夏の北海道、キャンピングカーで行きたいオススメスポット

キャンピングカー活用法
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北海道は広い。12年に渡って北海道に通い詰め、定番スポットから穴場スポット、最果ての島「利尻島・礼文島」まで、様々な場所を巡りながら200泊以上も北海道を旅してきた筆者でも、まだまだ行ってみたい場所はたくさんある。そんな広大な北海道だからこそ、初めて訪れる人はどこに行けばいいのか迷ってしまうことも多いだろう。

今回は、筆者が実際に訪れた数々のスポットの中から「もう一度行ってみたい場所」「印象に残っている場所」を厳選して紹介する。キャンピングカーで北海道を旅する際に、少しでも参考になれば幸いだ。

長い道程を走り切った者だけがたどり着ける最北の地 宗谷岬

宗谷岬

北海道を旅するなら一度は行ってみたいのが、日本最北端の地「宗谷岬」だ。と言っても、そこに特別な絶景が待ち受けているわけではなく、周囲には日本最北端の碑とお土産屋・食堂が数軒あるだけで、少し寂しい雰囲気が漂う。しかし、その寂寥とした風景が「日本の最果てに到達した」ことを実感させ、何とも言えない達成感を呼び起こしてくれる。

キャンピングカーで北海道に行く場合、旅の起点はフェリーターミナルがある「函館」「苫小牧」「小樽」のいずれかとなる。小樽から宗谷岬までは下道で約360km・6時間半の道のり、苫小牧港から宗谷岬までは下道で約400km・7時間半の道のり。もっとも遠い函館港から宗谷岬を目指すとなると、一部区間で高速道路を利用しても距離は660km。移動時間も9時間をゆうに超える。どのルートを通っても近道はない、日本最北端までの道のり。それを走り切った者だけが、最果ての地に立つことができるのだ。

ちなみに、宗谷岬のすぐそばには「日本最北端のガソリンスタンド」があり、そこで給油をすると「日本最北端給油証明書」がもらえる。宗谷岬を訪れた際には、現地で給油をしてそこでしか手に入らないレアな証明書をゲットしよう。

北海道の広さを実感できる圧巻の大パノラマ ナイタイ高原牧場

ナイタイ高原牧場

上士幌にある「ナイタイ高原牧場」(上士幌町上音更85番地2)は、総面積が東京ドーム358個分(!)という日本一の広さを誇る公共牧場だ。標高800mの最高地点には、レストハウスや展望台があり、そこから眺める大パノラマは、思わず息をのむほどのスケール感。地平線まで続く雄大な十勝平野、彼方に見える阿寒の山並み、一面に広がる緑のじゅうたん、草を食む乳牛の群れ、そして頭上には澄み切った大きな青空……。道外の人が思い描く「北海道らしさ」が詰まった、開放感あふれる絶景が魅力のスポットだ。

入口ゲートから最高地点のレストハウスまでは、約6kmの距離がある。牧場の中を走る一本道をのんびりとドライブするのも、「ナイタイ高原牧場」の楽しみのひとつ。真っ青な空と広大な牧場の風景を眺めながら、北海道の雄大さを肌で感じよう。

万里の長城のような散策路から積丹ブルーの海を眺める 神威岬

神威岬

「積丹ブルー」と呼ばれる、青く透き通った海で知られる積丹半島。なかでも絶景スポットとして人気が高いのが、日本海に向かって大きく突き出した「神威岬(カムイ岬)」だ。ここを訪れたら、ぜひ遊歩道を使って岬の先端まで自分の足で歩いてみてほしい。

岬の先端まで整備された遊歩道「チャレンカの小道」は、片道約800m・20~30分の道のり。遊歩道が岬の先端までアップダウンしながら続く光景は、さながら万里の長城のようだ。両側に積丹ブルーの海を眺めながらのんびり遊歩道を歩けば、「観光地でクルマを止め、写真をパシャッと撮って次の場所へ移動する」、そんな “駆け足観光ツアー”では決して味わえない、スケールの大きな絶景を肌で感じることができる。

積丹はウニの産地としても有名な場所。ウニ漁の解禁は6~8月なので、夏に訪問した際は、最高の天然ウニを使用した絶品のウニ丼もぜひ味わっておきたい。

どこに行っても自然が濃く、「旅の香り」が強く漂う 知床

知床

オホーツク海に突き出た知床半島は、世界自然遺産にも登録されている自然豊かなスポット。道東エリアの中でもとくに人気が高いことから、ここを目指すライダーやチャリダーも多く、観光拠点のウトロ周辺には独特の「旅の香り」が漂っている。知床五湖、カムイワッカ湯の滝、フレペの滝、オシンコシンの滝、プユニ岬、夕陽台、オロンコ岩、知床峠など、どこに行っても日本離れした絶景と出会えるのが世界自然遺産・知床の魅力。様々なスポットを自分の足で歩いて、知床の自然を感じてみてほしい。

