ウィネベーゴ・フューズ

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新世代モーターホームシャシー「フォード・トランジット」

 日本最大級のアメリカンモーターホームディーラーで、ウィネベーゴ社の正規代理店を務める「ニートRV」が、このほど新世代モーターホームの「フューズ」を導入した。

 同車は、アメリカで次世代モーターホームシャシーといわれるフォード・トランジットをベースにした軽量小型クラスCモーターホーム。これまでクラスCのベースシャシーに使われていたフォード・エコノラインE350の生産が打ち切られていくなかで、それに代わるシャシーとして登場したものである。

 軽量小型といっても、フューズの全長は7.35m、全幅2.32m。平均的な国産キャブコンよりは大きいことには変わりはないが、世界的な省エネ思想が台頭してきた北米においてはコンパクトモーターホームの部類に入り、アメリカのRV関係者、RVメディア、ユーザーからの評判はとてもよい。

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パワフルかつスムースなディーゼルエンジン

 このクルマの特徴は、まずエンジンにある。
 「パワーストローク」というニックネームを持つトランジットのエンジンは、3.2㍑ 直列5気筒のターボディ-ゼルエンジンで、最高出力137kW(185ps)/3000rpm、最大トルク474Nm(48.4kg-m)/1500~2500rpmという高出力を誇っている。エコノラインのV10エンジン(300ps)には及ばないものの、ガソリンエンジン並みの静粛性とスムースさを実現しており、小型化された軽量ボディとのマッチングも良好で、走りは軽快だ。

フューズの運転席。助手席は後ろ側に回転する
フューズの運転席。助手席は後ろ側に回転する

 ディーゼルエンジンを採用したのは燃費性能の向上を意図したものであったが、排気ガス浄化にも威力を発揮し、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)などの排出量を低レベルに抑えていることも高評価を受けている。

 駆動方式は2WDのFR。ここの部分がフィアット・デュカトのようなFFシャシーが大半を占めるヨーロッパモーターホームと異なるところだ。

 FFは、コーチ部分の架装重量が増えすぎるとフロントタイヤに掛かるトラクションが減って駆動力の安定性を欠きがちだが、FRであるかぎりそのへんの心配は払しょくされる。

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空間的な広さを狙ったインテリアデザイン

レイアウトは2パターン。
 23Aと23Tがあり、ニートRVが展示車として導入しているのは23A。
 壁を背にした横座りシートが通路を挟んで向かい合うというもので、広々とした室内空間を確保するのが狙い。

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 このリビング部のソファーをベッドメイクすると、幅810mmのベッドが二つ生まれる。左側のベッドは延長マットを埋め込むと全長2030mmまでサイズアップする。

 ベッドマットの下には、「フロリー・デラックス・スリープシステム」という特殊な構造のベッドシステムが採用され、快眠が保証されている。

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クラシカルなテイストに振ったデザイン

全体の内装デザインは、思い切ってクラシカルな意匠に振ってある。
 ウィネベーゴ社は、この「フューズ」の前に、クライスラー・ラム・プロマスターというシャシーを使った「トレンド」というクラスCを発表し、その内装を斬新なモダンデザインで飾った。

 それはプラスチック家具などを多用した近未来的なものであったが、若干無機質な合理性が前面に出過ぎたきらいもあり、ユーザーの評価も二つに割れた。

 その反省もあったのか、「フューズ」のインテリアでは、アメリカンモーターホームの本来の持ち味であるアーリーアメリカンスタイルの家具が復活している。
 面白いのは、家具の色使いだけでなく、その構造自体も復古調であること。
 たとえば、オーバーヘッドキャビネットなどは、日本の障子や襖扉のような引き戸になっている。最近のモーターホームに使われるオーバーヘッドキャビネットは、ラウンドした扉部分を手で押すだけで開くような構造のものが主流であったが、「フューズ」ではそれを採用せず、昔ながらの引き戸を復活させている。

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ヨーロッパデザインとアメリカの実用性が融合

キッチン周りは、ヨーロッパ調の意匠を採り入れながらも、アメリカンモーターホームの実用性を損なわないデザインになっている。優美な弧を描く2口コンロやフォーセットの形状はいかにもヨーロッパ調だが、シンクの深さなどはアメリカンモーターホームの実用性が優先されており、そのバランスが見事だ。

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 冷蔵庫は、ノアコールド製の静音型2ドア冷蔵庫で、LPガス、100V電源、12V電源の3通りの駆動方式を持った3ウェイ方式。150㍑の容量があるので、食材をまとめて買ったときには便利だ。

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 最後尾はトイレ&シャワールームが設定されている。シャワー室とトイレが同じコンパートメントに収納されているが、スライディングドアによってリビングと仕切られるので、プライバシーの確保は万全。

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アメリカ人の今の気分は“伝統回帰”

 「フューズ」の内装デザインは、トラディショナル路線に回帰したものだが、この傾向はウィネベーゴ社に限ったことではなく、最近のアメリカンモーターホーム全体のトレンドであるという。
 その理由を、ニートRVの猪俣慶喜取締役はこう語る。

 「アメリカのトランプ大統領が選挙中に掲げた“Make America Great Again(アメリカを再び偉大な国に)”という言葉に、今のアメリカ人の気分が反映されているような気もします。
 というのは、グローバリズムの時代を迎えて、アメリカ文化が無国籍化していくことに対し、多くのアメリカ人が寂しさを感じてきたのかもしれません。
 モーターホームはアメリカ発祥の文化ですから、多くのアメリカ人はシャシーにはフォードのトランジットを選びたくなり、内装には木目が香るようなアーリーアメリカンスタイルを選びたくなるのでしょう」

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 最近の日本のキャンピングカーユーザーは、ヨーロッパスタイルの内装に慣れてしまっているが、あらためてアメリカンスタイルの内装を見ると、それがものすごく鮮やかに見えることも確か。

 フォード・トランジットというヨーロッパ車と遜色のない性能を獲得したニューシャシーの魅力もあり、ヨーロッパ車からの買い替えを検討しているユーザーは、今一度「フューズ」のアメリカンテイストの味わいに触れてみるのはどうだろう。

ウィベーゴ・フューズWF423A スペックデータ

ベース車:フォード・トランジット350HD
乗車定員/就寝定員:4名/4名
全長/全幅/全高:7,350mm/2,320mm/3,110mm
排気量:3,200cc
最高出力:137kW(185ps)/3000rpm
最大トルク:474Nm(48.4kg-m)/1500~2500rpm
ミッション:6速AT
駆動方式:2WD FR
燃料:軽油
車両本体価格: 13,500,000円(税抜き)
主要装備:エアコン/冷蔵庫(3ウェイ)/ガス式FFヒーター/給水タンク(102㍑)/ブラックタンク(162リットル)/グレータンク(155リットル)/ビルトイン調理器具/温水シャワー/サブバッテリー/電動サイドオーニング/外部電源/ルーフベンチれーたー/ルーフエアコン/マリントイレ/遮光カーテン/ツインベッド/外部収納庫(654リットル)他

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