
新型コロナウイルス感染症の影響で、普段の生活は大きく変わりました。会社へ出社する回数が減った人も多いのではないでしょうか。人との距離を保ちつつ、社会的な活動をしなければいけない状況が続いていて、いろいろな経済活動にも影響が出ています。
キャンピングカー業界でも、その影響は顕著といえるのではないでしょうか。展示会の開催が減り、規模を縮小しているケースも多くなりました。でも、キャンピングカーはお客さんとディーラーがじっくりと話をする機会が必要なのに…… 困った状況が続いています。
そこで、いろいろな業界で注目されているのが、オンラインを使ったサービスです。すでにたくさんの企業から独自サービスが生まれていて、お客さんとのコミュニケーションを構築しています。
クルマ系では、オンラインショールーム、オンライン商談などがありますが、キャンピングカーのディーラーでも使えるケースが多いと言えるでしょう。
そこで今回は、いち早くオンラインショールームをスタートさせたケイワークスに、オンラインでのお客さんとのやり取り、実際にやってみての感想などを聞いてきました。
目次
社長の一声でスタート!10日で完成させたオンラインショールーム

ケイワークスのスタッフは、以前から県外のお客さんとのコミュニケーションを取りたいと思っていたそうです。
「ケイワークスに興味を持っていただくお客さんは、ケイワークスがある愛知県外の方も多く、なかなかショールームに行けないという話を聞いていました」と望月店長は言います(以下同)。

さらに、新型コロナウイルス感染症のため、ショールームに行きづらくなったお客さんも増えたので、対応策を考えていました。そんな時、いろいろな情報に敏感な、ケイワークス社長黒田氏からスタッフへ声がかかったそうです。
「社長が他業種で実践されていたオンラインショールームに興味を持ちまして、すぐに実行することになりました。ツールの準備やホームページの更新など、いろいろとやらなければ行けないことが山積みでしたが、社長の一声から約10日でシステムが完成しました」
以前から、営業スタッフサイドでは、オンラインでの商談も視野に入れていたそうですが、現場からの意見だけでは実行に移せなかったともいいます。社長の一声があったからこそ、短期間でありながら、システムの構築ができた、と振り返っていました。
10日間でオンラインショールームをスタート

ケイワークスがオンラインショールームをスタートさせたのは2020年6月。でも、すぐに反応があったわけではありません。
「スタートすればすぐに問い合わせが来ると思っていました。でも、1ヶ月ぐらいは反応が薄く、スロースタートでした。徐々にオンラインショールームをやっている、ということが浸透していって、さらに、実店舗への来客も戻り始めた頃、ようやくオンラインでのサービスが軌道に乗ってきました。週末に集中していますが、今では、平均で週5人の方がオンラインショールを利用しています」
オンラインサービスが話題になっていますが、サービスが浸透するまでには、少し時間がかかるようです。ケイワークスでは、準備へのスタートも早く、10日間というハイスピードでシステムを構築したことで、早い段階で体制を整えられたことも、効果出す結果となったのかもしれません。
オンラインショールームの利用方法は簡単!
実際のオンラインショールームはどのような形でサービスが提供されるのか、詳しく聞いてみました。

最初のアプローチはお客さんからになります。ケイワークスのホームページを見て、オンラインショールームのアイコンをクリック。専用のページに飛ぶと、手順がていねいに書いてあるので、手順にそって、登録、予約、商談と進めていきます。
まず最初のアクションは、アプリケーションのラインで友達登録を行います。すると、ケイワークスとのトークルームに予約できる専用フォームのアドレスが表示されているので、そこから商談日を決めます。予約が完了すると、スタッフからラインへ、確認完了の連絡が入ります。
商談の日がやってくると、ビデオでつながるアドレスが送られてくるので、予約時間にアドレスをクリックして、ケイワークスのショールームにつながるという仕組みです。当日のビデオ会話に不安があっても、事前にラインでチャットできるので安心です。

オンラインショールームは、商談といっても、かならず購入を決めている人が利用するのではなく、実店舗へ来店するのと変わらないので、緊張は必要ないようです。

「お客様とは、まず自己紹介から始まって、普段の対面と同じように話を進めていきます。どのようにキャンピングカーを利用したいのか、どのようなクルマに興味を持っているのか、お客様のことをヒアリングしてから、クルマの紹介をします」
オンラインショールームでは何が求めれるのか

お客さんと会話をしながら、ショールームの中を歩き回る営業スタッフが手に持っているのは、スマホを装着したジンバルというアイテムです。ブレのない映像を撮るには欠かせないアイテムだそうです。

ジンバルは複数台を導入したので、オンラインショールームが重なっても、複数の営業スタッフで対応することも可能だといいます。時々、2〜3人の営業スタッフがジンバルを手にショールームを歩いていることもあるとか。

ヒアリングを終えたら、実車を見ながら会話が続きます。お客さんがオンラインショールームで確認したいことは、実店舗へ来るお客さんと変わらないそうです。

「ヒアリングしたときに、どこを見てみたいかを聞きます。多いのがキャンピングカーの雰囲気を見てみたいという要望です。装備などはカタログで確認されているので、実際にその装備がどのような状態になっているのかを確認したいといいます。スマホを家具に寄せてみて、質感を映像に写したりすることも多いです」
オンラインだからこそできるチェック項目

お客さんが営業スタッフに言って、カタログやインターネットでは見えない場所を確認できるのは、オンラインショールームだからこそできたことかもしれません。また、実際に使っている様子を俯瞰して見られるというメリットもあるようです。

「お客様が使ったイメージを伝えられるように、カメラを固定して、ベッド展開してみたり、他のスタッフに手伝ってもらって、ソファーに座ってもらったりしています。あと、ルーフトップで立ち上がって、広さを確認してもらうことも多いです」

普段のショールームでは、お客さんが車内に入って、キャンピングカーを体験している様子をよく見ます。でも、そんな姿を外から見られるのは、冷静にクルマの広さや使い勝手を判断できる材料となるのではないでしょうか。

「冷房の効き具合などを伝えるのは難しいですが、スマホならではの映像というのも撮れます。なかにはクルマの足回りを見てみたいという方が居て、ジンバルをクルマの下に入れて、ケイワークスオリジナルのサスペンションなどを紹介したこともあります」
オンラインショールームの効果は大きい

オンラインショールームのおかげで、これまでショールームやキャンピングカーショーに来れなかった人ともつながったと言います。北海道から九州まで、いろいろな客さんとコミュニケーションが取れるようになり、その効果は大きかったとも。
オンラインであれば、事前に予約をしていることもあって、営業スタッフを独り占めしているような感覚もあります。平均すると約1時間、一緒にキャンピングカーのことについて話して、クルマの1つ1つを確認できるのは、お客さんにとってもメリットが大きいはず。
お客さんからの反応もよく、すでにオンラインだけで契約に至ったケースもあるそうです。外出できないなどの要因でスタートしたオンラインショールームでしたが、遠方の人が気軽にケイワークスのキャンピングカーとつながるきっかけができて、新しい営業スタイルとしても、新しい価値を生み出したサービスとなっているようです。