キャンピングカーの宿泊地は、旅人が多く集まる「国設知床野営場」がお勧め。場内に野生のエゾジカが訪れ、キャンプ場の一角には知床八景のひとつ「夕陽台展望台」もある。公衆温泉浴場も徒歩圏内。昔ながらの野営場らしいのんびりとした雰囲気に包まれながら、知床の大自然を味わいたい。

道内に点在する野趣満点の秘湯を求めて旅をする 無料野天風呂

無料野天風呂

知床・ウトロの「カムイワッカ湯の滝」「岩尾別温泉」、羅臼の「熊の湯」「セセキ温泉」「相泊温泉」、標津の「川北温泉」、屈斜路湖の「コタンの湯」など、北海道には周囲を自然に囲まれたワイルドな無料野天風呂が数多く存在する。そうした“野趣あふれる秘湯”巡りを、北海道キャンピングカー旅のテーマにするのもいいだろう。

筆者のイチオシ野天風呂は、その昔一人旅で訪れた「鹿の湯」(河東郡鹿追町然別峡)。然別峡野営場のすぐそばを流れる渓流沿いにある無料の天然露天風呂で、湯船からユウヤンベツ川と周囲の豊かな緑を眺めながら、ゆったりと温泉に浸かることができる。ワイルドな環境にある然別峡野営場はオートキャンプ不可のため、山岳テントを張って朝・夕・晩と温泉三昧。そんな一人旅の思い出がある印象深い場所だ。

もうひとつお勧めなのが、函館市街からクルマで1時間ほどの場所にある「水無浜温泉」(函館市恵山岬町)。波打ち際に湧き出た天然の温泉露天風呂は、もちろん無料で入浴することができ、更衣室も完備されている。目の前に広がる大海原を眺めながら温泉に浸かるのは、最高のひと時。満潮時は湯船が海に沈んでしまうため、函館市のHPで水無海浜温泉入浴可能時間表を確認してから訪問すること。

自らの運転で往復10kmのレールを駆け抜ける トロッコ王国

トロッコ王国

道北の美深町にある「トロッコ王国」(中川郡美深町仁宇布)は、昭和60年に廃止された旧国鉄・美幸線の線路を利用したテーマパーク。北海道旅の経験が豊富な筆者の家族(嫁や子供たち)からも「また行きたい!」と評価の高いスポットだ。ここの魅力は、エンジン付きのトロッコを自分で運転して、往復10km(約40分)の線路を走れること。これほどの長距離を自ら運転して走れる観光施設は、日本中探してもここだけだろう。

白樺のトンネルをくぐり、踏切を抜け、自然豊かな周囲の景色を楽しみながら風を切って本物のレールの上を走る。その爽快感はヤミツキになること間違いなし。とくに子供連れのファミリーユーザーにオススメしたいスポットだ。

ラベンダーと絶景を同時に楽しめる穴場スポット 中富良野町営ラベンダー園

中富良野町営ラベンダー園

ラベンダーは、夏の富良野の風物詩。ラベンダー畑を見学できる富良野の観光地でもっとも有名なのは「ファーム富田」だが、全国的に知られた人気スポットのためシーズン中は観光客でごった返し、ラベンダーを見に行くというよりも人を見に行くような雰囲気が漂う……。そこで筆者がお勧めするのが、穴場的スポットの「中富良野町営ラベンダー園」(空知郡中富良野町宮町1番41号)だ。

北星山の斜面に広がるこじんまりとした町営のラベンダー園だが、4種類のラベンダー、ひまわり、マリーゴールド、サルビアなどの花畑は、感動モノの美しさ。頂上までは観光リフトが通っており、リフトに揺られながら一面に咲き誇る花々を眺めることができる。最大の魅力は、頂上の展望スペースから「富良野らしいのどかな田園風景」や「十勝岳連邦の大パノラマ」を一望できること。ラベンダー畑とセットで、富良野の穏やかな風景を心行くまで堪能したい。

WRITER PROFILE
岩田一成
岩田一成(いわた・かずなり)

1971年東京生まれ。キャンピングカーライフ研究家/キャンピングカーフォトライター。日本大学芸術学部卒業後、8年の出版社勤務を経て、2003年に独立。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に累計1000誌以上の雑誌・ムック製作に携わる。家族と行くキャンピングカーの旅をライフワークとしており、これまでに約1000泊以上のキャンプ・車中泊を経験。著書に『人生を10倍豊かにする 至福のキャンピングカー入門』がある。

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