
前編では、Hymerが築いてきたブランドとしての価値や、走りと居住性を両立させる設計についてみてきました。その完成度は、長距離移動を前提としたヨーロッパの環境のなかで磨かれてきたものです。
しかし、その品質が日本でも同じように発揮されているのか、疑問に思うかもしれません。ヨーロッパで完成した車両は、そのままの状態では日本の使用に適していません。電源やガスといったインフラ、さらには法規や登録制度など、国による違いがあるためです。
実際、日本導入当初には設備面での課題もあり、そのままではキャンピングカーとして十分に活用できない部分もあったそうです。
そうした違いがありながら、本来の性能や設計思想を損なうことなく、日本で使える状態へと整えていかなければいけません。この役割を担っているのがHYMER Japanです。単なる輸入代理店ではなく、ヨーロッパのキャンピングカーを国内仕様へ調整する体制とサービスが整っていて、本来の高い品質をそのまま輸入している点が、ブランドの特徴にもつながっています。
目次
日本で使える品質の国内仕様へ仕上げる最終工程
ドイツで生産されたHymerの車両は、日本に到着した段階でそのまま完成品として扱われるわけではありません。ヨーロッパと日本では使用環境が異なるため、国内上陸後にHYMER Japanによる独自の製品チェックが行われます。車両の状態確認はもちろん、各部の仕様が日本での使用条件に適合しているかを細かくチェックしていきます。
この工程は単なる製品の検品ではなく、日本市場での品質を担保するための重要なプロセスとなっているのです。ヨーロッパで築かれた品質をベースに、国内でしっかりと活かされる状態へと引き上げる役割があります。
こうした取り組みは1980年代後半、Hymer社との打ち合わせを重ねながら日本導入を進めてきた時期から続いていて、国内での使用環境に合わせた調整という考え方は当初から重要な要素とされてきました。
当時のヨーロッパキャンピングカーとしては珍しかった右ハンドル仕様モデル製造の交渉も進められたといいます。
電源やガスといった設備についても、日本仕様への調整が行われます。ヨーロッパ仕様のままでは扱いづらい部分を、日本の環境に合わせて改修することで、日常的な使用でも支障がない状態へと変化していきます。
分かりやすいのがコンセントなどのアウトレット。HYMER Japanのキャンピングカーは電源がAC100Vの国内仕様になっているので、特別な操作や追加のアイテムを必要としません。このように、国内で生活している人が一般的な使用環境の中で自然に扱えることを第一に考え、長いスパンでの扱いやすさを生んでいます。
近年では国内向けにクーラーの取り付けが常識になってきました。クーラーの設備をどのようにして車内に取り付けるか。完成されたHymerのキャンピングカーでは、このような作業も難しいのです。ヨーロッパらしい美しいデザインを損なうことなく、仕上げていくのには手間もかかります。
上の写真はエリバツーリング国内仕様の車内ですが、クーラーのコントローラーを取り付けるために、他の家具とデザインを合わせたパネルを新規に作って対応しています。このような細かい作り込みが、ブランド力を高める結果へとつながっているのです。
本国と連携した技術体制で国内の品質基準を支える
HYMER Japanの体制は、国内だけで完結するものではありません。本国との連携によって、製品に関する技術情報や仕様変更などが継続的に共有されてきました。それはヨーロッパブランドの品質を保つためでもあり、ブランド力を維持するための大切な活動でした。
設計の意図や構造に関する情報までもが共有されることで、国内でもヨーロッパと同じ基準で車両を取り扱うことができます。このヨーロッパ本社との交流が、ブランドとしての統一感をグローバルに支えているともいえるのではないでしょうか。
整備に関わるスタッフは、現地での研修などを通じて本場の技術をしっかりと学んでいます。本社スタッフによる技術指導も行われていて、キャンピングカー車両に関する理解を深める体制がしっかりと整えられているのもポイントです。
過去には、Hymer本社から技術スタッフが来日し、国内スタッフへの技術指導やユーザー対応が行われてきたこともあり、こうした交流が現在の体制の基礎となっているのです。
国内の整備の現場では、キャンピングカーの知識と情報がしっかりと反映されていて、最高のパフォーマンスを発揮できるように点検や調整が行われています。単なる修理にとどまることなく、品質を維持するための管理という側面も強く、その体制があることで長期的な信頼性が保証されているのです。
