
快適性と機能性を追求した上質なキャンピングカーを作るトイファクトリーから新しいモデルがリリースされました。イタリア語で「喜び」を表す「gioia」と名付けられたバンコンで、フィアットデュカトをベース車両にしたモデルです。
2025年のジャパンキャンピングカーショー会場では、内装のカラーリングが違う2つのモデルを展示していました。トイファクトリーではこれまでに、フィアットデュカトをベースにしたオリジナルモデルとして、ダヴィンチ、オリジン、ユーロバーデンをラインアップしていました。そして、今回のgioia(ジョイア)が4番目のモデルとなります。
これまでのラインアップとはちょっと違ったアプローチで開発されたジョイア。そのディテールを見てみましょう。
目次
スペースを最大限活かしたトイファクトリーの新型ジョイア

ベース車両はフィアットデュカトのL2H2と呼ばれるモデルです。ボディサイズは全長5410mm、全幅2120mm、最大高2525mm。このスペースに5名乗車、5名就寝のレイアウトを実現しました。他ブランドのモデルも含めて、フィアットデュカトベースのキャンピングカーは4名乗車、2〜4名就寝というパターンが多かったので、ジョイアはこの定員人数が特徴の1つといえます。
モデルのコンセプトは「ファミリー」。既存モデルよりも定員数を増やして、車名の由来となったイタリア語の喜び(ジョイア)を体現した空間を作り出しました。
ボディの外観は、新しいデザインのデカールをアクセントに、ヨーロピアンテイストを漂わせています。シンプルでありながらモダンなデザインで、乗る前から、誰もをワクワクさせてくれます。

サイドのスライドドアを開けると、美しいインテリアが目に飛び込んできます。その印象的なインテリアの存在感が、まさにトイファクトリーらしさといえるのです。効率よく配置された照明が美しく車内を包み込み、特別な空間を作り出しています。
エントランスに立って最初に気づくことが、その広がりの大きさではないでしょうか。室内高は1880mmもあって、圧迫感を感じることはありません。バンコン特有の、頭を下げて車内へ乗り込む必要もないのです。そのエントランスの前に立つと、早く中へ入ってみたくなってくるのが不思議です。

室内高が高いことで、室内空間に余裕が生まれています。観音開きのリアゲートを開けると、ベッドルームが見えますが、広々とした空間であることが一目で分かります。ベッドの下にもスペースに余裕があって、中段に別のマットがセットされていました。このマットを移動することで、いろいろなレイアウトアレンジができるのです。
リア両サイドにキャビネットが取り付けられていて、小物を入れる棚などもあります。収納力も高く、ファミリー全員の荷物を積み込んでも余裕があります。会場のディスプレイでも提案されていましたが、ペット用のエリアとして利用するのもいいかもしれません。
イメージが違う2つのインテリアカラーバリエーション

車内インテリアは2つのバージョンが用意されていました。暖かい印象のナチュラルウッドとモダンデザインを感じるホワイトグリーン。上の写真は暖かい雰囲気があるインテリアのナチュラルウッドです。これまでのトイファクトリーが作ってきたモデルに似たカラーリングといえるでしょう。
基本的なレイアウトは、エントランスから入って、目の前にリビングエリア、リアに常設ベッドが広がっています。リビングエリアでは、運転席と助手席が回転するので、シートを後方へ向けることができて、セカンドシートを使って対面対座することができます。

後方にはベッドエリアが広がっています。ハイエースをベースにしたトイファクトリーの既存モデルと似ていますが、ベース車両が違うので、圧倒的な広さを感じます。特にリアベッドに乗り込んだ時、ヘッドクリアランスが広く、ベッドマットに座ったとしてもスペースのゆとりを感じるほどです。
ハイエースでもいち早く家庭用エアコンを搭載した技術、トイファクトリーのクールコンプシステムを搭載することができるので、展示モデルのリアベッド上部には家庭用エアコンが取り付けられていました。家具の中にきれいに収められていて、その存在感を消しているのも特徴といえるでしょう。

上のモデルがモダンデザインを感じる落ち着いたインテリアのホワイトグリーン。レイアウトは同じですが、上の写真の暖かいカラーリングのモデルとはまったく違った印象を受けます。ホワイトカラーを基調として、落ち着いたグリーンを差し色にインテリアデザインを完成させています。
リビングエリアにある吊り下げ棚の横にはオプションの電子レンジが設置されていました。こちらも家庭用エアコンと同じように、その存在感を消すことで、インテリアの中に溶け込んでいます。

フロントからリアを眺めると、白いカラーリングが影響しているのか、空間の広さを強く感じられます。シート生地も落ち着いたトーンを使うことで、ホワイトとの対比を強めています。
天井部分に見えるのはフロント側がベンチレーター、その横にスピーカー、リアにルーフウインドウ、となります。ベンチレーター、スピーカーはオプション設定となりますが、リビングでくつろぐ時、空気を循環させ、リラックスタイムを過ごすには大切な設備となるかもしれません。
リアのルーフウインドウはベッドで寝ながら星空を眺めたり、太陽の光を取り込んで、心地よい空間を作り出してくれることでしょう。
ファミリーが使えるフィアットデュカトキャンピングカー

