッジ部分を照らすダウンライトを装備しています。夜間に荷物を出し入れする際は、荷室を照らした状態で作業できるので、非常に使いやすくなることでしょう。
前席までリビングに変えるZARAのシートアレンジ
ハイエースのワイドボディ・ミドルルーフは走りにも定評があり、一般のハイエースユーザーにも選ばれている人気のモデル。全長4840mm、全幅1880mm、全高2105mmで取り回しもしやすいのが特徴です。
その安定した走りから、機動力を求めるユーザーも多くいます。そんなユーザーの期待に応えるのが、運転席と助手席へインストール可能なオプションのレカロシート。
レカロシートは、トイファクトリーオリジナルモデルで、サイドサポート形状ですが、スポーティーさに寄りすぎない、座り心地の良い仕様になっています。運転時に体をしっかりサポートしながら、リラックスして座れる感覚を両立させているのです。
助手席の背もたれを倒し、空いたスペースへオリジナルのサポートクッションを置くと、フロント側に座る場所を追加できる仕組みです。フロントシートのバックサイドを背もたれとして使い、セカンドシートと向かい合う配置。家族4〜5名で過ごせるリビングの完成です。
セカンドシートはスペースに余裕を持たせて設置しているので、フロント側に座っても、足元の空間が広くなっているのが特徴。このようにフロントシートを活用することで、限られた空間を有効に使うリビングへとアレンジしているのです。
運転席と助手席の間にあるセンターコンソール部分をフラットにする「ワンちゃんマット」も標準装備。愛犬のお気に入りの居場所として使えるほか、フロントとリアを行き来する際の通路としても利用できます。
簡単には動かない安定した設計で、マットの上には人も座れる強度があります。リビングレイアウトでは、フロント側の着座スペースとしても利用可能です。
車内をしっかり冷やす標準装備のDCクーラー
タワー家具の最上部には、アルパインが車載用に開発した「DCクーラーECOシステム」を標準装備しています。本体幅は下に収納されている電子レンジとさほど変わらず、室内機はタワー家具内へすっきりとおさまっています。コンパクトなスペースに空調がまとまっていて、室内スペースに干渉していないのもこだわりの設計です。
このアルパインのクーラーは室内機と室外機を分けた家庭用エアコンと同じ仕組みで、室外機はボディ下に設置。DC24V仕様で、アルパイン製ポータブルバッテリーから直接DC24Vが供給される仕組みです。クーラーを稼働させた時の動作音は静かで、室外機の音も抑えられているので、一般的なキャンプ場でも使えるレベルの作動音です。
クーラーのところでも説明した通り、ZARAの電源には、標準装備の容量1408Whアルパイン製ポータブルバッテリーを使用しています。上のDCクーラーをはじめ、冷蔵庫、照明、コンセント類、オプションのFFヒーターまで、このポータブルバッテリーで車内全体の電装をまとめてカバーしています。
充電は走行充電と外部充電に対応していて、オプションの専用ソーラーパネルも接続可能です。専用の電源システムを一から組み込むのではなく、ポータブルバッテリーをユニットで車内へ組み込む方式なので、電源設備設置も簡略化されました。
標準装備のポータブルバッテリーには、容量1408Whのエキストラバッテリーを1個追加可能です。バッテリー2台を合わせた最大容量は2816Wh。DCクーラーや車内電装を使う時間に応じて、容量を増やせるようになっています。
エキストラバッテリーは、右側リアキャビネット中央のスライド式引き出し内部に設置します。本体がぴったり収まる寸法で設計され、室内空間を圧迫せずにバッテリーを収納できます。
用途に合わせて姿を変えるZARAのリアスペース
セカンドシートを起こしたままでも、リア側には標準ベッドマットによるフラットなスペースを残すことができます。横幅は1200mmあり、子どもが横向きに寝られるサイズ。ファミリーで使う際は、子どもの就寝場所として利用するのもいいかもしれません。
ベッドマットを右側キャビネット上部と同じ高さにセットすると、上段ベッドで横向きで就寝するレイアウトとなり、そのサイズは長さ1760×幅1260mmになります。キャビネット上部は、ベッドとして使わないときにはフラットな作業スペースやワークデスクとしても利用できます。
ボディ後部の左側キャビネット下は、ウォーターレストイレ「クレサナ X1」専用の収納スペースが用意されていました。トイレ本体はオプションですが、ZARA側ではクレサナ X1収納を想定して専用設計されています。
本体寸法に合わせたスペースへ収めるため、走行中でもずれにくいのがポイント。普段はキャビネットの中へ格納して、トイレが必要になったときに取り出す使い方です。トイレの存在を感じることなく、いざという時の安心が得られます。
クレサナX1は持ち運びに対応した、自動フィルムパック式のモバイルトイレです。使用時は本体を上方向へ伸ばし、座って使える高さにセットします。収納時は小さく収まるので、収納場所を探しやすいのも特徴です。
使用後は排せつ物を高バリアフィルムで自動密閉し、においや液漏れを防ぎます。水を使わずに処理できるため、防災用にも最適です。省スペース設計なので、ZARAのような比較的コンパクトなバンコンにも設置しやすいといえるでしょう。専用バッテリーも使えるので屋内と屋外の両方へ持ち出せるのも便利です。
室内設計を大きく見直したZARAは、荷物の量や乗車人数に合わせてレイアウトを使い分け、追加ベッドやエキストラバッテリー、クレサナX1を収納できる設計まで考えられていました。
さらに、アルパイン製DCクーラーとポータブルバッテリーを標準装備するなど、キャンピングカーとしての設備も充実しています。
現在はハイエースのベース車両が不足しているため、ベース車両の持ち込み架装が基本となっているようです。ディーラーでの新車購入車両はもちろん、現在乗っているクルマでも未架装状態であれば、中古での持ち込み架装も可能とのこと。ハイエースバンのスーパーGL ワイドボディ・ミドルルーフを所有するオーナーは、この機会に、自分のクルマをZARAへ変更してみるのはいかがでしょうか。
※持ち込み架装の詳しい条件については、トイファクトリーのホームページにてご確認ください。
ホームページはこちら
- ベース車両
- ハイエース ワイドボディ・ミドルルーフ
- エンジン
- 2.7Lガソリン/2.8Lディーゼル
- 駆動形式
- 2WD/4WD
- 車体サイズ
- 全長4,840mm/全幅1,880mm/全高2,105mm
- 定員
- 乗車定員5人/就寝定員2人(OP+2人)