移動と滞在を両立する設計で日本でも変わらない快適性を実現
Hymerの設計は、走行性能と居住性を切り離さずに考えられてきました。長距離移動を前提とした安定性と操作性が確保されており、移動そのものの負担を軽減するのです。ヨーロッパで求められてきた厳しい条件に基づいた設計が、日本の道路環境においてもそのまま機能します。
車内空間は、生活の延長としての使い方を前提に設計されています。座る、食事をする、くつろぐといった動作が無理なく行えるレイアウトが採用されています。機能の配置だけでなく、空間全体のバランスが整えられていることで、滞在時間の負担が軽減されるデザインとなっています。
就寝スペースについても、移動後の休息を前提とした設計がしっかりと施されています。断熱性や静粛性といった要素も含めて、しっかりと整えられていて、長期の滞在環境を向上させるために機能します。
ベッドマット、空間を包み込むようなトータルデザイン、手を伸ばせばちょうどいい位置にあるストレージなど、そのすべてがヨーロッパのキャンピングカーが培ってきた機能性が込められているのです。このように高い運動性能での移動と快適な滞在の双方を兼ね備えているバランスがHymerの特徴といえるのです。
国内で確立されるブランド価値を正規体制が支える
Hymerは車両単体だけでなく、その後のサポート体制も含めてハイブランドとしてしっかりと成立しています。正規販売店による整備や部品供給のネットワークが整えられていて、国内でもヨーロッパと変わらない安定したアフターメンテナンスの対応が可能です。
日本の環境に適応した状態で提供されることで、特別な条件を必要とせずに使用できる点もメリットですが、そのキャンピングカーを信頼して使い続けることができる環境も大切です。日常的な利用から長距離移動まで、幅広い用途に対応できるサービスが整っているのも特徴といえます。
整備工場では専用のテスターが使われていて、メーカーと直接ネットワークでつながり、不具合などを共有化できるシステムが構築されています。これはベース車両となるメルセデスベンツ。フィアットなど、メーカーごとにシステムがあり、自動車メーカーに認証された工場でしか使えないシステムです。もちろん、HYMER Japanでは各メーカーからの認証も受けているのです。
Hymerは、これまでのヨーロッパでの長い歴史によって積み重ねられてきた品質と体制によって生まれました。ドイツで製造されてから日本での最終工程、そしてその後のサポートまで、一貫した流れのなかでブランドが成立しています。走行性能やデザインといった表面的な要素ではなく、パッケージ全体としての完成度が高く評価されているのが分かります。
HYMER Japanは単なる輸入窓口ではなく、日本における品質の最終責任を担う存在です。車両のチェックや設備の調整、各種試験の実施、そして本国との連携による情報共有まで、一連の流れがしっかりと確立しているディーラーといえるでしょう。
1980年代後半から段階的に導入と体制の構築が進められ、試行錯誤を重ねながら現在の形へと整えられてきました。その結果として、国内においても安定した品質が維持され、ブランドとしての信頼性が確保されています。
ヨーロッパで確立されたブランドが、日本においても同じ基準で成立している。その背景には、本国の品質を日本でも維持するために積み重ねてきた調整と体制があります。こうした積み重ねが、Hymerを国内でも確かな存在として位置づけています。
Hymerを代表する車両カテゴリー
国内で正規販売されているHymerは、大型のキャンピングカーからコンパクトなモデルまで、さまざまな種類をラインアップしています。そのクオリティはどのモデルも変わらず、上質な空間を提供してくれます。車両カテゴリーで見ると、フルコン、ロープロファイル、バンコン、トレーラーに分類されます。
【フルコン】
運転席部分も含めて、すべてを架装しているのがフルコンです。欧米ではAクラスと呼ばれるタイプで、スペースに余裕があり、最もラグジュアリーなカテゴリーといえます。
【ロープロファイル】
国内ではキャブコンと呼ばれているカテゴリーで、リアキャビン部分を架装したモデルです。空気抵抗を考えた、フロントからリアへ流れるようなシルエットが特徴です。
【バンコン】
コンパクトなボディに、最高品質のインテリアをインストールしたモデルです。ドライビングしやすいサイズ感で、アクティブなオーナーから人気を集めています。
【トレーラー】
けん引タイプのキャンピングトレーラー。このエリバ ツーリングは、基本的なデザインを変えることなく、長年にわたり多くの人に愛され続けてきたモデルです。