トイファクトリーではさまざまなニーズに応えて、いろいろなバリエーションのキャンピングカーを作ってきました。遊びに特化したり、二人旅にぴったりのモデルなど、そんなバリエーション展開のなかで、ジョイアはファミリーでの利用をコンセプトに開発されました。
その象徴ともいえるスペックが、乗車定員5名、就寝定員5名、というもの。リアの常設ベッドはトイファクトリーのフィアットデュカトキャンピングカーでは最大の広さがあり、3人が寝られる設定になっています。ハイエースではスペースが限られていましたが、フィアットデュカトをベースにしたことで、進行方向に対して横向きに就寝定員を確保できたのが大きかったといえるでしょう。
そして、セカンドシートを倒して、リアの中段マットとつなげることで、2人の就寝スペースを確保することができました。段違いの2段ベッドとなりますが、縦へのスペースに余裕があるので、下段であってもそれほど圧迫感を感じることはありません。

リアのベッド下は上の写真のような状態。両サイドにオープンタイプの棚が設置されていて、中段にマットをセットすることができます。前後にスライドすることで、ラゲッジスペースの広さを調整することも可能です。
右サイドのキャビネットには荷物が飛び出さないようにネットが取り付けられていました。上下にスライドして伸縮性があるので、入れる荷物に合わせて位置などを調整できるのも嬉しい機能です。

リアのベッドマットを後方まで敷き詰めると、ちょっとしたベッドスペースにもなります。セカンドシートを繋げていませんが、子供であれば十分なスペース。ダウンライトも付いていて、子供たちにとっては特別な空間として活用できるかもしれません。
中段マットをセットしていても、下部の収納スペースは十分な広さがあります。フィアットデュカトの室内空間の広さの恩恵ともいえるかもしれません。
人気のバンコンレイアウトにトイファクトリー品質

キッチンはエントランスの逆サイドに設置されています。トイファクトリーのハイエースモデルでも人気のあるセンターキッチンを採用しました。ガラストップのカバーを開けるとコンロとシンクが隠されています。使わない時は閉じて、テーブルの一部として使ってもいいでしょう。
その右横に冷蔵庫があり、ウッドのカウンタートップでカバーされています。車内のどの場所からも利用しやすい場所で効率的な配置になっています。フロント側には少し切り欠きがあって、下部に棚も設置されています。運転席を回転して利用できるフィアットデュカトならではの工夫を感じます。

ホワイトグリーンのモデルに採用されているグリーンカラーは落ち着いた雰囲気があります。光によっていろいろな表情を見せてくれます。棚の取っ手にはレザーが使われていて、デザイン性もさることながら上質な洗練されたデザインワークを感じることができます。
ホワイトカラーだけだとのっぺりとした印象になってしまいますが、所々、ウッドのアクセントを加えるなど、トイファクトリーらしい、細かいこだわりが現れていました。

インテリアのライティングは間接照明をうまく使って、優しい空間を作り出しています。エントランス部分のステップも幻想的な光が広がっています。フロントシートとのレベルを合わせるためか、フロアを一段高くして、セカンドシートを設置していますが、このおかげで、室内への乗り込みもしやすくなっていました。
セカンドシートの横幅も大きくエントランス付近まで接近しているのに、このダブルフロアのおかげで、乗り降りしやすくなっています。乗り込み時のステップとしても使いやすいのですが、このスペースには奥行きがあるので、クツ置きとして利用するのも便利です。
トイファクトリーのフィアットデュカトベースキャンピングカー「gioia(ジョイア)」はファミリー向けに最適化されたモデルでした。既存モデルのフィードバックを活かして、使いやすさ、品質が追及されています。
断熱のトイファクトリーといわれるように、しっかりとした断熱処理「トリプル断熱」も採用されました。フィアットデュカトというキャンピングカーベース車としての高いポテンシャルを秘めたクルマを使って、これまでの日本のキャンピングカー作りで培ってきた技術を投入することで、世界レベルのキャンピングカーを作り続けているトイファクトリー。
これまでになかった、ファミリーへ向けたフィアットデュカトベースのキャンピングカーなど、今後の新しい挑戦も楽しみといえるでしょう。
gioia諸元
- ベース車両
- フィアットデュカトL2H2
- エンジン
- 2.2Lディーゼル
- 駆動方式
- FF2WD
- 車体サイズ
- 全長5,410mm/全幅2,100mm/全高2,525mm
- 定員
- 乗車定員5人/就寝定員5人
- 価格
- ¥12,980,000(税込)~